広島市で26日、メーカーや物流事業者が貨物列車の輸送現場を見学する催しが開かれました。背景には、物流をめぐる課題がありました。

催しが開かれたのは、広島駅の東側に位置するJR貨物の広島貨物ターミナル駅です。マツダスタジアム6個分の広大な敷地に、毎日96本の列車が発着しています。1日およそ700個が扱われるコンテナの中身は、広島に工場のある自動車関係の部品や菓子類のほか、宅配便などが多いそうです。

到着した貨車は作業の準備が整うと、赤い「入換機関車」によってコンテナを積み下ろしできる番線へと移動。フォークリフトによって列車から下ろされ、待ち構えていたトレーラーへと移されます。こうして、全国から貨車に揺られ長距離を運ばれてきたコンテナは、広島県内や島根県西部の顧客まで運ばれていきます。

この様子を真剣に眺めていたのは、メーカーなどの荷主や物流事業者の社員です。中国運輸局とJR貨物が主催した説明見学会は、貨物列車による輸送の魅力を知ってもらおうと開かれました。見学会が企画された背景には、トラック輸送に頼ってきた物流業界の現状があります。

2030年度には全体で最大25%の輸送力不足? 見学会企画の背景は…

中国運輸局交通政策部の藤井利佳次長は、見学会企画の背景となった物流業界の大きな課題について「いろいろな事業者からお聞きするが、2024年問題に伴うトラックドライバー不足だと思っている」と話します。

労働時間の規制が強化されたことで、運転手不足が顕著となった2024年問題。国の試算によると、さらなる運転手の減少や物流需要の変化で、2030年度には最大25%の輸送力不足が想定されています。

一方で、JR貨物・広島貨物ターミナル駅の久保井唯文駅長は「まだまだ列車には余力がある状況。皆様に鉄道貨物の優位性をしっかりご理解いただいて、ご利用いただけるようにしたい」と話します。一度にトラック65台分の荷物を運べる貨物列車。効率的に大量輸送できる点を熱心にPRします。

説明を聞く荷主側は、深刻な運転手不足に加え、コスト高など厳しい環境に直面しています。

呉市で自動車部品などを製造する「シグマ」の物流管理課・川戸吉彦主任は「中東情勢の兼ね合いや物価高で輸送コストに影響が出ている」としたうえで、現状はトラック輸送が主体なものの、貨物列車の利用を検討。実際に荷物を入れるコンテナの見学や説明を受け「一回の配送物量もそこそこあるため、非常に興味がある。使ってみたい」と話していました。

物流をめぐる厳しい情勢。今後、担い手不足のさらなる本格化が見込まれるなか、一層の効率化やリソースの有効活用が求められる時代に突入しています。