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止まらない“値上げラッシュ”に「高齢者のSOS増えてきた」 物価高騰の波にフードバンク・子ども食堂はイマ 広島 

「値上げの春」に関する話題です。帝国データバンクの調査によりますと、今月値上げされる食品は、みそやドレッシングなどの「調味料」や「酒」「飲料」、冷凍食品など「加工食品」など4225品目にのぼります。

また、5月には、電気、ガス料金の値上がりも予定されています。

この「値上げラッシュ」は夏にかけて続くと見られています。家計を直撃する物価高騰。その中で、地域を支える現場のイマを取材しました。

買い物に同行させてもらったのは、小学生2人を育てるご家庭です。

肉、野菜、お弁当のおかず…こどもの成長に欠かせない食べ物にも物価高騰の波は押し寄せます。一日の疲れを癒やすお酒も今月から値上げです。

「いつもは1~2本を買うが値上げ前なので…10本以上買いました」

食料品の値上げは家庭だけでなく、支援を必要とする団体・個人にも影響を与えています。広島市安佐北区の「あいあいねっと」でも、物価高騰による変化を感じています。

この日、企業などから寄せられた食料品の仕分け作業が行われていました。レトルト食品や缶詰、調味料や油…賞味期限を確認しながら、一つ一つボックスにより分けられます。

「あいあいねっと」は、食品ロスの解消を目的に、企業や農家などから余った食料を集め、必要とする団体や個人に無償でゆずる「フードバンク」です。2007年に活動を始め、現在、提供先は県内の福祉施設や生活困窮者支援団体、およそ80カ所に及びます。

あいあいねっと 橋本留里子さん
「やっぱり物価高騰によって食品代が大変だということで『支援をお願いします』っていう方が増えてきています」

物価高に支援を求める声は増えているということですが、一方で、フードバンクへの食料寄付は減っているそうです。

去年7月、全国のフードバンクを対象に行われたアンケート調査では、およそ6割を超える団体が「寄付が減った」と回答。企業のフードロス対策に加え、物価高騰による食料品の買い控えが進み、企業・家庭の双方で余剰在庫が減ったことがあげられています。特に深刻なのが値上がりが続くコメです。

あいあいねっと 代表・原田佳子さん「(コメの寄付は)3分の1以下です。段々減っている。小売店舗であまったものがフードバンクに来るんです」

(記者)「店でコメが余らなくなった?」

「そういうことでしょう」

多いときで600キロあったコメの寄付は100キロに満たない月も…

「おコメが本当に来なくなって。いまかろうじてイズミさんのフードドライブでこの2キロが届いているので」

あいあいねっとのスタッフが向かったのは近所にあるスーパーマーケットです。家庭で余った食品を店舗が回収する「フードドライブ」。このスーパーでは、広島エリアで初めて導入し、この日が最初の回収日です。

食品はあいあいねっとが回収し、支援先に届けられます。善意で寄せられた食品。もちろんどれも嬉しいのですが、値上げされると分かっていれば、喜びもひとしおです。

(あいあいねっとスタッフ)「マヨネーズが来ましたよ、マヨネーズが」

マヨネーズに喜んだのもつかの間…

(あいあいねっとスタッフ)「あ、これちょっと賞味期限が切れてる。3月だ」

代表の原田さんは、物価高での支援依頼は過去のリーマンショックやコロナ禍の不況とは少し異なると感じています。

「年金暮らしの高齢者からのSOSが増えてきた。物価はドンドン上がるのに年金はほとんど上がらないと。むしろ物価の値上がりについて行けないので(年金が)目減りしていると。そういうものが反映されてうちのところに支援(依頼)ということで表れている」

週1回、広島市の集会場で開かれる「夕焼けぽっぽ食堂」です。

ボランティア10人ほどが集まり、有機野菜や手作り味噌で作られた食事を子どもたちには無料で提供しています。

夕焼けぽっぽ食堂代表・初谷禮子さん
「子ども食堂って『困っているから行く』のではなくて、全体的にみんな困っている。食料に関しては」

ぽっぽ食堂もフードバンクから食料の提供を受けていますが、その量はやはり減っているそうです。

「2年くらい前と比べると少なくなっている。フードバンクさんも個人の申請者、個人で『援助して』という方が増えている。だからそれはもうしょうがないよね」

こども食堂は地域交流の場です。公園で遊び疲れた子どもたちのほか、保育園のお迎え帰りなど、多くの親子連れも集まります。

毎回およそ70食を準備し、食材が足りなければ、買い増しもします。思いに賛同し、食品を寄付する利用者も多いそうです。

こども2人と参加したお父さん「子どもたちは無料で大人は300円。全然(値段が)足りないと思うので、できる限りのことは協力していきたい」

夕焼けぽっぽ食堂代表・初谷禮子さん
「(家庭は)経済的に厳しくなるとどこを切り詰めるかっていったら食べることなんよ。大人は少々我慢もできるし、大人はいいとしても、子どもは一番大事なとき。食べることで体ができる」

少なくとも夏まで続くとみられる値上げラッシュ。家計を地域で支える取り組みがより大切になっています。

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