広島県は中国地方を代表する経済エリアのひとつです。マツダに象徴される自動車産業や、鉄鋼、造船など重工業のイメージが強い一方で、実は先端企業、食品、流通、金融、観光、環境関連まで、多様な産業と企業が集まり、地域経済を力強く支えています。
広島の企業の魅力は、地域に根ざしながら全国、そして世界へ挑戦していることです。あの有名企業も広島発祥であったと驚かれることもあるでしょう。
モノづくりの技術、瀬戸内海の恵みを活かした食文化、暮らしを支える小売や金融、国内外から人を集める観光資源。それぞれがつながることで広島ならではの産業の厚みが生まれています。この記事では、広島を代表する有名企業から、地元で活躍する優良企業までを業界別にわかりやすく紹介します。
1.広島企業の全体像と特徴
広島の企業を語るうえで外せないのが、製造業の強さです。マツダを中心とした自動車関連産業はもちろん、呉・尾道・福山に広がる造船・金属加工・製鉄、地域の食文化を全国に広げる食品メーカー、暮らしを支える流通・金融まで、産業のすそ野が広いのが特徴です。
また、広島は単に大企業があるだけの地域ではありません。大手企業を支える中小企業や、独自技術をもつ地場企業、地域密着で支持されている小売・サービス企業が数多く存在します。大手企業と地元企業が相互に補完しながら地域経済を支えていることが、広島経済の大きな強みになっています。広島県の産業構造は、地域密着型の企業文化とグローバル展開する大手企業が共存し、バランスの取れた経済基盤を形成しています。
さらに近年、広島駅周辺の再開発や再整備事業、観光需要の高まりによって、広島の魅力は「働く場所」としても「訪れる場所」としても高まりつつあります。2025年8月には広島電鉄「駅前大橋ルート」開業により、広島駅ビル2階に乗り入れが開始されました。これは全国で唯一JRの駅ビル2階に直接乗り入れる路面電車となり、JRと路面電車の乗り換えが大幅に短縮され利便性が向上しました。さらに2026年3月には広島中心部の魅力スポットを結ぶ「循環線」も開業され、都市機能と観光の回遊性が高まり、広島の企業経済活動を後押ししています。
広島駅商業施設として、2019年10月に「ekie(エキエ)」が開業し2025年3月には「minamoa(ミナモア)」が開業しました。おもな違いは、コンセプトと店舗規模です。エキエ(130店舗)は観光・お土産・グルメ中心ですが、ミナモア(約220店舗)は、若者や地元客もターゲットにした雑貨・ファッション・食が充実した大型商業施設です。 連日多くの利用客や観光客で賑わっています。
1.1 広島経済を支える主要産業
広島の経済はおもに次の分野で支えられています。
自動車産業 造船・金属・機械産業 食品産業 観光・サービス産業 金融・流通産業
1.1.1 自動車産業|マツダを中心としたサプライチェーン
広島の自動車産業は、マツダ株式会社を中核とした強固なサプライチェーンで構成されています。マツダの本社工場がある府中町を中心に、数百社の部品メーカーや関連企業が集積しています。独自の技術開発力を持つマツダを支える、マツダE&Tなど協力企業も多く、多数の自動車部品メーカーが高い技術力とスピード感で高品質な製品を提供しています。
1.1.2 造船・金属・機械産業|瀬戸内の港湾と呉市の造船技術
呉、尾道、福山などでは、造船や、金属加工、機械製造が長く発展してきました。特に呉市を中心とした造船業は、明治時代からの長い歴史と技術の蓄積を誇ります。瀬戸内海の穏やかな海域と港湾機能を活かし、大型造船から産業機械まで幅広いものづくりを支えています。この地域の造船業の発展は、1889年の呉鎮守府設置に始まり、戦前は東洋最大の軍港として栄えました。戦後は民需転換を図り、現在は世界最高水準の造船技術を保有する産業集積地となっています。
ジャパンマリンユナイテッド呉事業所が大型コンテナ船や防衛省や海上保安庁向け艦艇などの建造を手がけ、国内外から高い評価を受けています。同事業所では年間約20隻の大型商船を建造し、特にコンテナ船や自動車運搬船の分野で世界トップクラスの技術力を発揮しています。なお2026年1月より同社は今治造船の子会社になり、グループ全体で国際競争力を強化しています。
近年は環境負荷軽減への取り組みも活発で、LNG燃料船やアンモニア燃料船の開発、自動運航技術の実装など、次世代海運業に向けた技術革新を推進しています。
72年間続いた日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区は2023年9月に閉鎖廃止されましたが、防衛省の「複合防衛拠点」の整備やエネルギー産業の誘致などが跡地利用について検討協議されています。
JFE西日本製鉄所は、広島県福山市と岡山県倉敷市にあるJFEスチールの銑鋼(せんこう)一貫製鉄所で、福山地区は東京ドーム約300個分の敷地をもつ、単一工場としては日本最大規模の製鉄所です。高炉から製品までの一貫生産体制で自動車用薄板や高機能鋼材を生産する世界トップクラスの生産技術を誇ります。
1.1.3 食品産業|お好みソースから菓子・飲料まで幅広く展開
広島の食品産業は、地域の食文化と深く結びついた独自性が最大の特徴です。この独自性は単なる地方の特産品レベルを超えて、全国的なブランド価値を持つ商品群を生み出しています。
オタフクソース株式会社は1922年の創業以来、広島風お好み焼きの普及と共に成長を続けており、現在では国内お好みソース市場でトップシェアを占め、お好みソースの代名詞的存在です。同社の成功は、単なる調味料メーカーではなく「お好み焼き文化の伝道師」としての役割を果たしている点にあります。お好み焼きの作り方指導、専用器具の開発、食材の提供まで、総合的な食文化支援事業を展開しています。
菓子製造分野では、にしき堂、藤い屋、やまだ屋などが「もみじ饅頭」ブランドで競合しながらも、それぞれが独自の特色を打ち出しています。これらの企業は観光産業との連携もあり、バリエーション豊富な広島土産の定番商品としての地位を確立しています。
1932年創業のアヲハタ株式会社は瀬戸内海の温暖な気候で育ったフルーツを活用し、国内ジャム市場でトップブランドです。「アヲハタ55ジャム」シリーズは、1970年販売当時低糖度55%を実現した日本初の低糖度ジャムとして消費者から高い支持を得ています。2025年11月キユーピーの完全子会社となり、海外展開を積極化しています。
1949年創業の三島食品は、ふりかけとしてロングセラーの「瀬戸風味」や、赤しそチップブランドふりかけ「ゆかり」で有名です。素材への徹底したこだわりと、業務用市場で高いシェアを誇り、米国・タイ・中国などにも進出し商品の拡販を図っています。
1.1.4 観光産業|宮島・尾道を中心に成長するサービス業
世界遺産である厳島神社や原爆ドーム、尾道といった観光資源を背景に、宿泊、交通、飲食、小売などのサービス業も、広島経済の重要な柱です。新しい宿泊施設の計画も続々と発表され、観光は地域の魅力を伝えるだけでなく県内企業のブランド価値を高める役割も果たしています。
2023年5月にG7広島サミットが広島市内で開催され、被爆地広島は世界中が改めて注目する観光地になりました。広島県の総観光客数は令和6年(2024年)年間約6,474万人(延人数:令和7年広島県観光連盟)となっています。インバウンド効果もあり、外国人観光客も約421万人と過去最多を更新しました。この観光需要を支える企業群は、伝統的な老舗旅館から最新のホテルチェーン、交通事業者、飲食店、土産物メーカーまで多岐にわたります。
宮島では岩惣、錦水館などの老舗旅館が100年以上の歴史を持ち、世界遺産の島での特別な宿泊体験を提供しています。これらの旅館は単なる宿泊施設を超えて、日本の伝統文化を体験できる場として国内外の観光客から高い評価を受けています。
尾道では古民家を活用したゲストハウスや小規模宿泊施設が注目を集め、しまなみ海道の拠点として、目的に応じた様々な宿泊施設が選べるのが特徴です。新しい観光体験を創出しています。株式会社ONOMICHI U2は県営上屋2号倉庫だった海運倉庫をリノベーションした複合施設として、宿泊・飲食・物販を一体化した新しいビジネスモデルを確立しています。
観光交通では、広島電鉄株式会社が路面電車とバスを運営し、観光客と地元住民の両方を支える重要なインフラとして機能しています。同社はJR広島駅の駅ビルへの直接乗り入れを運用開始。新路線循環線や観光路線の充実や多言語対応、キャッシュレス決済の導入など、インバウンド観光に対応したサービス改善を継続的に実施しています。
1.1.5 金融・流通産業|広島銀行・イズミなど地元の経済基盤
株式会社広島銀行は中国地方最大の地方銀行です。親会社のひろぎんHDは、預金残高約9兆4372億円、貸出残高約7兆9345億円の規模(2025年3月期)を誇り、実際の金融サービスを提供する広島銀行は地域企業への資金供給と経営支援の中核的役割を担っています。同行は単なる金融サービスの提供にとどまらず、地域商社機能、M&Aアドバイザリー、海外進出支援など、総合的な経営コンサルティング機能を発揮しています。
流通業では株式会社イズミが「ゆめタウン」「ゆめマート」ブランドで中国・四国・九州地方にグループ全体で約266店舗を展開し、年間売上高約5,700億円(2026年2月期)を達成しています。同社の特徴は、大型ショッピングセンターを核とした地域密着型の店舗運営にあり、広島・九州各地域の特性に応じた、衣食住の商品構成やサービス提供を行っています。
これらの金融・流通企業は地域経済の基盤として、地域住民の生活インフラを支えると同時に、地域企業の成長を促進する重要な役割を果たしています。特に中小企業の事業拡大や新規創業の支援において、不可欠な存在となっています。
1.2 広島企業の規模と全国における位置づけ
広島県の企業規模と経済力は、全国47都道府県の中でも上位に位置する実力を持っています。製造業を中心とした産業集積により、一人当たりの付加価値額も全国平均を大きく上回る水準を維持しています。
※総務省「経済センサス-活動調査」(2021年)、広島県統計課資料より
広島県内の企業の約99%を中小企業が占めており、県内従業員の約77%がこれらの企業で働いており、地域経済の多様性と安定性を支えています。従業員300人以上の大企業の就業者比率は23%と高く、マツダや中国電力といった大手企業が雇用の中核を担っています。この大企業と中小企業のバランスの良い構成が、広島経済の特徴の一つとなっています。
中小企業(従業員30人以上300人以下)が約2,800社存在し、これらの企業が地域経済の中間層として重要な役割を果たしています。これらの中小企業の多くは、大手企業のサプライチェーンに組み込まれながらも独自の技術力を持ち、技術革新の重要な担い手となっています。
1.2.2 広島のGDP・経済規模の全国ランキング
広島県の県内総生産(GDP)は約12.6兆円(2023年度 広島県県民経済計算)で、全国第12位の経済規模を誇ります。この規模は中国地方全体のGDPの約38.9%に相当し、中国地方では圧倒的な存在感を示しています。最新の令和5年度(2023年度速報値)一人当たり県民所得は約331.6万円 前年比2.3%で増加傾向にあり、全国で9位と生産性の高い経済構造を実現しています。
製造業の付加価値額は約2.96兆円で全国第11位(2024年)の規模を誇り、特に自動車産業の貢献が大きくなっています。輸出額は約2.8兆円で全国第11位となっており、グローバル経済との結びつきの強さを示しています。
産業別のGDP構成比では、製造業が35%、サービス業が28%、建設業・不動産業が各8%となっており、製造業を基盤としながらもバランスの取れた産業構造を形成しています。この多様な産業構造により、特定産業の景気変動に左右されにくい安定した経済基盤を築いています。
※内閣府「県民経済計算」(2023年度)、総務省「人口推計」(2023年10月)、内閣府県民経済計算(平成23年度-令和4年度)各証券取引所資料より 広島県 令和4年広島県県民経済計算結果
広島県は中国地方5県の中で、経済規模・人口・企業集積すべてで、首位を占めており、地域の中核都市としての地位を確立しています。特に上場企業数の多さは、企業の成長性と資本市場からの評価の高さを示しています。中国地方における広島の優位性は明確で、岡山県、山口県、島根県、鳥取県と比較しても、特に広島市は中国地方の中枢都市として、多くの企業の支社や営業所が設置される拠点となっています。
2.広島を代表する有名企業まとめ マツダだけじゃない広島を支える代表企業と優良企業を紹介

広島県には全国的に知名度が高く、各業界でトップクラスの実績を持つ企業が多数本社を構えています。これらの企業は単に広島に拠点を置くだけでなく、地域経済の牽引役として重要な役割を果たしています。
これらの代表企業は、それぞれが属する業界で独自のポジションを築いており、広島ブランドの価値向上に貢献しています。特に注目すべきは、地域に根ざしながらもグローバルに展開している企業が多い点で、地方都市としては稀有な企業集積を実現しています。
※各社有価証券報告書(2025年3月期)、企業公表資料より
2.1 マツダ株式会社|広島を代表するグローバル企業
広島といえば真っ先に名前が挙がるのがマツダ株式会社です。戦後の復興期から世界に挑み続けてきた自動車メーカーであり、広島に本社と研究開発拠点を構えながら、今やグローバル市場で高い存在感を放っています。技術革新と人馬一体の走りの歓びを表現した「Be a driver」や「走る歓び」を追求する姿勢は、地域経済だけでなく世界の自動車産業に大きな影響を与えています。
2.1.1 本社・拠点情報
マツダ株式会社は1920年に東洋コルク工業として広島で創業し、後に「東洋工業」を経て現在の社名となりました。本社は安芸郡府中町にあり、ここにある本社工場は世界最大級の自動車一貫生産拠点です。国内では防府工場(山口県)でも生産を行い、海外では米国・メキシコ・タイ・中国に拠点を展開。研究開発拠点は広島県内に集中しており、広島はまさにマツダの頭脳と心臓部といえます。
2.1.2 売上高・従業員数
2025年3月期の連結売上高は約5兆189億円。単体の従業員数は約23,391人。連結の従業員は約48,783人、そのうち単体従業員の大半が広島県内や山口県防府工場に勤務しています。雇用・税収・関連企業への波及効果を含めて、マツダは広島経済を支える最大の存在です。
2.1.3 世界市場での存在感(EV戦略・海外販売)
マツダは「人馬一体」の走りを体現する独自のSKYACTIV技術や、ロータリーエンジン開発で培った技術力で世界に存在感を示してきました。電動化の波にも対応し、2029年以降に独自の専用プラットフォームを搭載した新型モデルEV(電気自動車)を市場投入予定です。トヨタ自動車との提携も進めており、次世代車両の共同開発に取り組んでいます。
海外販売比率は約85%と高く、欧州・北米・アジア市場で安定したシェアを確保。グローバル販売台数は約130万台。近年はSUVの販売が世界的に好調で、世界市場で「広島発のグローバルブランド」としての地位を確立しています。
2.2 中国電力|エネルギーインフラの中核
中国電力は中国地方5県すべてに、電力を供給する中核的インフラ企業です。電力の安定供給を使命とし、再生可能エネルギーや地域社会への貢献活動にも積極的に取り組んでいます。人々の生活や産業を支える「なくてはならない存在」として、70年以上にわたり地域と共に歩んできました。
2.2.1 会社概要と本社所在地
中国電力株式会社(通称:中電)は1951年に設立され、広島市中区に本社を構えます。中国地方5県(広島・岡山・山口・島根・鳥取)に電力を供給しています。
2.2.2 売上・電力供給エリア
2024年度(2025年3月期)営業収益は約1兆5,292億円。営業利益は1291億円です。供給エリアは中国地方5県。総販売電力量は517.5億kWhで、供給エリアは約32,282km²に及び、約700万人の生活を支えています。瀬戸内海沿岸の火力発電所、中国山地の水力発電所、さらには島根原子力発電所を持ち、地域の安定した電力供給体制を確立しています。
2.2.3 再エネ事業・地域貢献活動
中電は「2050年カーボンニュートラル」を掲げ、再生可能エネルギー事業を積極的に拡大しています。太陽光・風力に加え、洋上風力の導入や蓄電池システムの開発にも着手。2030年までにCO₂排出量を2013年度比60%削減。再エネ比率を大幅に高める方針です。
また、地域貢献にも力を入れており、教育支援や文化イベントへの協賛、災害復旧支援など地域密着型のCSR活動を展開。電力事業を超えて、地域社会の持続的発展に取り組んでいます。
2.3 広島銀行|地域経済を支える金融機関
広島銀行は140年以上の歴史を持つ地方銀行で、広島をはじめとする中国地方経済の屋台骨を支えてきました。中小企業から個人まで幅広い顧客を支え、資金供給や経営支援を通じて地域経済の発展に大きく貢献しています。単なる金融機関を超えた「地域のパートナー」としての役割を果たしている点が特徴です。
2.3.1 預金・貸出高の規模
株式会社広島銀行(通称:ひろぎん)は1878年広島県内最初の銀行として尾道に創業。老舗金融機関で、中国地方最大の地方銀行です。従業員は約3160人。親会社のひろぎんHD2025年3月期の預金残高は約9兆4372億円、貸出残高は約7兆9345億円に達し、広島県内シェアは預金で約37%、住宅ローンシェアで約40%、メインバンクシェアは約37%と1位で圧倒的な存在感を誇ります。
2.3.2 地域企業への融資支援
広島銀行は「幅広いサービスを通じて、地域社会と地元企業と共に「未来を、ひろげる。」をパーパスに掲げ、中小企業への融資や経営改善支援に積極的です。創業支援から事業承継まで、企業の成長段階に応じた支援を行う伴走型金融機関として評価されています。
2.3.3 地域密着型金融の取り組み
単なる資金供給にとどまらず、農業や観光など地域の基幹産業を対象とした専門チームを設置。地域商社機能を発揮して販路開拓やM&Aの仲介も行っています。近年はデジタルバンク化を推進し、アプリやキャッシュレス決済など利便性向上にも取り組んでいます。
さらに、広島県の地方創生事業や文化振興活動にも参画しており、地域経済のエンジンとしてなくてはならない存在です。
2.4 食品メーカー|広島発の食文化を支える企業
広島県の食品メーカーは、単なる地域の名物にとどまらず、全国ブランドへ成長しながら広島の食文化を発信しています。創業の背景や代表商品には、地域の歴史や暮らしに根差したストーリーがあり、これが企業の強みやブランド力の源泉となっています。
2.4.1 オタフクソース|お好み焼き文化を全国へ
オタフクソース株式会社は1922年(大正11年)広島市で酒類や醤油の卸・小売業「佐々木商店」として創業しました。戦後の混乱期に、栄養価の高い料理として広まった広島風お好み焼きと共に成長を遂げ、現在ではお好みソースで国内でトップクラスのシェアを誇ります。
同社は「ソースメーカー」にとどまらず「お好み焼き文化の伝道師」として知られています。お好み焼き専用の小麦粉や具材の提供、焼き方指導、さらには海外でのお好み焼き普及活動までを幅広く展開しています。お好みソースは米国やマレーシアでも生産されており、世界50か国以上に輸出されるソースは、今や「広島の味」としてグローバルに浸透しています。
また、広島市にある「Wood Egg お好み焼館」では、ソースの製造工程やお好み焼きの歴史を学べる体験型施設を運営。広島駅OKOSTAでは、鉄板お好み焼き体験ができる施設として、国内外の観光客に高い人気を誇り、広島の新しい観光名所となっています。
2.4.2 カルビー広島工場|全国ブランドを支える拠点
カルビー株式会社は1949年、松尾孝(まつおたかし)氏が広島市で創業した、まさに広島発祥の全国ブランド企業です。社名の「カルビー」は「カルシウム」と「ビタミンB1」を組み合わせた造語で、戦後の栄養不足を補う食品づくりを目指した理念が込められています。
代表商品「かっぱえびせん」は1964年に誕生。開発のきっかけは、瀬戸内海で水揚げされる小エビを余すことなく活用したいという想いでした。「やめられない、とまらない♪」というキャッチコピーとともに国民的スナックとなり、年間1億6千袋(2024年)を生産するロングセラー商品として今日まで愛され続けています。
現在の本社は東京・千代田区に移転しましたが、広島との縁は深く、2025年操業開始の最新鋭「せとうち広島工場」(広島市佐伯区)は「人と地球の笑顔をつくりだす未来を形にする工場」としてポテトチップスなどの国内生産一大拠点です。1970年に設立された広島工場は広島みやじま工場(廿日市市)に移転名称変更され、「かっぱえびせん」をはじめ多くの商品が生産され、安定した品質管理と効率的な物流を支えています。かっぱえびせんの製造の様子も工場見学でき人気です。カルビーにとっては広島は創業の地であり企業アイデンティティの原点とされています。
2.4.3 にしき堂|もみじ饅頭の老舗メーカー
株式会社にしき堂は1951年に広島市で創業し、「もみじ饅頭」を専門に製造・販売する企業です。戦後の復興期に「広島を象徴する土産菓子を作りたい」という想いからスタートし、今では1日平均10万個(最盛期は30万個)年間約7,000万個を生産する広島土産の定番ブランドに成長しました。
にしき堂の特徴は、伝統を守りながらも革新を続ける姿勢です。小豆あんを用いた昔ながらの味に加え、クリームや抹茶、さらには生もみじ(生地にもち粉を使用してもちもち食感を実現)など新しいフレーバーを次々に開発。観光客だけでなく地元の人々にも愛される存在となっています。
また、広島カープとのコラボ商品や期間限定フレーバーを展開するなど、時代に合わせた挑戦を続けている点も注目です。宮島や広島駅構内の直営店
では製造工程を見学できるスペースもあり、観光体験としても人気を集めています。
2.4.4 アヲハタ|瀬戸内フルーツを使ったジャムメーカー
アヲハタ株式会社は1932年、広島県竹原市忠海(ただのうみ)で創業したジャム・フルーツスプレッド専門メーカーです。社名の由来は「青旗」で、誠実と品質を象徴しています。
戦後の食生活の洋風化を背景に、日本でいち早く本格的なジャム生産に取り組みました。1970年代に登場した「アヲハタ55ジャム」は、果実含有率を55%以上に高めた高品質ジャムとして爆発的にヒット。今もロングセラーとして国内ジャム市場トップシェアを維持しています。
アヲハタの強みは、瀬戸内の温暖な気候と豊富な柑橘類を活かした商品開発にあります。因島のはっさくや大崎上島のレモンなど、地域特産の果物を使用した限定シリーズは地元色豊かな商品として人気です。さらに、親会社のキユーピーグループの一員として、品質管理や研究開発の面でも全国トップレベルの体制を誇ります。
広島本社の隣には「アヲハタジャムデッキ」という体験型施設があり、ジャム作り体験や工場見学が楽しめる観光スポットとしても注目されています。
2.5 その他注目の広島企業
2.5.1 イズミ(ゆめタウン)|中国地方最大の流通チェーン
株式会社イズミは1961年、広島市で呉服店からスタートしました。当初は「いづみや」という屋号で地域密着の小売業を展開していましたが、時代の変化に合わせて総合スーパーへと転換し、現在では「ゆめタウン」「ゆめマート」を主力とする大規模チェーンに成長しました。
広島市南区に本社を置き、中国・四国・九州地方を中心に約266店舗を展開。年間売上高は約5700億円にのぼり、中四国地方最大の流通グループです。
特筆すべきは、地域ごとのニーズを徹底的に調査し、それぞれの店舗で「地元の顔」となる商品ラインナップを揃えていることです。地元産野菜や魚介類を積極的に取り扱い、地域の農業や漁業とも密接に連携。地域社会と共に歩む姿勢が、地元住民からの圧倒的な支持につながっています。顧客の声に直接向き合う「現場主導経営」を実践していることが特徴です。
また「ゆめカード」という独自のポイント制度や電子マネーも導入し、顧客の囲い込み戦略に成功。イズミは単なる小売業者ではなく生活インフラを担う存在として広島経済を支えています。
2.5.2 JR西日本中国支社|広島駅再開発と地域活性化 広島電鉄との共同開発
西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)中国統括本部は、広島市南区の広島駅構内に拠点を置き、中国地方の鉄道輸送を担っています。特に注目されているのが、現在進行中の広島駅大規模再開発プロジェクトです。大屋根ペデストリアンデッキは2028年完成予定です。
この再開発では、南北自由通路や駅ビルの新築、商業施設やホテルの導入などを通じて、広島駅を中国地方随一の交通・商業ハブへと進化させることを目指しています。
2025年3月24日には待望の新しい広島駅ビルminamoa(ミナモア)が開業。中四国初出店の店舗など約220店舗がオープンし駅周辺の街並みや商業活性化に大きなインパクトを与えています。2025年8月3日には、日本初となる広島電鉄路面電車の広島駅停留所のJR広島駅ビル2階の中央アトリウム空間に移設が完了し運行が開始されました。利用者の市内へのアクセス短縮、JRとの接続、商業施設のアクセスなど利便性が高まりました。また路面電車の駅ビル2階への乗り入れということで全国から観光客が訪れる新名所になっています。
観光面でも積極的で「瀬戸内マリンビュー」「SLやまぐち号」などの観光列車を運行し、地域観光資源の魅力発信に貢献。また、災害時の迅速な輸送支援や地域イベントとのタイアップなど、鉄道事業を超えた地域活性化のデベロッパーとして重要な役割を果たしています。
2.5.3 エフピコ|食品トレー最大手メーカー
株式会社エフピコは1962年、福山市で創業した食品容器メーカーで、現在では食品トレー国内最大手に成長しました。スーパーマーケットやコンビニで使われる発泡スチロール製のトレーは、実に国内シェアのトップを誇ります。
特筆すべきは「エフピコ方式」と呼ばれるリサイクルシステム。使用済みトレーを回収し、再び食品容器として循環させる仕組みを全国規模で展開しました。これは世界的にも先進的な取り組みで、環境経営の模範として高く評価されています。
また、透明容器や弁当容器など製品ラインナップを拡充し、全国の大手小売チェーンと取引。生産拠点を全国に分散させ、効率的な物流体制を築くことで、食品流通の安定にも大きく貢献しています。
福山市本社には最新鋭の研究施設があり、「環境と利便性を両立させる新素材開発」に注力。エフピコは循環型社会を支える広島発の企業として注目されています。
2.5.4 マリモ|全国展開する不動産デベロッパー
株式会社マリモは1970年に広島市で設計事務所として創業した不動産デベロッパーです。当初は分譲マンション開発を手掛けていましたが、現在は全国規模で収益不動産の企画・開発・販売を行い、投資用マンション市場のリーディング企業へと成長しました。
社名の「マリモ」には「まんまるに、バランスよく育つ企業でありたい」という想いが込められています。これまでに開発した分譲マンションは全国で約500棟にのぼり、東京や大阪など大都市圏でも存在感を発揮しています。
特徴的なのは、地方都市でのニーズを的確に捉えた開発戦略。広島を拠点としつつ、地域ごとに異なるライフスタイルに対応した住宅を提供することで、入居者と投資家双方から高い評価を得ています。さらに、近年では海外進出も視野に入れ、中国などアジア市場での不動産開発事業も展開中です。
マリモは広島地場発の不動産会社から成長し近年はイオンモールとの連携など全国企業としての存在感を示しています。
2.6 生活に身近な小売チェーン|広島発の全国ブランド
広島から全国・世界へと展開し、日常生活に密着している小売系の有名企業をご紹介します。地方発でありながら、日本を代表するブランドに成長した企業であり、生活インフラとして多くの人々の暮らしを支えている点が特徴です。
2.6.1 大創産業(DAISO)|100円ショップのグローバル展開
株式会社大創産業は、1972年に広島県東広島市で創業者・矢野博丈氏が移動販売から始めた事業をルーツに持つ企業です。トラックでの移動販売からスタートしましたが、”ダイソー”ブランドを掲げて100円ショップを全国へ広げ、世界最大級の小売チェーンへと成長しました。
2025年2月末時点で、国内外あわせて 5,670 店舗(国内 4,625 店、海外 1,045 店/26の国と地域)を展開。単体売上高6,765億円 連結売上高 7,242 億円 に達し、100円ショップ市場で圧倒的な存在感を示しています。
同社の強みは、約76,000点に及ぶ豊富なアイテム数と新製品を毎月1000種類以上投入する商品開発力です。多くを自社企画商品が占め、生活必需品からアイデア商品まで多彩に提供。消費者のライフスタイルを支える「生活インフラ」として定着しました。2001年の台湾進出を皮切りに、北米・中南米・中東・オセアニアなどへ展開し、グローバルブランドとしての地位も確立しています。
また、「Standard Products」や「THREEPPY」など新ブランドを展開し、ライフスタイルや価格帯に応じた多様なニーズに対応。環境負荷を抑えたエコ商品やリサイクル素材の採用など、サステナビリティにも取り組んでいます。
広島発の企業として、熊野筆など地場産業との協業や地域貢献にも力を入れ、地元の技術や文化を全国・世界に発信。コンビニ最大手のセブン-イレブンでも2022年から取扱いが開始されました。創業地・東広島市に本社を置き続け、地域とともに歩む姿勢を大切にしているのも特徴です。
2.6.2 青山商事(洋服の青山)|ビジネスウェア市場を牽引
青山商事株式会社は、1964年に広島県府中市で創業されました。当初はわずか数名で「日本一の洋服屋になる」という志を掲げてスタートしましたが、いまやビジネスウェア業界売上 No.1 のリーディングカンパニーに成長しています。
2025年11月時点で、「洋服の青山」「THE SUIT COMPANY」などを中心に 728 店舗 を展開し、47 都道府県すべてにネットワークを持つ唯一の紳士服チェーンです。さらに、ギネス世界記録で「スーツ販売着数世界一」としても認定されています。2025年3月期の連結売上高は 1,947 億円、従業員数は約 1 万人にのぼります。
革新的な取り組みの代表例は、1974年に西条でオープンした 日本初の郊外型紳士服専門店。都市部中心だった従来の流通に風穴を開け、大量仕入れ・低価格販売モデルを導入することで、それまで高価だったスーツを大衆化しました。これにより、日本のビジネスウェア文化を大きく変えたと言えます。
今日では、ビジネスパーソンの日常だけでなく、入学・就職・結婚など人生の節目を彩るフォーマルウェアの提供者としての役割も担っています。また、サステナビリティへの意識を高め、環境配慮型素材の導入やリサイクル事業にも取り組んでいます。さらに、オンラインショップやオムニチャネル戦略を強化し、時代の変化に合わせたサービス提供を進めています。
興味深いのは、同じ広島発の大創産業と青山商事が合弁会社「青五(せいご)」を設立し、「ダイソー&アオヤマ 100YEN PLAZA」を展開している点です。両社の強みを掛け合わせた新しい小売モデルであり、広島発の企業が全国規模で連携する象徴的な事例と言えるでしょう。
現在も広島県福山市に本社を構え、地域に根差しながら全国・海外へと事業を広げる青山商事は、地域に根ざしながら全国へ広がり、広島の誇りともいえる小売業界の象徴です。
3.なぜ広島に企業が集まるのか?

広島に多くの企業が拠点を置く背景には、地理(アクセス・物流)、歴史(産業の土壌)、集積(クラスター効果)、人材・文化(定着・組織力)が相互に作用する“総合力”があります。単一の要因ではなく、「運ぶ・つくる・売る・育てる」を一体で最適化しやすい点が広島の強みです。
3.1 地理的優位性|瀬戸内海沿岸の交通・物流拠点
広島は本州・四国・九州を結ぶ交通の要衝にあり、陸・海・空のインフラがバランスよく整備されています。山陽新幹線や山陽自動車道、中国自動車道といった幹線道路は関西・九州への翌日配送を可能にし、広島港や福山港、呉港などの港湾群は大型貨物輸送に適した造船・自動車産業を支えています。さらに広島空港は東アジアとの国際便を有し、高付加価値貨物の輸送にも強みがあります。
3.2 歴史的背景|戦前の軍需産業と戦後復興
広島の産業は、軍港や造船業を中心に発展した歴史に端を発します。呉市は東洋最大級の軍港として発展し、そこで培われた技術は戦後の民需転換に大きな役割を果たしました。東洋工業(現マツダ)が自動車産業へと発展したのも、この技術と人材の蓄積があったからこそです。さらに、被爆と復興を経た広島には、改善を続ける粘り強さと協調性のある現場力が息づいています。
3.3 産業集積|自動車・造船・食品が成長した理由
広島の強みは、産業クラスターの形成にあります。マツダを中心とする自動車産業では、設計から製造までを担う数百の部品メーカーが集まり、スピードと品質を両立させています。造船業でも、呉・尾道・福山に関連企業が集積し、世界トップクラスのコンテナ船や自動車運搬船の建造力を誇ります。食品分野では、オタフクソースやアヲハタ、包装資材のエフピコ、流通のイズミが連携し、地域全体で食文化を発信できる循環型産業を作り上げています。
さらに、広島大学などの教育機関や地元金融機関の支援により、中小企業も技術革新やDXを進めやすい環境が整っています。
3.4 人材と文化|地元志向の強さと企業の定着性
広島の人材は地元定着率が全国平均を上回るという特徴があり、優秀な人材が地域に残る傾向が強いとされています。住宅費や生活コストは首都圏より低く、暮らしやすさと働きやすさの両立が可能です。加えて、堅実で真面目な県民性が製造業の品質向上に直結し、企業の信頼性を高めています。
また、広島カープやサンフレッチェ広島、広島ドラゴンフライズへの熱狂的な地域愛は、企業と地域の一体感を育み、従業員のモチベーション向上にもつながっています。
4. 広島の地元企業一覧(業界別)
広島県内にはマツダや中国電力といった全国的に有名な企業だけでなく、高い技術力や独自性を持つ地元企業が数多く存在しています。これらの企業は大手のサプライチェーンや地域産業と密接に結びつき、広島経済を下支えすると同時に、世界へと挑戦を続けています。特に製造業分野では、自動車・造船・鉄鋼といった基幹産業に加え、機械や金属加工など多様な分野で中小企業が活躍しており、広島の「ものづくり県」としての地位を支えています。ここでは、業界別に代表的な企業とその特徴を詳しく見ていきます。
4.1 製造業
広島県の製造業は、自動車産業を中心としつつ、造船、鉄鋼、機械といった重厚長大産業が発展してきました。マツダに代表される大手メーカーを核に、多数の中堅・中小企業が集積し、強固な産業クラスターを形成しています。
4.1.1 自動車部品メーカー
マツダの存在が広島の自動車産業をけん引する一方、その背後には数百社に及ぶ部品メーカーが連携し、高品質な製品を供給しています。主要企業を整理すると以下の通りです。これらの企業は、マツダとの結びつきにとどまらず、国内外の自動車メーカーに製品を供給し、広島発の部品産業が世界の自動車産業を支える存在となっています。
マツダは歴史的に特定のサプライヤーと深い協力関係を築いており、広島県内には約2900社の取引先が存在し地域経済の核になっています。
| 会社名 | 従業員 | 特徴 |
|---|---|---|
| ダイキョウニシカワ | 2780人 | マツダの主要樹脂部品メーカー |
| デルタ工業 | 1194人 | シートの開発製造に強み 世界8か国に拠点 |
| デンソーグループ関連企業 | 約550人 | 世界的部品メーカーのグループ子会社 電装品やカーエアコンシステムを手掛ける |
| マレリ 旧カルソニック | 空調システム 熱交換器のシステムの世界的専門メーカー | |
| アイシングループ関連企業 | ピストン ATなどの製造 |
4.1.2 造船企業
広島県、とりわけ呉市は古くから造船業の町として知られています。戦前は軍港として栄え、戦後は民需へ転換し、世界有数の造船拠点として発展してきました。大手では以下造船各社があげられます。
ジャパンマリンユナイテッド(JMU)呉事業所は、大型コンテナ船や自動車運搬船の建造で国内トップクラスの技術力を誇ります。瀬戸内海の穏やかな海と深い港湾を活かし、世界市場向けに大型船を建造することが可能です。近年では、省エネ技術(LV-Fin、ALV-Fin)を搭載した環境性能の高い船や、構造アレスト技術を用いた安全性の高い船を中心に、世界最大級の大型コンテナ船やLNG燃料船などの研究開発にも取り組み、持続可能な海運産業をリードしています。
常石造船(本社福山市)は1903年創業。商船建造と、バルカーといわれる「ばら積貨物船」の建造で世界的なシェアを誇ります。コンテナ運搬船やタンカーをラインアップし、多様な市場のニーズに対応しています。なかでもベストセラーのばら積貨物船「カムサマックス」は登録商標が業界標準として認知されるほどで、同カテゴリーでは世界トップシェアを誇っています。
内海造船(本社尾道市)はフェリー、コンテナ船、一般貨物船、自動車運搬船の新造船建設に豊富な実績をもち、省エネ省CO₂排出性能がきわめて高い船舶を製造する高い技術力が評価されています。
また、尾道や福山にも中小造船所が多数稼働しており、フェリーや小型船舶の建造を得意とする企業も多く、小型船舶、産業機械、部品加工まで担う企業まで幅広く地域全体で多様な造船ニーズに対応できる体制が整っています。
4.1.3 鉄鋼・機械メーカー
自動車や造船を支える基盤として、広島では鉄鋼・機械メーカーも重要な役割を果たしています。これらの企業は素材から部品・機械、完成品という産業の流れを支える中核企業として広島のものづくりを支えています
神戸製鋼所西条工場(東広島市)は、高品質の被膜アーク溶接棒を生産する専用工場で、国内最大級の溶接棒量産ラインを有し、造船・建築・産業機械向けの溶接材料を製造しています。
JFEスチール 福山製鉄所は、国内有数の一貫製鉄所で、自動車用鋼板や造船用鋼材を供給しています。
三菱重工業 広島製作所は 産業機械や設備エネルギー関連機器など幅広く展開しています。
コベルコ建機(神戸製鋼グループ 広島本社)は広島市内に2工場をもち、油圧シャベルの部品製品製造開発拠点です。
4.2 食品・飲料
広島県は豊かな自然と独自の食文化を背景に、全国的に有名な食品メーカーや酒造が多く存在します。お土産として定番の菓子から、地域の調味料、日本酒まで幅広い分野で全国へ発信しています。
4.2.1 菓子メーカー
広島の菓子産業は観光と密接に結びつき、もみじ饅頭を中心に「広島らしい味」を形づくってきました。代表的な企業を整理すると以下の通りです。
| 企業名 | 代表商品 | 創業年 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 株式会社にしき堂 | もみじ饅頭 | 1951年 | 定番土産として県内外に流通。定番のこし餡に加え、新しい味を次々と開発。 |
| 藤い屋 | もみじ饅頭 | 1925年 | 宮島の老舗。参拝客に愛され続け、上品な味わいで評価が高い。 |
| 株式会社やまだ屋 | もみじ饅頭・桐葉菓 | 1932年 | 伝統の製法を守りつつ、新商品開発にも積極的。桐葉菓は新しい広島土産として人気。 |
| 共楽堂 | ひとつぶのマスカット | 1933年 | フルーツ菓子専門。岡山マスカットを贅沢に使用し、旬果瞬菓ブランドでギフト需要も高い。 |
| 八天堂 | くりーむパン | 1933年 | 冷やして食べるくりーむパンを2000年代に発売し大ヒット。 全国的なスイーツパンブランドに育てる。 |
これらの菓子メーカーは、観光とも強く結びついており、単なるお土産以上に広島の文化を象徴する存在として全国的に知られています。
4.2.2 ソース・調味料メーカー
広島はお好み焼き文化の中心地であり、ソースや調味料メーカーの存在が欠かせません。オタフクソース(広島市)を筆頭に、地元密着型のメーカーが食文化を支えてきました。
毛利醸造(三次市)は、カープソースの他、酢・醤油・味噌の製造も手掛ける老舗です。伝統の醸造技術を守りながらも、現代の食卓に合った調味料を提供し、地域の味を守り育てる存在となっています。
4.2.3 飲料・酒造メーカー
広島県は全国的に知られる日本酒の名産地でもあります。特に東広島市西条は「酒都」と呼ばれ、江戸時代から酒蔵が集積し、灘 伏見と並ぶ日本三大酒どころのひとつに数えられています。「賀茂鶴」「亀齢」「白牡丹」「雨後の月」「酔心」等が人気があり海外にも輸出されています。2014年オバマ前大統領来日時には当時の安倍元首相より「特選ゴールド賀茂鶴」がふるまわれ世界的に有名になりました。10月の酒祭りは多くの日本酒ファンでにぎわいます。
賀茂鶴酒造株式会社、西條鶴醸造株式会社、白牡丹酒造株式会社など、全国新酒鑑評会で数々の金賞を受賞した蔵元が存在し、品質と伝統を兼ね備えた酒造文化を築いています。近年は海外輸出や新しい酒造り(低アルコール日本酒、スパークリング日本酒)にも積極的で、グローバル市場でも注目を集めています。
4.3 金融・サービス
広島の経済を支えるもう一つの柱が金融・サービス産業です。地元企業の成長を資金面から支える金融機関や、生活インフラを担う流通チェーン、さらには地域のDXを支援するIT企業が揃い、産業と生活の両面から広島を支える存在となっています。
4.3.1 地域金融機関
広島には、全国的にも規模の大きな地方銀行や信用金庫が集まっています。
| 金融機関名 | 設立年 | 店舗数 | 預金残高 |
|---|---|---|---|
| 株式会社広島銀行(2025年3月) | 1878年 | 151店舗 | 約9.6兆円 |
| 株式会社もみじ銀行(2024年1月) | 2004年 | 87店舗 | 約3.2兆円 |
| 呉信用金庫 (2024年3月) | 1925年 | 44店舗 | 約8,011億円 |
| 広島信用金庫 | 1945年 | 72店舗 | 約1.7兆円 |
地域の企業や個人を支えるこれらの金融機関は、広島経済の安定を支える重要な存在です。融資だけでなく経営相談や事業承継支援、地域活性化、海外進出サポートなどコンサルティング的役割も担っています。
4.3.2 流通チェーン
広島にはイズミ(ゆめタウン)をはじめ、地元に根付いた流通企業が存在します。
株式会社フレスタは広島県内を中心に展開するスーパーマーケットで、地産地消の推進や地域農産物の活用に力を入れており、単なる小売業にとどまらず、地域農家と消費者をつなぐ役割を果たしています。健康的な生活を応援するための最上級の健康提案企業(ヘルシストスーパー)への歩みをスタートさせました
さらに、広島発の小売企業の中には、全国規模に成長し、日本の生活文化そのものに影響を与えている存在もあります。代表的なのが大創産業(DAISO)と青山商事(洋服の青山)です。DAISOは「100円ショップ」という新しい消費スタイルを根づかせ、世界へと展開するグローバル企業へと成長しました。青山商事は、紳士服市場で圧倒的なシェアを誇り、ビジネスウェア文化を変革してきた企業です。両社は共同で「DAISO&AOYAMA100YEN PLAZA」を展開しています。「洋服の青山」閉鎖店舗利用や、シナジー効果を狙った「洋服の青山」との併設等により、広島発の企業同士が連携し、新しいビジネスモデルの創出にも挑戦しています。
このように、広島の流通チェーンは、地域密着のスーパーから世界規模の小売ブランドまで幅広く育ち、県内外の人々の暮らしを支えると同時に、全国の小売産業をリードする存在となっています。
4.3.3 ITサービス企業
DX需要や業務効率化を支えるITサービス企業の存在感が広島でも拡大しています。株式会社エネコムは中国電力グループとして、通信インフラデータセンター事業に強みをもちます。
株式会社日立ソリューションズ西日本は広島を拠点に自治体金融流通向けシステム開発をおこなっており、株式会社NTTデータ中国は地域密着型のSlerとして公共企業システムを提供しています。株式会社両備システムズ広島支社や株式会社システムズナカシマは、地元企業向けにシステム導入・クラウド化を支援し、製造業や流通業の効率化を後押ししています。これらの企業は「地方からのDX推進」という点で注目される存在です。
4.4 観光・宿泊・地域企業
観光県・広島を支えるのは観光施設や交通インフラだけでなく、宿泊業や地域商社といった裏方を担う企業群です。世界遺産・宮島や尾道など観光地の魅力を最大化し、観光客に特別な体験を提供する役割を果たしています。
4.4.1 宮島・尾道の旅館・ホテル企業
宮島では、岩惣や錦水館といった老舗旅館が100年以上の歴史を持ち、世界遺産の島での特別な宿泊体験を提供しています。尾道では古民家をリノベーションしたゲストハウスや小規模ホテルが若い世代やインバウンド客に人気で、地域独自の観光スタイルを築いています。
4.4.2 観光バス・交通事業者
広島電鉄株式会社は路面電車とバスの両方を運営し、観光と市民生活の両立を支える重要なインフラ企業です。 JR西日本グループは山陽本線と在来線の交通ネットワークを担い、広島駅前再開発(駅ビル商業施設)や観光地域活性化プロジェクト、広島駅北口の新アリーナ構想や周辺開発を推進するなど「地域デベロッパー」への役割拡張を図っています。 中国ジェイアールバス株式会社は広島と他都市を結ぶ高速バスを展開し、都市間移動を担っています。これらの交通企業は、観光需要と地域生活の両方を安定的に支えています。
4.4.3 イベント・地域商社
ひろぎん経済研究所は地域経済を調査・分析する地域シンクタンクとして機能しています。地元企業に対する経営支援や政策提言を行い、地域経済の方向性に影響を与える役割を担っています。また、地元イベントや企業交流の場を提供し、産学官連携のハブとしても活躍しています。
5. 広島企業の最新ニュースと業績情報

広島企業の動向は地域経済全体に大きな影響を与えるため、最新の情報把握が重要です。
5.1 マツダの最新ニュース(EV・新型車・業績発表)
マツダは2025年中にEV専用プラットフォーム「SKYACTIV EV Scalable Architecture」を導入予定でしたが、2030年までに同Architectureを採用した次世代電動車の投入は見直しされるようです。新プラットフォームは、従来の内燃機関車両開発で培った軽量化技術とドライビングプレジャーの追求を電気自動車にも適用するもので、業界から大きな注目を集めています。
2026年3月期の業績見通しは、米国関税影響により売上高は前年比微減の4兆8200億円から4兆9000億円。営業利益は約73%減の約500億円となる見込みです。米国での関税引き上げの影響が大きく出ました。
2026年4月期以降は新型CX-5などの主力SUV投入刷新を行い、北米市場を中心とした利益率の高い車種群の販売比率を上げます。また欧州市場を中心にPHEV(プラグインハイブリッド)比率を高め燃費規制の対応とプレミアム感を両立させる計画です。 2027年には次世代ガソリンエンジン「SKYACTIV-Z」は、市場への投入が予定されています ※マツダ株式会社プレスリリース(2026年2-3月)より
5.2 中国電力の最新動向(電力需給・新規事業)
中国電力は島根原子力発電所2号機は2024年12月再稼働し、翌2025年1月に営業運転を再開しました。現在は再稼働後初となる定期検査(2026年2月開始)に入っており、2026年9月に営業運転を再開予定です。さらなる安全・安定供給を目指し、準備を進めています。
再生可能エネルギーの普及拡大に向けた事業にも注力しており、天候による発電量の変動に対応するため、山口県において2028年度中の運用開始を目指す同社初の系統用蓄電所『下松蓄電所』(出力約1.6万kW、蓄電容量約4.8万kWh)のインフラ整備などを進めています。
カーボンニュートラル実現に向けては、2050年までにCO₂排出量を実質ゼロにする目標を掲げ、石炭火力発電所のアンモニア混焼実証実験も開始しています。デジタル技術を活用したスマートグリッドの構築や、蓄電池システムの導入により、再エネの変動性に対応した柔軟な電力供給システムの実現を目指しています。
※中国電力株式会社プレスリリース(2026年4月)より
5.3 食品業界ニュース(新商品・観光土産の開発)
オタフクソースは海外展開を加速しています。2029年度までに海外売上高100億円を目指す中期経営計画を掲げました。現在世界約50か国に輸出中で、米国・中国・マレーシアに製造拠点を展開しています。2025年マレーシア新工場を稼働開始。ハラル認証を継続取得してムスリム圏への供給拠点として役割を強化しました。東南アジア5か国でのお好み焼き普及活動を本格化させています。現地の食文化に合わせたソースの味付け調整や、お好み焼きの調理法指導を通じて、日本の食文化の海外発信に貢献しています。特にタイとベトナムでは現地生産体制の構築も検討しており、2025年にはグループ連結売上325億円に対して海外売り上げは64億円と海外売上高比率は約20%となっています。
にしき堂は1951年創業しました。2021年発売の人気の「おとなのもみじ」シリーズは好調で2025年には新しいコーヒーフレーバーのもみじ饅頭シリーズを発表しました。幅広い層向けの商品展開を図っています。また、宮島本店の全面リニューアルを実施し、製造工程を見学できる体験型店舗として観光客の満足度向上を目指しています。
アヲハタでは、瀬戸内海の離島で栽培される希少な柑橘類を使用した限定ジャムシリーズの開発を進めています。因島のはっさく、大崎上島のレモンなど、各島の特色を活かした商品開発により、地域活性化にも貢献する取り組みとして注目されています。
※各社プレスリリース、食品新聞(2025年1月~10月)より
5.4 広島経済全体のニュース(企業ランキング・M&Aなど)
広島県内の企業によるM&Aや事業提携が2024年から2025年にかけて活発化しており、事業承継型M&Aが主流です。建設業が最も多いのですが、製造業(自動車産業や鉄鋼業など)では技術革新のへの対応、サプライチェーンの再編、海外展開への加速などを目的としたM&Aや、インバウンド需要の拡大を見据えた観光・サービス業でM&Aが活発化しています。広島銀行や広島信用金庫では法人向けのM&Aや事業承継サービスを充実させています。
2024-2025年最新決算ベースの「広島県内企業売上高ランキング」では、TOP10はマツダが引き続き1位を維持し、中国電力、フジ、エディオン、大創産業、イズミ、福山通運、リョービ、エフピコ、ハローズがそれに続いています。注目すべきは、小売りのフジ(8,089億2,800万円 スーパーフジ・マックスバリュー・マルナカ・ザ・ビッグ・フジグラン)が中四国を拠点とする統合新会社として広島市に拠点を移し第3位となりました。
「株式会社ひろしまイノベーション推進機構」は「ふるさと連携応援ファンド投資事業有限組合」の名称で2029年12月までファンド運営を展開し、県内企業の成長支援と外部企業の誘致を強化しています。様々な企業に積極的な企業誘致活動を展開しています。
6. 広島企業の評判と就職・転職情報

広島県での就職・転職を検討する際には、地域特有の企業文化や働き方の特徴を理解することが重要です。広島の企業は全国的にも「働きやすさ」と「安定性」で高い評価を受けており、特にワークライフバランスを重視する傾向が強くなっています。
6.1 広島企業で働くメリット
広島県で働くことの魅力は、都市部の利便性と地方都市の住みやすさを両立できる点にあります。交通インフラが整備されており、新幹線で東京まで約4時間、大阪まで約1時間20分でアクセスできる立地でありながら、生活コストは大都市圏よりも大幅に低く抑えられます。
6.1.1 地元定着率の高さ
広島県内の2026年春卒業予定大学生の就職内定率は2026年2月時点で91.9%と3年連続で上昇し過去最高を記録しました。人手不足を背景に「学生の売り手市場」が続いています。2023年度県内就職率は約45.4%で、広島県は2025年に県内就職率51.8%を目指しています。広島地元愛の強さはありますが、一方で広島県は5年連続で転出超過が全国最下位になっています。特に多い若者の流出を防ぐため、広島県は「それ広島で。」プロジェクトを推進。企業情報の発信強化や、働き方改革、奨学金返済支援、UJJターン支援制度の活用を推進しています。その結果一度県外で働いた経験を持つ人材が地元企業で活躍するケースも多く見られます。
この高い定着率を実現することは企業側にとっても大きな課題で、中長期な企業活動発展のため官民での取組が加速化しています。
6.1.2 東京より低い生活コストと住みやすさ
広島県の消費者物価地域差指数は2022年全国平均を100とした場合、98.7と全国25位です。大都市(東京神奈川)より約5-6%低く、特に住宅費については東京の約半分程度となっています。広島でも新築マンションや1戸建て住居の平均価格は上昇していますが、東京都23区の平均価格は広島市の平均的な物件価格の約2倍から3倍以上に達するケースが一般的です。東京等大都市に比べると通勤ラッシュも比較的穏やかで、満員電車によるストレスが少ないのも大きな魅力です。
子育て環境も充実しており、2025年4月時点で待機児童は2年連続で0人になっています。300園をこえる保育園認定こども園の整備や、地域の実情に応じた施設増加定員拡大が主な要因です。自然環境にも恵まれ、瀬戸内海や中国山地へのアクセスが良好で、休日のレクリエーション環境は都市部を上回る魅力があります。ワークライフバランスを重視した働き方が可能な環境が整っています。 総務省 消費者物価地域指数 2024年6月結果 広島市2025年4月報道資料
6.1.3 大手から中小まで多様な就職先
マツダや中国電力などの大手企業から、独自技術を持つ中小企業まで、多様な選択肢があります。製造業では自動車、造船、鉄鋼、食品など幅広い業界で働く機会があり、サービス業では金融、流通、観光関連、飲食など地域密着型の企業も充実しています。
特に製造業においては、マツダを中心とした自動車産業クラスターにより、設計開発から生産技術、品質管理まで、自動車製造の全工程に関わる経験を積むことが可能です。技術者にとっては非常に恵まれた環境といえるでしょう。
6.2 広島就職・転職で人気の企業ランキング
広島県内の求職者に人気の企業は、業界や職種によって異なりますが、共通して安定性と成長性のバランスが取れた企業が上位にランクインしています。
6.2.1 新卒人気ランキング(マツダ・中国電力・イズミなど)
※リクルート「就職白書2025」や広島大学就職先等によると、2025年卒の学生に人気の高い就職先は以下が挙げられます。
新卒者に人気の理由として、1位のマツダは「世界的な自動車メーカーで技術力を磨ける」「グローバルな環境で働ける」「地元経済を牽引」が上位に挙げられています。特に技術系学生からの人気が高く、SKYACTIV技術やロータリエンジン技術をはじめとした優れた先進技術が大きな魅力となっています。
2位の広島銀行は「地域経済に貢献できる」「金融のプロフェッショナルとして成長できる」「転勤が少ない」といった理由で選ばれています。地元志向の強い学生にとって、県内での長期的なキャリア形成が可能な点が魅力となっています。
3位の中国電力は「社会インフラを支える仕事の意義」「安定した経営基盤」「充実した福利厚生」が評価されています。電力自由化後も地域独占企業としての安定性があり、長期的なキャリア形成を望む学生に人気です。
6.2.2 中途・転職人気ランキング(金融・食品・メーカー系)
広島の転職で人気 優良とされる企業は、マツダ、中国電力、広島銀行などの大手メーカー インフラ 金融関係が人気を誇ります。ブランド名 売上髙 収入面を重視して、中電工、エディオン、大創産業(ダイソー)なども人気企業です。
| 順位 | |||
|---|---|---|---|
| 1位 | マツダ株式会社 | 自動車メーカー | 技術力向上 グローバル展開 |
| 2位 | 中国電力株式会社 | 電力 エネルギー | 地域インフラ整備 安定性 収入 |
| 3位 | 株式会社広島銀行 | 地銀大手 | 地銀大手 収入 充実した金融サービス |
| 4位 | 株式会社中電工 | 設備工事 | インフラ 安定性 |
| 5位 | 株式会社エディオン | 家電販売 | ブランド力 安定性 |
※転職サイトdoda、マイナビ リクルートエージェント広島支社調査(2025年)より
転職市場では、専門性を活かせる企業や成長企業への関心が高くなっています。1位のマツダへの転職理由は「EV化など新技術への取り組み」「海外でのキャリア展開可能性」「技術者としてのスキルアップ」が上位を占めています。
人気上位のオタフクソースは「食品業界での経験を活かせる」「海外展開に携われる」「ユニークな企業文化」が転職理由として挙げられ、特にマーケティングや海外営業経験者からの応募が多くなっています。
6.3 広島企業の評判を調べる方法
転職や就職を検討する際には、企業の実際の働きやすさや職場環境を事前に調査することが重要です。広島の企業についても複数の情報源を活用して多角的に検討することをおすすめします。
6.3.1 就活口コミサイト(OpenWork、みん就など)
OpenWorkでは実際に働いている社員の口コミが確認でき、給与水準や職場環境の実態を把握できます。広島の主要企業についても豊富な口コミが投稿されており、年収レンジ、残業時間、有給取得率、職場の人間関係など、詳細な情報を入手できます。
みん就では就活生同士の情報交換が活発で、面接対策や企業研究に役立ちます。広島の企業の採用試験についても、面接での質問内容や選考プロセスの詳細な情報が共有されています。転職会議では退職者の率直な意見も参考になり、企業の課題や改善点についても知ることができます。
地元特化型メディア。県市町が提供する就活支援サイト(ひろしま就活応援サイト「Go!」では仕事体験 インターンシップ等の情報も調べることができます。
6.3.2 転職エージェントや地域求人サービスの活用
リクルートエージェント広島支社、doda広島オフィス、パソナキャリア広島支店などの全国展開する転職エージェントでは、広島の企業情報に精通したコンサルタントからアドバイスを受けることができます。非公開求人も多数取り扱っており、一般には公開されていない優良企業の求人情報も入手可能です。
地域特化型では、キャリアプランニング広島、ヒロジョブなどの人材紹介会社も活用できます。これらの会社は地元企業との関係が深く、企業の内部情報や求める人材像について詳しい情報を提供してくれます。広島県の雇用情勢や転職市場の動向についても、地域に特化した知見を得ることができます。
6.3.3 地元新聞・経済誌・地元ローカル局(中国新聞、広島経済レポート、中国放送)
中国新聞は広島県内企業のニュースを詳細に報道し、地元企業の動向を把握するのに最適です。企業の業績発表、人事異動、新規事業の展開など、タイムリーな情報を入手できます。経済面では企業分析記事も充実しており、企業研究の際の重要な情報源となります。
広島経済レポートは月刊の経済専門誌で、広島県内企業の詳細な分析記事や業界動向の解説を掲載しています。企業の財務分析、将来性の評価、経営陣へのインタビューなど、深い企業研究に役立つ情報が豊富です。年1回発行される「広島県内企業ランキング」は、企業の規模や業績を客観的に比較検討する際の重要な資料となります。
中国放送は1952年に広島初の民間放送局としてラジオ放送を開始。その後1959年にテレビ放送を開始した唯一のラジオテレビ兼営局です。広島の企業や経済ニュースを日常的に取り上げており、最新の業界動向に加えて、地元優良企業の存在や取組や強みが理解できます。インターネットや、アプリIRAWでの情報も豊富で、高い評価と信頼を得ています。2027年には開局75年をむかえますが、広島の地で地域に寄り添った情報を発信し続けている放送局です。
7. まとめ|広島企業の魅力と今後の可能性
広島の企業の魅力は、世界に通用する技術力と地域にねざした実直さが共存していることです。広島県の企業群は、伝統と革新のバランスを保ちながら持続的な成長を続けています。 マツダのようなグローバル企業と、瀬戸内海の恵みを活かした食品産業、地域密着型サービス業がバランスよく発展し、相互に連携し合い単一産業に依存しない多角的な経済構造を築き上げ、地域の暮らしと経済を支えています。
また広島は地理的優位性を活かした物流拠点であり、アジアとの経済交流の拡大やカーボンニュートラルに向けた技術開発など、今後の成長余地も大きい地域です。
自動車業界の電動化は、マツダをはじめとする地元企業にとって新たな競争優位を構築するチャンスとなっています。G7広島サミット2023により、世界中から観光地広島は注目され、外国人観光客と観光需要も増加しています。食品業界の海外展開加速も進んでおり、さらに2026年以降国家プロジェクトともいえる、東広島におけるマイクロン広島工場の最先端DRAMや次世代DRAM生産が計画されています。こうした最先端半導体生産計画、再生可能エネルギー分野での技術革新など各産業で新たな展開が期待されています。
さらに広島は働く環境としての魅力も高いエリアです。若い世代にとって、広島は地方都市の住みやすさとグローバル企業での働きがいを両立できる理想的な場所です。東京や大阪などの大都市圏と比較して生活コストが低く通勤ストレスも少ない環境で、高度な技術や専門性を身につけることができます。大手企業での安定したキャリアパスから、成長企業でのスピード感ある事業展開まで多様な働き方の選択肢があり、個人の価値観や目標に応じたキャリア形成が可能です。
広島企業の特徴である「地域愛」と「品質へのこだわり」は、これからのサステナブルな社会において重要な価値となるでしょう。地域に根ざしながらも世界を見据える広島企業の姿勢は、持続可能な成長モデルとして全国からも注目されています。企業と地域社会が一体となって発展する広島のビジネスエコシステムは、地方創生の成功例として他地域からも研究される存在になっています。
今後も広島県は、中国地方の経済中心都市として、また瀬戸内海経済圏の中核として、その存在感を高めていくことが期待されます。伝統ある産業基盤の上に新しい価値を創造し続ける広島企業の動向は、地方創生のモデルケースとしても重要な意味を持っています。デジタル技術の活用、グローバル展開の加速、そして持続可能な社会の実現に向けた取り組みを通じて、広島の企業は新たな成長段階に入ろうとしています。
「広島にはどんな企業があるか」を知ることは、「広島という地域の強さ」を知ることでもあります。企業を通して「広島」をみるとこの町が持つ奥深さと可能性がよりはっきり見えてきます。これから広島に関心を持つ人にとっても、就職や転職を考える人にとっても広島の企業は十分に注目する価値のある企業です。「地域に根差しながら全国へ世界に広がっていく。」そんな広島企業の姿こそ大きな魅力だと言えるでしょう。
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