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「リリー、本当に信じていいですか?」恋した相手はロマンス詐欺師 “リリー・ローランド”にだまされた男性(67)が語る「米軍女医」の卑劣な手口 SNSで155万円被害 広島

SNSを使った詐欺が後を絶ちません。県警は10日、ことしに入ってから6月末までにSNS型投資詐欺・ロマンス詐欺の被害は合わせて180件、その被害額は22億1850万円に上っていると発表しました。恋愛感情などを利用して金銭をだまし取るいわゆるSNS型ロマンス詐欺の被害にあった男性が、RCCの取材に応じました。その手口とは。

被害男性:
「自分はだまされないと思ってましたよね」

三原市に住む60代の男性は、ことし4月までに合わせて155万円をだまし取られるロマンス詐欺の被害に遭いました。

被害男性:
「友だちになってもいいですか?って。それで何気なく『まあいいか』ということでOKしたら相手から連絡があったんです。『私も仕事を辞めて定年退職していますよ』などと、お互いの趣味などたわいもない話をずっとしてたんです」

男性のフェイスブックアカウントに女性から連絡があったのは2月のことでした。女性はシリアに駐在するアメリカ軍医師だと名乗り、男性は女性から誘導されLINEでやり取りをするようになります。

一人暮らしの男性はまめに返信をくれる女性に、次第に好意をもつようになりました。

Q.名前は名乗りました?

被害男性:
「ええ。リリー・ローランドと」

Q.リリー・ローランド?

被害男性:
「はい」

実際に送られてきたリリー・ローランドを名乗る人物の写真を男性が見せてくれました。40代から50代とみられる金髪の女性。ドレス姿や軍服姿の写真も。プロが撮影したと思われる写真のほか、プライベート写真のようなものまで。バリエーションは豊富です。

この女性は一体誰なのか。提供された写真を調べると、実在する外国の著名人の画像が使われていることが分かりました。

記者:
「この写真もそうですね。すべて別人のものでリリー・ローランドという人物のものではありません」

=医師姿の写真=
「この写真も顔の部分だけ貼り付けられた合成だと思われます」

リリー・ローランドから送られてきた写真は、本人を示すパスポートのほか、米軍のものとみられるIDカードなどもありました。

男性:
「リリーは、『シリア政府から多大な報奨金をもらった』と。自分の身内はアメリカで暮らす小さな娘しかいないので、出金するために『報奨金を送るので預かってほしい』と」

「報奨金を送るため、配送業者への支払いを立て替えてほしい」。リリーからの依頼を疑問に思いつつ、「返金してくれるなら」と考えた男性はこれに応じてしまいました。リリーは、男性に「配送料」としてコンビニで電子マネーカードを購入するよう求めました。

【LINEやりとり】
「リリー、本当に信じていいですか?」
「心から信じてほしい、約束する35万円分のギフトカードを買って全部送ってください」
「どこに送るの?」
「カードをスナップして今すぐ私に送ってください、ここのLINEで私に送ってください」
「了解」
「コンビニに着きましたか?」
「いまつきましたよ。リリー、本当にだまさないか!」
「どうすればあなたを騙すことができますか」

配送料としてギフトカード35万円分を購入すると、リリーはそこから次々に金を要求し続けました。

【LINEやりとり】
「どのくらいもっていますか?」
「5万が精一杯です」
「私の愛 50000円は少ないですね。30万円にしてください」
「無理ですよ!掻き集めても頑張っても10万が限度」
「あなたの優しさに本当に感謝しています 愛してます 今すぐコンビニに行ってカードを買ってください。待ってます」

男性は詐欺の可能性を何度も疑いましたが、「日本で一緒に暮らしたい」というリリー・ローランドの言葉と、送られてくる現金の写真などから要求に応じ続けてしまいました。

【LINEやりとり】
「もう金がない!今は、虚しさ、悲しさだけ自分か情けないです。本当に」
「愛する人よ、日本への飛行機に乗ります」
「分かりました 待ってます!」
「私の愛 チケット代はいくらくらい払えますか?」
「もう、100万円貸してますからね。必ず返してくださいよ」
「はい、私は愛します」

2024/3/26(火)
「愛しい人 飛行機に乗り遅れてしまったことをお詫びします」

男性は結局リリー・ローランドと直接会うこともないまま、2ヶ月間で26回にわたって合わせて155万円分の電子マネーカードをだましとられてしまいました。

被害男性:
「悔しい。相手の顔が見えないとなんでもできるんかなって」

Q.途中、だれかに相談は

被害男性:
「しなかったです。やっぱり恥ずかしいというか、言いたくないような気持ちがありました」

それでも、被害額が高額に上ったことから泣き寝入りはできないと考え、男性は警察に相談し、被害届を提出しました。男性はリリー・ローランドとのやりとりを初めて他人に話しました。「誰かに伝えることで少しだけ落ち着いた」と男性は語りましたが、警察からはお金はすでに使われていて、返金は難しいかもしれないと伝えられました。

年金の受給額にしておよそ1年分。なぜ詐欺に気がつけなかったのか。男性は今も後悔しています。

SNSを使い、見知らぬ相手の恋愛感情などを利用して金銭をだまし取るロマンス詐欺の被害は、県内で相次いでいます。

警察は9日、東広島市の男性が1310万円、福山市の女性が約690万円をだまし取られる被害があったと発表しました。いずれもSNSからLINEに誘導し、複数の人物を登場させて被害者を信じ込ませる手口だということです。

被害の拡大に、県警は危機感を募らせています。

広島県警・減らそう犯罪情報官 太田貴之警視
「SNS型ロマンス詐欺は去年と比較して1億7000万円以上の被害の拡大を認知しています。被害を受ける方の大半が50歳以上の方。高齢の方にもスマートフォンやSNSが普及したことが背景にあると思います。犯人は信用させるよう、写真などを見せて言葉巧みにだまします。直接あったこともない人物から金の話がでたら詐欺を疑ってほしい」

SNS型ロマンス詐欺は、長期間にわたって金銭をだましとられるため被害が高額になる点も特徴です。また、誰にも知られたくないという思いから、被害を届け出ない人もいるとみられています。

三原警察署 西川博志署長
「甘い話には必ず裏があって必ず誰かが損をするような仕組みになっている。迷わずに身近な方とか警察に相談いただきたい」

感情をもてあそび、金銭をだまし取ろうとするロマンス詐欺。SNSへの向き合い方が問われています。

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