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現在、店頭で高止まりしているコメの価格。しかし、農業関係者の間では、「2026年には大幅に下落するのでは」という衝撃の予測が出ています。そんな中、広島県の農家が活路を見いだしているのが、コシヒカリを圧倒する収穫量を誇る『多収穫米』です。

農業法人とJA担当者との話し合い
広島県世羅町の赤屋地区。山間の集落では農家約70軒が主にコメを作っています。この場所でコメ作りを支える農業法人では、2026年の作付けを前に危機感が募っています。
アグリテックあかや・内海武博監査役
「コメの値段はどうなりそうなん?6千円、7千円下がったんでは、やっぱりモチベーションが上がらん。やろうという人が出てきたのに、そこへ水を差してもらいたくない」
2025年、30キロ約1万7千円のコメ相場が、2026年は1万円~1万1千円程度まで下落するのではないかという情報が業者から寄せられたのです。法人の役員はせっかくコメ作りの機運が盛り上がって来たのに…と複雑な表情を隠せません。
JA尾道市世羅営農センター・佐藤清之主幹
「とにかく費用をかけない。収量をとって頂く。『にじのきらめき』みたいな収量のとれる品種」
米価下落の対応策としてJAの担当者があげたのが、多収穫米「にじのきらめき」の栽培です。実は、世羅町の法人でも同じことを考えていました。この法人では2026年、王者『コシヒカリ』より『にじのきらめき』を多く作る計画です。赤屋地区では2023年、初めてこのコメを栽培しました。それをわずか3年で、面積を10倍、15倍に増やす…一体、何が魅力なのでしょうか?

にじのきらめき
「にじのきらめき」は、コシヒカリに比べ猛暑に強く、倒れにくく、赤屋地区の場合は同じ面積で約25%多く収穫できたそうです。価格はコシヒカリより安く設定され、主に弁当や外食などの業務用米として使われていますが、赤屋地区ではとれる量が多かったため、結果としてコシヒカリより儲かったそうです。
気になる味についても、生産者は「コシヒカリと変わらないほど美味しい」と太鼓判を押します。
この「にじのきらめき」は、7年前に国の農研機構が開発したイネですが、広島県では気候風土に合うとは認められないという理由で、作付を奨励する品種には指定されていません。それでも広島県内各地で作付けの希望が多く、種の確保が難しい状況です。JA尾道市管内では4年前に栽培が始まり、今や3番目に多い品種ということです。
JA尾道市世羅営農センター・佐藤清之主幹
「今まで植えて頂いて、そんなに失敗事例はないというか、いい品種だと思っています」
注目の多収穫米はほかにもあります。
島根県の農家
「おいしいですよ。思ったより粘り気がありますね」
11月末、広島市内のホテルで開かれた地場のコメ卸「食協」が主催したコメのPRの会。生産者たちが試食したのは、「しきゆたか」という多収穫米です。

しきゆたかの田植え
この「しきゆたか」も業務用米として食協が10年前から農家に委託して作っています。種代が高いことやコロナ禍の影響で業務用米の需要が減ったことで、一時、生産量を減らしましたが、再び量産へと舵を切りました。その売りは…
食協・武信和也社長
「これ夢のコメとしてね、やはり生産者の皆さんが希望を捨てずに、やはり果敢に挑戦して、800kg、900kg目指していって頂きたいと」
10アールあたりの収量が800~900キロを目指せる、まさに「夢のコメ」。これは「コシヒカリ」の1.5倍以上のボリュームです。「にじのきらめき」と同じで、価格は安いが収量の多さで「コシヒカリ」より儲かるというわけです。
2025年に初めて栽培した東広島市の新谷一平さんは、試行錯誤しながら700キロ近い収量をあげました。

収穫したしきゆたか
東広島市志和町の生産者・新谷一平さん
「まずは800kgコンスタントにとれるような形になったら面白いかなと思います」
世羅町の生産者・木原民雄さん
「来年はちょっと3倍から4倍に増やそうかなと」
(Q米価が下がると言われてますけど、その辺も関係あるんですか?)
「大いにあります」
本当に10アールあたり800キロは期待できるのでしょうか…?
今年1位の記録・820キロ 三次市三和町・山崎政廣さん
「コシヒカリ作るよりも、しきゆたかでしたら、米価が下がっても収量がありますから、あの、やめられません」
この「しきゆたか」、2026年は、2025年より5割多い40軒以上の農家が作る予定です。
「にじのきらめき」や「しきゆたか」は消費者にはあまりなじみがありませんが、
「安くて味がいい」と聞けば興味を持つ人もいるかもしれません。他県では、家庭用米としても販売されているということで、もし見かける機会があれば、手に取ってみてもいいですね。
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