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音楽界で最も権威があるといわれる「グラミー賞」。毎年、世界中のファンや関係者が注目しています。そのグラミーに、広島出身のピアニストが演奏する作品がノミネートされました。授賞式を前に生まれ育ったまちで思うことは何か。ピアニスト中村恵理さんを取材しました。

4歳でピアノを始め…家族から見た恵理さん「才能はよくわからない」

中村恵理さん「これが私の部屋。半分以上がピアノです。私の人生を写している感じかな」

2025年の年の瀬、中村恵理さんは広島市の実家にいました。普段は、アメリカで過ごしていますが、毎年この時期は里帰りが恒例です。

中村恵理さん「1年ぶりですね。1年に一回は、お正月は日本がいいです。食べ物もすべて」

1年の中で、鍵盤に触らない日があるのは、年末年始のこの期間だけなんだそうです。久しぶりに会うお母さんと近況報告で盛り上がります。

母・瑤央子さん「(Q.小さいときどんなお子さんでしたか?)活発でした。上2人お兄ちゃんたちでしょ。ボールがあれば投げるし、そういう遊びばっかりでごっこ遊びや人形遊びは一度も見たことない」

先に始めていたお兄さんたちの影響で、恵理さんは、4歳からピアノを始めました。

兄・雄一郎さん「私もやって挫折。あんまり好きじゃなくて。弟もやってすぐやめて。兄2人の経験が妹に生かされたんじゃないかと思います。妹は幸いピアノが好きだった。才能に関しては全然わかりません」

「絶対音感」の備わる幼少期 先生のまねをして同級生を驚かせる

恵理さんには、当時から耳にした音の高さを正確に判別できる「絶対音感」が備わっていたようです。

中村恵理さん「幼稚園のときは耳で聴いて弾いていたんです。お片付けの曲を。当時先生が弾いたのを私が覚えて弾いたら、みんなが先生が弾いたと思って片付けだしたっていうのをエピソードで覚えている」

幼少時代を知る同級生は、当時、彼女にあこがれて、同じ先生に習ったといいます。

同級生「とにかくピアノがめちゃくちゃうまい人。ピアノのうまい中村さんが行っているピアノ教室だから、あとから妹や私が通うことになった」

ピアノが大好きだった恵理さん。数々のコンクールで優勝し、枠にとらわれない教育を受けようと、15歳で海を渡ります。ピアノ専攻の高校、大学、大学院へと進み、現在は、バージニア州の大学で助教を務めています。

音楽家人生 転機の出会い グラミーノミネートに「奇跡かな」

ふるさとを離れて過ごしていると、広島が特別だと感じることがあるそうです。

中村恵理さん「私が広島から来たっていうだけで、あの広島?って言われますね。え、今どうなっているの?大丈夫なの?って言う人もいて、知らない人には説明しますね。(8月6日は)毎年オンラインで式典中継をやっているので時差はありますけど、一緒に黙祷をすることがあります。歴史上で本当に重要な都市ですよね。音楽をすることで私は人間形成されたというか魂に伝わるところがあると思うので、そういうのを表現したい、そういうのでみんなをつなげたい」

アメリカで生活を始めて20年近く経った2014年、音楽家人生の転機となる出会いが訪れます。

中村恵理さん「会えたとき、これだと思ったんですよ。チャンスだなって。ニーヴ・トリオのメンバーがピアニストを探していて」

バイオリンのアナ・ウィリアムズさんとチェロのミハイル・ヴェセロフさんが組んでいたグループに参加する形で「ニーヴ・トリオ」の活動を始めます。そして2022年、3人で奏でるアルバムが、グラミー賞にノミネートされました。

中村恵理さん「はーって、本当に思っていなかったので本当にびっくりで。奇跡かなと思いました」

二度のノミネート 授賞式にかける意気込みは

この快挙に、初めはまわりもついていけなかったようです。

同級生「すごすぎてなんの感情もわかなかったというか…」
雄一郎さん「正直よくわからないので、よかったねで終わり。まわりに実は妹がね、という話をしたら『えー!』という反応の人がたまにいる…そうするとやっぱりすごいのかなっていうのは後からわかったっていう感じ」

恵理さんは授賞式にも出席しました。会場で、憧れのアーティストを見かけるたびに興奮したそうです。

中村恵理さん「グラミー賞にいけるなんて思ってなかったですよね。(3年前)第65回グラミー賞のノミネートのときのメダル。ノミネートされたら前の日にもらえるんですよ。(Q.ノミネートされた人しか持っていないもの?)そうですね。結構重いんですよ、ティファニーがつくってるみたいで…結構ずっしり」

3年前は惜しくも、受賞とはなりませんでしたが、今回再び。去年リリースされたアルバムが、第68回グラミー賞の「最優秀室内楽/小編成アンサンブル演奏」部門にノミネートされました。

中村恵理さん「もちろん(グラミー賞を)いただきたいですが、そうじゃなくても次がんばります。どうなろうと、もっと上を目指してグラミーだけじゃなく、自分の向上に向けてトリオでがんばっていきたいです」

2026年のグラミー賞授賞式は、日本時間の2月2日に開かれます。