Jリーグ通算77ゴールの点取り屋でJ1大分や神戸でも活躍したFW藤本憲明(36)。複数クラブのオファーがある中、Jリーグを目指す福山のクラブへ移籍することを決めた理由とは?福山へ来た当日に密着し、舞台裏を取材しました。(取材:RCCアナウンサー兼スポーツディレクター石田 充)

藤本憲明
「ここ、朝渋滞で混むっていうから時間の感覚掴まないとな…」

1月12日。福山に初めてやってきた藤本憲明。1989年大阪生まれで青森山田高校から近畿大学へ進学し、卒業後はJFLの佐川印刷SCで働きながらサッカーを続けていました。その後、チームの解散にともない2016年にJ3鹿児島へ。2年連続でJ3得点王に輝くと、2018年当時J2だった大分へ移籍。

12ゴールを挙げJ1昇格に貢献し29歳でJ1デビュー。さらに2019年夏にヴィッセル神戸へ移籍すると新国立競技場で第1号のゴールを挙げ天皇杯優勝に貢献。元スペイン代表の世界的プレーヤー・イニエスタとも一緒にプレーをしていました。

その後、清水・神戸・鹿児島と移籍を繰り返しながら36歳となった去年はJFLのいわてグルージャ盛岡で19ゴールを挙げリーグ得点王に

そんな衰え知らずの藤本が2026年の所属先に選んだのが福山シティFC。

様々なカテゴリーを経験した藤本もこれまで経験の無いJFLの1つ下、J5に相当する地域リーグ(所属・中国リーグ)のクラブでした。

藤本憲明(入団会見1月13日)
「実はここだけの話、一度オファーをお断りさせていただいたが、岡本代表の掲げるビジョン、福山市の将来に賛同したいという気持ちになって加入することを決めました」

4年連続でJFL昇格を逃す中、藤本憲明に過去にないオファーと熱意をぶつけた福山シティFC代表・岡本佳大(36)

福山シティFC代表:岡本佳大
「ペナルティーエリア(ボックス)の中で決定的な仕事ができる選手っていうところで**『とにかくFWにはお金をかけよう』と。ウチが取れる限界を…突破した選手の補強をしたい。『可能性が1%でもあるんだったら狙いに行こう』っていうところをちょっと自分の中でポリシーとして決めまして藤本選手に白羽の矢を立ててどこのクラブよりも早くオファーを出した。あとは『現役最後のキャリアとしてウチを選んでほしい』**っていうことを伝えさせてもらいました」

どこのクラブよりも早くオファーし、岩手まで足を運び断られても、諦めずに声をかけ続けて実った契約。26年1月12日。藤本と同じ36歳の岡本代表は福山市内のクラブハウスや練習場を案内しました。

チームバスに乗った藤本憲明
「すごい、3列シートなんですね。メッチャ本格的。清水時代以来かな、3列シートは」

岡本佳大代表
「最長で5時間くらいかな。バスに乗るところで言うと…」

藤本憲明
「(前所属の)グルージャは東京から7時間くらい乗っていたので大丈夫です(笑)」

福山シティFC代表・岡本佳大が伝えたかったサッカーで作る街の未来

岡本佳大代表
「(藤本選手には)ただの選手としてのいちオファーじゃなくてクラブの歴史をともに作って欲しいのと、その結果がこの街の歴史につながるところをちゃんとお伝えしようぶつけたのは覚えています」

RCC石田充アナウンサー
「(JFLなど)複数クラブからのオファーがある中、それが決め手だった?」

藤本憲明
「そうですね。熱量が・・・他のチームと比べて熱量が段違いだった」

Jクラブでヘッドコーチを務めていた若き指揮官・小谷野監督(28)も福山シティFCで「1番のフォワード」と語る

新チームの始動から3週間。トレーニングマッチではJクラブからも白星を挙げ3月の公式戦へ向けて成熟度を高めています。

小谷野拓夢監督(28)
「(藤本の武器は)1番はシュートから逆算できるっていうところと、相手との駆け引きでものすごく上手い選手だなと。僕自身も色んなフォワードを見て一緒にやってきましたけど、過去で1番良いフォワードだなと思いますね」

藤本憲明
「既存の選手と新しい選手の融合ができればなと思っています。監督の求めるビルドアップの部分や相手の背中を取る部分はトレーニングから僕自身も勉強になるし、新しいモノをどんどん吸収して、この年齢でもレベルアップできるな…という印象です」

悲願のJFL昇格、その先のJリーグ参入。「バラの街」が「サッカーの街」とも言われるために・・・

藤本憲明、36歳。サッカー選手人生をかけた福山での挑戦が始まります。

岡本佳大
「チーム人件費も本当にJ3に匹敵するぐらいの予算を投じている。(藤本選手には)ストライカーとして得点を取ってほしいのは大前提ですが、共にクラブの歴史を作りそれが街の歴史に繋がっていく。 その挑戦を彼としたかったんです」

藤本憲明
僕が引退する頃には、Jリーグで、新スタジアムで、最後プレーできるように頑張りたいなと思います。引退試合してくださいね、新しいスタジアムで!」

【取材後記】
25年12月に藤本選手の獲得がクラブから発表されたことで他の選手獲得にも好影響が出て、悲願の昇格へ向けてレベルの高い選手が集ったといいます。妻と4人の娘と福山で新生活。子どもが“シール集め“にはまっているので買える店を探したいと話す父親としての一面も。これまでゴール後は憲明の「N」をポーズにしていましたが、福山にちなみバラポーズ、デニムポーズ、くわいポーズ・・・いろいろ考え中とのこと。選んだ背番号24はイニエスタがバルセロナ時代につけたことがあったり、自分が鹿児島時代にJ3得点王を取ったときのゴール数だったりと複数の意味が込められています。入団会見でストロングポイントは「ゴールを獲ってみなさんを笑顔にすること」と語り、JFL昇格の壁を越えるために足りないモノを埋めるのが「僕や!」と言いながら白い歯を見せた36歳。その笑顔を福山シティFCのバラのエンブレムを胸につけながら1日でも長くピッチの上で見せて欲しいと思います。
(RCCアナウンサー兼スポーツディレクター石田 充)

藤本も驚いた福山シティFCのチームバスの3列シート

福山シティFCのロゴ~バラとコウモリ~

背番号24で戦う福山シティFCのFW藤本憲明