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なぜいま?「帯状疱疹」ワクチンが定期接種化 予防したいのはより辛い「後遺症」 “水疱瘡が減って帯状疱疹は増加” その背景は

新型コロナで「ワクチン」の存在が身近になった人も多いと思いますが、今年度から新しく「帯状疱疹」のワクチンが、高齢者などを対象に「定期接種」となります。なぜ、今、帯状疱疹ワクチンがこれまでより必要なのか、取材しました。

広島市佐伯区のかわい皮ふ科クリニックには、月に10人ほど帯状疱疹の患者がくるそうです。

帯状疱疹とは、体にピリピリとした痛みが出て、そこにできた赤い斑点と水ぶくれが帯のように広がっていく病気です。

歳をとったり、疲れたりして免疫力が低下すると、子どもの頃に感染した体内の水ぼうそうのウイルスが活発化して、発症します。

「ある女性」のケースです。

広島皮膚科医会 河合幹雄医師
「もうほとんど痕もなくなってますね。この辺とか肩の痛みもないですか?」
受診した女性
「ないです。ここがずっと痛かったのが、嘘みたいに」
河合幹雄医師
「早く治療始めたのが、後遺症が少なくてすんだおかげだと思います」

帯状疱疹の症状とは? なお辛いのはその後の後遺症・・・?

一般的に、帯状疱疹は2~3週間で治りますが、中には、「帯状疱疹後神経痛」となる場合があります。見た目では皮膚の症状が治っていても、「神経痛」として強い痛みが長く続きます。

この女性の場合は、疱疹が治まった後、痛みの種類が変わったそうです。

受診した女性
「ほんと、縫い針の細い分でピュッと刺されるように痛い。で、目が覚める。こういうようなところがグッと痛くなるとかね」

神経痛への移行が懸念されましたが、幸い、完治したということです。

受診する女性
「刺すような痛みはなくなった。ヤレヤレと思いますよ。治療は終わりだということでホッとしました」

広島皮膚科医会 河合幹雄医師
「皮膚はどの年代でも2~3週間すれば治るが、問題は、帯状疱疹は神経を傷めること。神経痛が長引くというのがあるので、発疹が出たら早めに、2~3日以内には医療機関を受診して、服薬を開始した方がいいと言われている」

最近では20代~30代の若い世代にも増加 なぜ?!

帯状疱疹の発症は、一般的に50歳から増加し、80歳までに3人に1人が発症するとされていますが、最近では20代~30代の若い世代にも増えている、といいます。

広島皮膚科医会 河合幹雄医師
「患者さんの数も増えてます。世代別に見ると20代~30代がかなり多くなっていてあとは高齢化で60代~80代が増えているという現状がある」

患者数増加の背景には、2014年から始まった水痘ワクチンの定期接種化があると言われています。

広島皮膚科医会 河合幹雄医師
「お子さんが水痘になると自分の(抗体が活性化して)免疫が上がるが、水痘にさらされなくなってきたから免疫が落ちてしまって、そこで帯状疱疹を発症する20代、30代が増えている。だから、水ぼうそうワクチンの定期接種化のせいで、増えているという風にも言われている」

帯状疱疹ワクチンは2種類 それぞれどう違う?

国は、帯状疱疹を防ぐにはワクチン接種が最重要だとして、今年度から高齢者などを対象に定期接種化に踏み切りました。

ワクチンには、1回で済み価格が低い「生ワクチン」と、効果が高いけれども2回接種しないといけない「不活化(組換え)ワクチン」の2種類があります。

広島皮膚科医会 河合幹雄医師
「ワクチンは、発症も防げれば神経痛も防げるので、むしろ神経痛に対しての(予防)注射、という流れだと思う。50~60代の若くて健康な人は、生ワクチンでもいいかもしれません。不活化ワクチンの方は、2回打たないといけないし値段も高いが、効果は圧倒的にこっちの方がよく効く。あとは回数だとか、値段だとかも考慮して決めていくしかない」

「ワクチンの定期接種化で水ぼうそうが減って帯状疱疹が増えた」という不思議な現象について、河合医師の話がありましたが、こういうことです。

かつて大人は、近くにいる子どもが水ぼうそうにかかることで、そのウイルスにさらされて体内の抗体を活性化させていました。

しかし、2014年以降、水ぼうそうの(水痘)ワクチンが定期接種化したことで子ども達が水ぼうそうにかからなくなり、結果、大人たちは免疫力を高める機会を失い、同じウィルスが元となる帯状疱疹を発症しやすくなったと考えられているそうです。

そこで今年度から定期接種化されたのが、帯状疱疹に対するワクチンです。65歳以上、5歳ごとの対象年齢などに対して補助が始まります。(自治体によっては拡充している市町もあります)

5年後には5割を発症させない「生ワクチン」と、10年経っても8割を発症させない「不活化(組換え)ワクチン」の2種類ありますが、どちらのワクチンにしても、自治体ごとに、自己負担額が変わります。

県内で助成額が高く、自己負担額が低いのは、竹原市。県内で自己負担額が一番高いのは、広島市。広島市は、「定期接種B類(高齢者のインフルエンザワクチン)と同じように薬剤費を受益者負担とする」という考え方で決めているとのことです。

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