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生活に困っている人たちへ
「7人」。広島市の路上生活者の統計上の数字です。しかし、大みそかの公園には30人を超える列ができました。並ぶのは物価高に苦しむ高齢者や現役世代。「広島夜回りの会」は、長年お弁当と「会話」を届けてきました。孤独な心を救うのは物を通じた人との繋がり。温かな支援の現場を追いました。
去年の大みそかの午後。広島市内の教会には、15人ほどの人たちが集まり、食べ物の仕分け作業をしていました。

活動しているのは、「野宿労働者の人権を守る広島夜回りの会」のメンバーたち。副代表の播磨聡さんは、約14年にわたってこの活動を続けてきました。生活に困っているたちに食べ物などを届けています。
温かい気持ちで年を越してもらうために

この日は、車に特別なお弁当を積み込みます。新しい年を迎える前に、少しでも安心して年を越してほしいという思いから、おせち風の豪華なお弁当です。
年末年始は、行政の窓口やサポートセンターが休みになることで、「食べ物をもらえる場所はないか」という不安の声もあるということです。
この日も**“温かい気持ち”**で支援に向かいます。
「一緒に助け合って生きていこう」全ての支援の出発点
広島夜回りの会は、厳しい寒さの12月から3月までの冬の間は回数を増やして、週に1度、JR広島駅周辺など市内5か所に分かれて活動しています。
最近は20人以上が集まることもありますが、播磨さんの担当エリアで実際に路上で寝泊まりしている人は2~3人ほどだといいます。
「きょうも温かい気持ちを届けに行きましょう」そう声がかかると集まったボランティアたちがそれぞれの担当場所へと向かっていきます。

クリスマスが近いこの日(12月23日)は、「少しでも気持ちが明るくなって帰ってもらえたら」という思いで、集まったおよそ30人に丁寧に声をかけながらおにぎりやお菓子を配りました。
播磨さんが活動で大切にしていることとは―。
広島夜回りの会 播磨 聡さん
「『困っている』という人がいれば、**『何とか一緒に助け合って生きていこうよ』**というそういう気持ちが全ての出発点です」
路上生活者は大幅に減少 しかし別の問題も…
12月23日、広島駅の地下通路にはおよそ30人が集まりました。しかし、その中には路上生活者だけでなく、年金だけでは生活が成り立たず、こうしたボランティアの支援に頼りながら日々をつないでいると話す人もいました。

広島夜回りの会は、40年ほど前からホームレス支援を続けてきました。2001年ごろは、広島市内で約200人が地下通路や公園で寝泊まりしていましたが、2002年に「ホームレス自立支援法」が施行され、支援が国の責務と位置づけられてから人数は減少しました。
国の去年1月の統計では、広島市内の路上生活者は7人とされています。
路上生活する人は少なくなりましたが、播磨さんは、支援の目的は「ただ物を届けることではない」と話します。
コロナ禍以降「生活に困る人」が増える… 物はきっかけ 誰かと話すことが必要
播磨さんは、コロナ禍をきっかけに、路上生活者に限らず「生活が苦しいので少し分けてもらえないか」と支援を求める人が増えてきたといいます。

さらに播磨さんは、支援とは単に物を渡すことではなく、人とのつながりを保つことが大切だと話します。
広島夜回りの会 播磨 聡さん
「物は介在するが、その物理的な欠乏状態だけじゃなくて、その人にとって問題解決しなくても誰かと話して『ちょっと荷が下りた』みたいなことでもいいので、話をする相手が人には必要なんだろうと思うんですね」
大みそかの公園…「きょうも仕事だったの?顔出してくれるから嬉しいよ」“居場所”としての夜回り
大みそかも、播磨さんたちはJR広島駅近くの公園へ向かいました。開始25分前にもかかわらず、すでに30人を超える人たちが集まっていました。仕事を終えた40代以上の男性や、女性の姿も見られました。

播磨さんは集まった人たちと「きょう(大みそか)も仕事だったの?」「顔出してくれるから元気にしているってわかる。嬉しいよ」などと会話をしていました。
午後5時になると、1人1人に声をかけながら、おせち風の弁当、卵、みかん、お菓子などが入った袋を手渡していきました。
訪れた人たちは、「物価高の中で食べ物がもらえるのは助かる」と話します。また、「ここに来ると人と話ができて気分転換になる。家でテレビばかりを見ているより、みんなとおしゃべりする方がいい」と話す人もいました。
薄れる寛容さ…今こそ“温かい気持ち”で 変わらない支援が続く
播磨さんは、誰もがいつか助けを必要とする立場になるかもしれないと話します。
だからこそ、困ったときにはお互いに支え合える社会であってほしいと願っています。
広島夜回りの会 播磨 聡さん
「どこかで自分も助けてもらわないといけない時があるし、お互いそういうときには助け合うような気持ちを持ち続けていく社会になっていったらいいなというのが願いです」

寛容な気持ちが薄れつつある今だからこそ、
周りの人を温かく見つめられる社会であってほしい――。
変わりゆく街の中で、播磨さんたちの変わらない支援は、今日も続いています。














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