春は、転勤や進学に伴う引越しシーズンです。しかし、業者に依頼が集中して希望日に引越しできない、いわゆる「引越し難民」の問題は深刻です。この問題を克服しようと、このほど業界初の取り組みが発表されました。ポイントは自動運転です。近い将来は当たり前になるかもしれない取り組みの内容、そして、広島での展開見通しについて取材しました。

3月12日に東京で開かれた説明会。出席したのは、「サカイ引越センター」(大阪府堺市)と「ハート引越センター」(東京都葛飾区)、そして、自動運転トラックの開発や輸送を手がける「T2」(東京都千代田区)の3社です。3社は共同で、高速道路を利用して自動運転トラックで家財道具を輸送する実証実験を4月から始めます。自動運転トラックが走るのは、東京と大阪・神戸間。今回は、ドライバーが乗車した上でハンドルから手を放す「レベル2」の自動運転で実施します。高速道路のおよそ450キロが自動運転の対象です。

物流業界に重くのしかかるドライバー不足の問題。引越し業界にとっても、ドライバーの確保と育成、そして安全管理は課題です。サカイ引越センターは、フォローアップ研修や福利厚生の充実などでドライバーの定着率向上を図るほか、外国人人材の受け入れも強化しています。ハート引越センターも、輸送量を増やすためのトラックの大型化や、ドライバーの労働時間の短縮に取り組んでします。

3社は、将来は無人で走行する「レベル4」の自動運転も想定しています。実現すれば、長距離の高速道路は無人で輸送し、無人トラックが到着した拠点からの一般道はドライバーが乗り込んで引越し現場に向かうといった効率的な運用が可能になります。

メリットは、輸送コストの削減だけではありません。3社はそれぞれ次のように話しました。

●サカイ引越センター 山野幹夫専務 「中には、明日の朝届けてほしいという依頼もあります。これまで夜中にトラックを走らせていなかったのですが、それが無人で輸送できるようになれば、要望に応える手段として非常に有効だと考えています」

●ハート引越センター 太田至計社長 「ドライバーの労働時間の問題などをクリアしながら、効率化に向けて一緒に取り組んでいきます」

●T2 熊部雅友社長CEO 「私たちが輸送部門を担うことで、引越し2社にサービス面をより強化してもらえる、そのお手伝いができるという意義があります」

広島での展開見通しは?

自動運転技術を初めて引越し業界で活用しようという今回の取り組み。気になるのは、広島を含む関西より西側での展開見通しです。3社に直接聞きました。まずは、自動運転トラックが西側にやってくる可能性について。

●T2 熊部雅友社長CEO 「まずは関東関西間の形をしっかり作り上げてから西に展開したいと考えています。2029年以降、九州方面に延伸する計画もあります。車両の開発に加え、無人から有人に切り替える拠点の整備を進めることで可能になっていきます」

広島でも事業展開する2社も、エリア拡大を視野に入れています。

●サカイ引越センター 山野幹夫専務 「企業から転勤対応の依頼を受けていますが、東京大阪間、そして大阪と福岡の間も多くあります。ぜひ広げてやっていきたいと思っています」

●ハート引越センター 太田至計社長 「無人だと24時間稼働できるので、輸送時間が短くなることがメリットです。広島の皆さまにも早くお届けできると期待しています」

業界初の取り組みが、将来的なドライバー不足への有効な決定打となるのか。3社は、自動運転に負担のない荷物の積み方などオペレーションの課題を洗い出して、確実に実用化に結びつけたいと話しています。

東京で開かれた実証実験の説明会(3月12日)

高速道路を自動運転で走り、出発エリアと到着エリアの拠点でドライバーが乗り込む形を目指している

3社のトラックの前で記念撮影に応じる各社の代表

「2029年以降、九州方面の延伸計画がある」と話すT2の熊部社長CEO

サカイ引越センター 山野専務「企業の転勤対応は、大阪福岡間の需要も多い。ぜひ広げたい」

ハート引越センター 太田社長「無人だと24時間稼働できて輸送時間が短くなる。広島の皆さまにも早くお届け出来る」

3社は、自動運転に負担のない荷物の積み方など研究していく方針