秋から冬の「乾燥シーズン」に気をつけたいのが火災です。出火原因の中で上位に位置する 「電気火災」。広島市消防局協力のもと、電源プラグやコードの火災リスクについて検証しました。

9月20日、広島市安佐北区白木町の住宅が炎に包まれました。

「コンセントから炎が出た」という住人からの通報で、消防が駆けつけました。住人は避難してけがはありませんでしたが、住宅は全焼しました。

「電気火災」について街の人に話を聞くと・・・。

女性
「バチバチと同時に火花が出るイメージ。火事のニュースを見ると気をつけないといけないと思う」

別の女性(木造住宅で暮らす)
「火が回るのは一瞬だと思うので不安」

男性
「ほこりが溜まらないように掃除している。テレビ裏など掃除しにくいの
で怖い」

別の男性(アパートで暮らす)
「アパートで周りに迷惑がかかる。自分だけではないので気をつけたい」

子育て中の女性(娘2歳)
「娘がコードを踏まないように対策しているが、たまに踏んで『痛い』と言っている。危ない」

過去5年で”最多”の火災件数 約6割が「建物火災」(広島市消防局管内)

広島市消防局管内で、2025年に発生した火災は303件。過去5年間で最多で、このうち6割が建物火災です。

広島市消防局が特に啓発に力を入れているのが、「電気火災」です。

「配線器具」による出火は、タバコ・コンロ・放火の次に多く、特別に火災実験を取材させてもらいました。

広島市消防局予防課 植野裕斗さん
「意外に知られていない。住宅火災で電気は多い。きょうはそれを知ってほしい」

火災実験①:一瞬で火花!?「トラッキング現象」とは

<実験①:トラッキング現象>
最初の実験は「トラッキング現象」です。コンセントや電源プラグの周囲にほこりや水分が付着したまま電気を使うと…。

RCCウェザーセンター 梅川千輝 気象予報士
「電源を入れてすぐに煙が出た。横から見たら火花が出ているのが分かる」
(数分後)
「煙りが濃くなってきた。プラグとコンセントは何℃くらいになっている?」

広島市消防局予防課 植野裕斗さん
「約700℃」

家や会社に誰もいないときに起きたら…。しばらくすると、プラグから火花が出て発火しました。

広島市消防局予防課 植野裕斗さん
「これがトラッキング現象。近くに燃えやすいものがない状態で、こうして火が出る。それがあると着火してより大きな火事になる」

家電のスイッチOFFでも火花 プラグがささっていれば電気は通っている

実験中あることに気がつきました。

RCCウェザーセンター 梅川千輝 気象予報士
「このプラグはコードがない。これでも電気は通る?」

広島市消防局予防課 植野裕斗さん
「通る。ここだけで電気回路が成立していて発火する。プラグがささっていたら、そこから先の電気機器のスイッチを入れているかいないかは関係ない。必要なとき以外は、プラグを抜いておくことがポイント」

火災実験②:子どもが踏んだ衝撃でも発火!?「コード踏みつけ」リスク

<実験②:コードの踏みつけ>
2つ目の実験は「コードの踏みつけ」です。机やイスなどでコードが日常的に踏みつけられ、導線が傷ついていると…。

傷ついたコードをハンマーで押しつけると火花が出て、周辺のホコリに燃え移りました。

広島市消防局予防課 植野裕斗さん
「傷ついて剥き出しになった導線同士が接触し、ショートした」

植野さんは、コードが傷んでいる状態で子どもが踏んだ拍子に火花が出ることも考えられるといい、「人の通り道にコードを置かないでほしい」と話します。

火災実験③:「コードを束ねたまま」ドライヤーを使用すると・・・

<実験③:コードを束ねたままドライヤー使用>
最後の実験は「コードを束ねたまま」の電気使用です。この状態でドライヤーやヒーターなど、使用電力が大きい機器を扱うのは危険です。

広島市消防局予防課 植野裕斗さん
「すぐには火は出ない。5~10分の使用中に火花が出る」

ドライヤーのスイッチを入れてからおよそ10分後…。見た目は何も起きていませんが、実験では、一番熱いところで、130℃にまで達していました。

広島市消防局予防課 植野裕斗さん
「見た目はまだ何も起きていないが、これを触るだけで危ない。ヤケドする」

さらにしばらくすると、コードから「バチッ」という音が…。束の中で何が起きているのか…。

広島市消防局予防課 植野裕斗さん
「コードの被覆が溶けて、導線同士が接触しバチバチ火花が発生している」

そして「バチバチ」という火花と共に、 炎上がりました。

RCCウェザーセンター 梅川千輝 気象予報士
「これは怖い…」

「最初は小さな火から・・・」取り返しがつかなくなる前に備えを

今後、秋から冬にかけては空気が「乾燥するシーズン」になります。2025年、広島県内では年末に向けて火災件数が急増しました。

広島市消防局は「火災への意識を高めてほしい」と呼びかけます。

広島市消防局予防課 消防士長 植野裕斗さん
「最初は小さな火から始まる。大規模火災になってしまったら、もう取り返しがつかない。そうならないおためにも、日頃から点検をしっかりして、皆さんで防火対策に努めてもらいたい」

生活に潜む”電気火災リスク”「電源プラグ・コード火災の対策」

<3つのチェックポイント>
①トラッキング現象
コンセントや電源プラグの周囲に、ほこりや水分が付着したまま電気を使うと、発火するおそれがあります。

②コードの踏みつけ
机やイスなどで、コードが日常的に踏みつけられていませんか?導線が傷ついていると、子どもが踏んだ衝撃でも発火するおそれがあります。

③コードを束ねたままの電気使用
コードを束ねたままの状態で、ドライヤーやヒーターなど、使用電力が大きい機器を扱うのは危険です。熱がたまり発火するおそれがあります。

<電源プラグ・コード火災の対策は?>
◇不要なプラグは抜く
たとえ電気機器のスイッチを切っていても、プラグがささっていればトラッキング現象が起こるおそれがあります。

◇日頃から清潔に
大掃除で冷蔵庫・洗濯機の裏など、普段見ない場所もチェックすると安心です。

◇コードは踏まない・伸ばして使用
電気機器の取扱い説明書を必ず読み、適切に使用してください。

乾燥に加えて強風などの気象条件が重なると、小さな火種が大火災につながることもあります。

地震などによる停電復旧時にも火災リスク 「通電火災」とは?

<通電火災の危険性>
地震などによる停電後、電気が復旧したときに発生する火災です。

通電した際に漏電・ショートする可能性があり、倒れたストーブなどから火災につながることもあります。

阪神・淡路大震災の建物火災のうち、約6割がこの通電火災でした。

<通電火災の予防>
◇地震が起きて余裕がある場合(けがなし/ただちに倒壊の恐れがない など)
・家電のスイッチOFF
・電源プラグを抜く
・ブレーカーを落としてから避難

◇事前の備え
・感震ブレーカー
・住宅用火災警報器 などの設置

秋から冬にかけて「乾燥するシーズン」になります。こうした電気火災のリスクや対策を把握した上で、火の取扱いには十分注意してください。