瀬戸内近海の魚の減少や環境の異変が、私たちの食卓に大きな影を落としています。流通に欠かせない仲卸業者・鮮魚店の閉業が相次いでいます。
広島市中央卸売市場では朝早くから威勢のいいかけ声で魚が競り落とされていきます。一見すると活気に満ちているように見えますが、現場からは将来を不安視する声が漏れます。

市場に入荷された取扱量を示すデータを見ると、1985年のピーク時は年間6万トンを超えていましたが、現在は2万トンを下回るまでに落ち込んでいます。
供給量の減少に伴い1キロあたりの単価は徐々に上がり、去年は1,376円と約1.7倍に膨らみました。
瀬戸内海は「穏やかな環境が大前提だった」
獲れる魚の種類にも大きな変化が起きています。瀬戸内海でも水温の変動が大きくなったことで、暖かな海域を好むサワラなどが多くなりました。一方、広島の味覚には強い逆風となっています。
広島水産鮮魚部 東邦彦さん
「江戸時代からカキ・小イワシ・チリメンなどが広島の主たる漁業。暖かくて穏やかな環境が大前提だった。水温の変化があまりなく遠浅の環境が支えてきたが、最近は四苦八苦している」

市場には多くの仲買人が行き交い、スーパーや飲食店へ向けて鮮魚が運ばれていきます。一方、市場にある仲卸業者は18業者と、1990年の35業者の半分ほどに減少しました。同じ会社の看板が複数並んでいるのは、空いたスペースを残った業者同士で分け合い、集約を進めてきた名残です。
鮮魚店の看板娘も引退決断「近海物が…」
広島市南区仁保にある鮮魚店「しまや水産」。店主の島本キシノさんは、60年以上続けてきた家業に区切りをつけることを決めました。8月末に閉業し、店舗の解体作業が進んでいました。
しまや水産 島本キシノさん(87)
「名残惜しい辞めることにした。近海物が取れない。しょうがない」

しまや水産はかつて、広島市の台所として栄えたJR広島駅南口の「愛友市場」にありました。年の瀬ともなれば商品がところせましと並び、大勢の人で熱気に包まれていた場所です。駅の再開発に伴い移転した後も地域の活気であり続けました。
魚の急激な減少「限界。もう辞めなければ」
長年、自ら市場に足を運び、確かな目利きで魚を選び続けてきた島本さんにとっても、近海物の急激な減少は想像を超えるショックでした。

しまや水産 島本キシノさん(87)
「行っても同じ魚ばかり。タチウオや2~3種類。もう限界、辞めなければいけない」
瀬戸内の海の異変は、地域に親しまれたまちの魚店の歴史にも、静かに終止符を打ちました。








































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