カカオ豆の状態から、広島県内で、手作業で加工されているチョコレートがあります。丁寧な製造現場を取材してきました。
竹原市の国道2号・田万里バイパス沿いにある「あさひチョコレートカフェ」。小学校だった場所をリノベーションして3年前にオープンしました。チョコレートを専門に扱うカフェで全てのメニューにカカオが入ります。
ガトーショコラを食べたお客さん
「チョコの味がしっかりして濃いくて、すごいおいしいです」
この店で、今の季節に一番人気なのは、やさしい甘さのホットショコラ(¥550)と、カカオ豆の産地ごとの味比べができる利(きき)チョコ(¥300)。このチョコレートは、生豆の状態から、この場所で手作りされています。
カフェの隣の教室で、この日加工されていたのは、タンザニアで栽培されたカカオ豆。焙煎した後、皮と胚芽を取り除くことがおいしさの決め手になります。
多機能型事業所あさひ 佐伯真鈴支援員
「それ(胚芽)が入っていると、チョコレートの中に渋みが出てしまうので」
皮はともかく、わずか数ミリの胚芽まで…。恐ろしく根気のいる工程が、ここでは、スタッフの手作業で行われます。
あさひチョコレート工房 置名朋美さん
「難しいけど簡単です」
Q.ずっと集中して細かい作業するのはお得意?
あさひチョコレート工房 中川凌我さん
「お得意なんです!」
ここは、「多機能型事業所あさひ」が運営する作業所で、知的障害のある人達が働いています。
多機能型事業所あさひ 佐伯真鈴支援員
「黙々と集中して取り組む作業が得意な方がたくさんいらっしゃるので…」
粉砕したカカオニブを、石臼でペースト状にして、砂糖を混ぜるコンチングという工程にもこだわります。なめらかな舌触りにするためには、豆の油分がしっかり溶け出るようにゆっくりと。およそ2日間かけます。
多機能型事業所あさひが、チョコレート作りに乗り出したのは、7年前の西日本豪雨がきっかけでした。
多機能型事業所あさひ 佐伯真鈴支援員
「道路が寸断されてしまったことが理由で、利用者さんに作業を提供することができなくなってしまったことがあったので、自主製品を自分たちで何か作っていこうっていうことで、その時に利用者さんが『かっこいい仕事がしたい』って言う声が上がったので」
広島大学でチョコレートを研究する教授のサポートなどもあり、付加価値の高いチョコレートの加工に取り組み始めたのは、5年前でした。
多機能型事業所あさひ 佐伯真鈴支援員
「チョコレートは、何回も、何回でも溶かしてやり直しができるっていうところと、チョコレートだけじゃなくて、例えばアイスクリームにもできますし…色んな商品がそこからまた作れるっていうところもすごくメリットがありますので」
商品化して、カフェを構え、キッチンカーもスタート。スタッフのモチベーションも上がっているということです。
Q.ご自身ではどなたかに?
あさひチョコレート工房 置名朋美さん
「お父さんにあげたいと思ってます」
なお、主力だったガーナ産をはじめ、カカオ豆の高騰が著しく、販売価格は今年から上げざるを得なかった、とのことです。
販売されているチョコレートは、現在1枚¥1000~¥1200。いずれもカカオ豆71%と、かなりしっかりカカオの風味が味わえます。タンザニア産、ガーナ産、ベネズエラ産…産地によって異なる香りや味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか?
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