おととし運送会社を母体に農業に参入した世羅町の法人があります。作り手のいなくなった農地を引き受けてコメを作っていましたが、待っていたのは米価の大幅な下落でした。採算割れが確実となるなか、スタッフはコメの販売に奮闘していました。

標高400メートルあまり世羅町山中福田地区。ここで去年からコメを作っている農業法人「ミライズフーズ」の田んぼです。「にじのきらめき」という猛暑に強いコメが実りこの日が収穫です。

ミライズファーム 中川隆希代表
「しっかりと粒もついている。先輩の教えもあり、あのバッチリと作れております」

荒木孝幸常務
「ケガがないよう安全に作業しましょう」

作業にあたるメンバーは30代40代を中心に7人。過疎高齢化が進む中山間地域では若手の集団です。この法人…母体は福山市を拠点とする運送会社です。農業分野への参入は社長の強い思いからでした。

大成 大畠健志社長
「実家の周りもやられていない方が増えて来て、お年寄りの方の姿を見て、ボクらが立ち上がらんと」

異業種から参入も…待ち受けていた“米価の大幅下落”

農家の高齢化で作り手がいなくなった農地を守りたい…。まずはおととし、世羅町内の60アールの耕作放棄地を借りて畑に戻しました。

2年目の去年、作り手のいない田んぼを借りてコメ作りを始めたところ、町内外の集落法人から田んぼを預かってほしいという依頼が相次ぎました。当初、5ヘクタールだった作付面積はことし20ヘクタールにまで拡大しました。

そんな彼らを待ち受けていたのが米価の大幅下落でした。

中川隆希代表
「最初見た時は、『ここまで下がるのか』という思いもありましたけれど、まあそうなってしまったんで受け止めるしかないっていうところです」

これはこの秋、コメの通販用に立ち上げたホームページです。安定経営を目指して5kg税抜き3千円で販売するつもりでしたが…。

中川隆希代表
「スーパーを実際見てると、新米の目玉商品っていうところが大体2500円前後というか。自分たちもそういうところに合わせていかないといけないのかなと思うと、もう悩みました。悩みました」

採算ライン大幅に下回るも…

結局、通販の価格は5kg税抜き2700円税込み2900円余りにしました。しかし、大口の飲食店などの業務用はライバル業者との値下げ競争となり、税込み2000円を切る価格での契約となりました。採算ラインを大幅に下回る金額です。

中川隆希代表
「しょうがないです。やっぱり自分たちのおコメを売っていくためには」

大成 大畠健志社長
「おコメの金額の乱高下っていうのは、ある程度予想はしていたので、あんまり悲観的にはなっていないです」

親会社の社長は採算割れよりスタッフが、農家として成長していることを喜んでいました。今、話題の中心は常務の荒木さんの奥さんがコンバインに乗り始めたことです。この日もゆっくりですが田んぼ1枚のイネを丁寧に刈り取りました。

荒木佳央里さん
「楽しいですね!楽しい、出来としては…80点(笑)」

月も改まったこの日、代表の中川さんから新たな販路が見つかったと連絡があり、東広島市内の保育園を訪ねました。車に積んでいたのは「にじのきらめき」10kgが10袋、合わせて100kgです。

「モチモチで甘い」園児らの給食のコメを供給!

この保育園の園児と職員220人分の給食のコメをこの1年ミライズフーズが供給することになったのです。この園では、これまで別の業者からコメを買っていましたが今回、ミライズフーズに変えました。

みそのうにじいろ保育園 久保敦子園長
「試食をしてみたんですね。そしたら何と美味しいこと、あの瑞々しい、モチモチしている、甘みがある。しかも安価で全てが決め手」

中川さんが園児向けにコメ作りの話をすると提案したことも評価されたそうです。

中川隆希代表
「僕たちの作ったおコメが、こういう保育園のようなところで使っていただけるっていうことは、おコメを認められるというか、そういう意味ですごく今後、自信をつけられるよう販路、お客様だったと思います」

ただし、価格は採算ラインを大きく下回っています。来年に向け採算割れしないコスト削減はできるのでしょうか?米価下落の試練と向き合ったことしの稲刈りは今月末まで続きます。