国内で年間約12万件、1日あたり約330件。これは現在、日本で報告されている人工妊娠中絶の件数です。
計画外の妊娠の背景には、避妊の失敗や知識不足、そして性暴力によるものなど、深刻な事情が潜んでいます。こうした「望まない妊娠」を防ぐための選択肢である「緊急避妊薬(アフターピル)」が、2日から国内の一部薬局で、医師の処方箋なしで購入できるようになりました。
広島県内の薬局でも始まった販売の現状と、購入の手順、そして専門家が指摘する課題を取材しました。

2日から販売が始まった緊急避妊薬「ノルレボ」です。性行為から72時間以内に服用することで、妊娠を8割程度防ぐとされています。
薬局で購入するまでの流れは…?
広島市南区のウォンツ薬局翠店では、2日の開店にあわせて「ノルレボ」の販売を始めました。

実際に購入する流れは次の通りです。
(1)受付で意思を伝える:薬剤師に口頭、またはスマホの画面を見せるなどして薬の名前を伝える
(2)プライバシーへの配慮:周囲に配慮し、パーテーションなどで仕切られたスペースへ案内される
(3)薬剤師による確認:研修を受けた薬剤師が、チェックシートを元に服用が可能かどうか確認する
(4)その場での服用:薬は薬剤師の面前で服用することがルール
(5)3週間後の確認:服用から3週間後に、妊娠検査薬を使用するか医療機関を受診し、妊娠の有無を確認する必要あり
なお「女性の薬剤師に対応してほしい」という希望がある場合は、事前に電話などで相談すれば、対応可能な近隣店舗の案内を受けられるケースもあるそうです。
希望小売価格は税込み1錠7480円。購入する際、親の同意は不要で、年齢に制限はありません。しかし、購入できるのは服用を求める女性のみ。代理人や男性は購入することが出来ません。
ツルハグループドラッグ&ファーマシー西日本 調剤本部調剤運営部スーパーバイザーで薬剤師の岡野望実さんは、「プライバシーに配慮した対応を心がけている。何か困ったり、不安なことがあればいつでも頼っていただきたい」と話しています。
産婦人科医が指摘する「メリット」と「今後の課題」は…
若者のための「ひろしまユースクリニック」を運営する産婦人科医の保谷茉莉医師は、今回の市販化について、「緊急避妊薬は性行為後に妊娠を避ける唯一の方法。市販化によって必要な人に迅速に届くのは大きなメリット」としています。

一方で、2つの懸念点として、▼性暴力・性被害の被害者への支援が遅れるのではないか、▼緊急避妊薬はあくまで「緊急用」。普段から、他の確実な避妊方法を周知していく必要がある点を上げています。

現在、広島県内では、361の薬局で緊急避妊薬の購入が可能です。今後、薬局と産婦人科などの専門機関がいかに連携を深めるか、そしてなにより男性側も正しい知識を持つことが、望まない妊娠を減らすために大切になります。
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