広島市の安佐動物公園でちょっと変わったツアーが人気を集めています。名づけて、クマ痕跡ツアー。この週末に現地で取材しました。
2月8日、今シーズン最強の寒波に見舞われた安佐動物公園。
学芸員
「この中のクマの爪痕の写真どれだ?これだと思う人?…爪痕ですね」
一面、雪景色の園内で行われたのは、野生のツキノワグマの痕跡を観察するツアーです。
学芸員「実は全部、違います」
参加者「全部違う!」
学芸員「こんな派手なことしない…こっそり来て、こっそり帰っていきます」
今年1月から毎週土日に行われている人気のツアー。大雪の中で参加した人たちは、学芸員の説明を熱心に聞いていました。
園内で初めて野生のツキノワグマが確認されたのは5年前。去年も度々確認され、安全のため一部が閉鎖される事態となっています。
学芸員「この枝が折れている所、全部クマです」
参加者「これ、どうやってあそこ行ったのですか?」
学芸員「登って行く」
参加者「登れるのですか?」
学芸員「あそこまで普通に登ります」
こちらは、クマが食べた木の実です。
学芸員
「いわゆるドングリより栗に近い仲間。この木に登ったということは爪痕があるはず。探してみましょう。それぞれの木にあります。…正解です」
参加者は爪の実物を手に取って、クマが木に登る様子を想像します。
「登るときに引っ掛けるだけなんだけど下りでズズッと降りてくると言われてましてそのときの傷だと思われます。これが当時の写真」
獣医師
「人がいる、入っている時間帯には(クマは)一度も出ていないのですよ。健全なクマなのですよ。うちに出ているクマは」
園内での出没を防ごうと、クマが爪をかけられないトタン張りフェンスの対策を検討しているそうです。
参加者
「ちゃんと食べ物があれば人間には攻撃してこないというのはあるんだなと思うので、(クマと)生活圏を分けないと厳しいですね」
学芸員
「広島市の市街地に近い所ではあるのですけど、山の続きを考えると西中国山地の南…東の端になるのですね。クマが生息している範囲の端っこに位置する、本来住んでいる端っこということなので出て来てもおかしくはなかった。たまたまフェンスを越えることを覚えてしまったクマが来始めてしまったということだと思います。」
安佐動物公園では、ツアーが本来の野生のクマを知ってもらう好機になると考えています。2月16日には、クマなど野生動物や自然環境への理解を深めるシンポジウムも開きます。
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