「TOMIYAウォッチング ~TOMIYA・10の謎を解き明かす~」
謎03 「なぜTOMIYAは約1世紀も宝飾・時計業界で生き抜いてこられたのか?」
高級時計店・トミヤに関する10の謎を解き明かしていくこの連載、今回はトミヤの歴史にスポットを当てる。先月創業94周年を迎えたトミヤは浮き沈みの激しい時計業界でなぜ今日まで生き抜いてこられたのか?そのサバイバルの理由を探った。

岡山で創業して94年。もうすぐ百年企業となるトミヤ本店
「クオーツショック」を乗り越えられた理由
トミヤは1932(昭和7)年、岡山市で創業した。岡山は宇喜多秀家が築城した岡山城を中心にした城下町。創業者である古市孝之(現代表・古市聖一郎の祖父)は、幕末から明治にかけて活躍した岡山藩士の剣術家・奥村左近太の末裔であり、それが自身の商売だけでなく、店舗のある表町商店街を含めて岡山の街全体を盛り上げていこうとする活動につながっている。
当初は金を扱う地金商としてスタートしたが、戦後「トミヤ時計店」として再出発する。トミヤ成功の要因として挙げられるのは、その後の時代を読む力、そして製造元や輸入元との丁寧な付き合いに他ならない。

トミヤ本店の3階では、創業時から変わらず金を扱う「トミヤゴールド」を運営している
その代表的な例が1970~80年代に時計業界を襲った 「クオーツショック」 である。クオーツショックとはセイコーが発売した電池式腕時計の登場によって市場が大きく転換した事件のこと。クオーツ式腕時計の出現で、それまで主流だった機械式腕時計は衰退した。時計自体も安価になり、老舗の時計メーカーの中には倒産寸前まで追い込まれるところもあらわれた。
しかし、そんな状況でもトミヤは機械式腕時計メーカーとの取り引きをやめなかった。店頭で売れる数はわずかで、「機械式腕時計なんて時代遅れ」という声もあちこちから上がったが、それでも一度築いた信頼関係をベースに取り引きを続けた。そんな状況が15年以上も続いた。
そして機械式腕時計は復活した。伝統的な腕時計はステータスシンボルとして再浮上した。時刻を知るための道具から、身にまとう工芸品として、かつてより高い価値を見出されるようになった。

昭和30年代の「トミヤ時計店」の様子。「確かな品だけ売る」というのがモットーだった
息を吹き返した老舗メーカーにとって、苦しいときに取り引きを続けてくれたトミヤへの恩義は忘れられないものだっただろう。その後の商品の供給で他店と大きな差がつけられたことは容易に想像つく。
一方で当時の社長だった古市大蔵(2代目社長)は、ヨーロッパの市場を見て機械式時計の人気が再燃しつつあるという状況を把握していた。
冷静に時代を読む能力と、パートナーシップを大事にする心――つまり知と情の理想的なブレンドが、トミヤを高級時計店のトップランクに押し上げたことは間違いない。
時代を読む力と、メーカーとの信頼関係
知と情の店舗経営は、現在もトミヤで続いている。
たとえば 「ブライトリング」 はスイス製時計メーカーだが、1990年代の日本上陸時はそれほど注目されていなかった。しかしトミヤは当時から積極的に展開。その後、ご存じのように「ブライトリング」の人気は爆発。
現在トミヤは広島と福岡で「ブライトリング」のブティックを運営しているが、これまでの関係性の賜物であることは言うまでもない。

広島の「ブライトリング ブティック」。ブライトリングの世界観に浸れる
いくつかの機械式時計メーカーは近年、日本での取扱店を限定する傾向にあるが、そんな中でもトミヤは引き続き友好的な取り引きを続けている。さらに言えば、トミヤは限定モデルやコラボモデルの販売も積極的に行っている。それが実現できる背景には、地道にメーカーと信頼関係を築き上げてきた日々の努力があるのである。
目指すのは「時計を通じた文化の創出」
もうひとつ、トミヤが長く支持されている理由を挙げるなら、彼らのビジネスの目的が時計の販売ではなく、時計を通じた文化の創出にあるということを忘れてはならない。
トミヤは1997年、岡山に 「メカミュージアム」 という店をオープンさせた。これは玄人好みする機械式時計を集めた店舗で、全国からクラシカルな時計ファンが押し寄せる。
2004年にオープンした 「ユーロサロン」 は「カルティエ」や「ブレゲ」といった上級でエレガンスな逸品を扱う店として知られている。2014年に開店した 「表町スタイルストア」 ではついに時計を離れ、文具や生活雑貨、コスメや食品などライフスタイル全般をアップデートする店舗に挑戦している。

個性を放つ「メカミュージアム」にはこだわりを追求する男性ファンが多い

一方で「ユーロサロン」はエレガントな商品に憧れる女性ファンから支持されている

「本物」の価値を知る感度の高い大人のためのライフスタイルショップ=「表町スタイルストア」
それは、ただモノを売って儲けようとする気持ちからではない。上質な商品を身に付けることで心の豊かさを感じてほしい、たとえ地方都市であっても東京や大阪に負けない高感度な生活ができることを知ってほしい――。
それはまさしくトミヤのコンセプトである 「デザート・オブ・ライフ」 に通じる。
たとえ生活の必需品ではなくても、人生を豊かにしてくれるデザートのような文化の価値を信じ続けることで、彼らは1世紀近くも世間の荒波を泳ぎ抜いてきたのである。
◇NEWS & TOPICS◇
トミヤ各店では、8月23日まで「TOMIYA創業祭2026 AFTER FAIR」を 開催中。94周年にあたる今年は、分割支払いが94回分無金利になるサービスなどが実施される。
トミヤ広島店で扱う商品は全て正規品となります。
各メーカー(ブランド)との長年の取引により、アフターフォローを含めて、その他並行輸入品や中古品とは違う”安心”をお客様にお届けしています。
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住所 〒730-0036 広島県広島市中区袋町1-15-1
営業時間 11:00~19:30 水曜定休
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〇シリーズ連載中〇
TOMIYAウォッチング ~TOMIYA・10の謎を解き明かす~
謎01「なぜ今年創業94周年を迎える岡山の老舗時計店が広島で売上を伸ばすのか?」
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謎02「なぜいまHUBLOTがビジネスパーソンに選ばれるのか?」
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次回、謎04「なぜいま資産価値として高級時計に熱い注目が集まっているのか?」
更新は26年9月初旬予定。
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