マツダが5月に発売した新型CX-5の売れ行きが好調です。以前「ミニバンからの買い替えが多い」というマツダの解説をお伝えしましたが、買い替え元のクルマは他にもあります。また、この好調の背景にマツダなりの戦略もあったようです。果たしてその内容とは・・・。

新型CX-5(画像提供マツダ)
今月2日、マツダは横浜市にある販売店で、「国内ビジネス構造変革の進捗について」と題したメディア向け説明会を開きました。注目されたのは、発売から3か月あまり経過した新型CX-5の国内受注状況です。
出席したマツダの三浦 忠 国内ブランドビジネス統括本部長は「8月末の時点で1万7000台を超えた」と発表しました。ひと月あたり2000台の目標を大きく上回るペースです。
また、三浦統括本部長は「他社からの買い替えなど新規顧客の割合が直近では50%となり、その傾向は30代、20代と若くなるほど高くなっている」ことも明らかにしました。実は、この実態はマツダが意図したものだったのです。

マツダ 三浦 忠 国内ブランドビジネス統括本部長
累計で500万台以上生産・販売され、マツダの経営を支えてきた主力車種CX-5。9年ぶりのフルモデルチェンジとなった3代目モデルは、SUVらしいスポーティなデザインと広い室内空間を両立させています。後部座席は頭上も足元もこれまでよりも広く、荷室はベビーカーを縦に収納できることが特徴です。
狙ったターゲットはヤングファミリー。新規顧客が若い世代に多いというデータ、そして、子育て世代を中心に人気のミニバンからの買い替えが多いという実態は、まさに狙い通りだったわけです。マツダは「室内空間を重視する顧客に選んでもらえている」と手応えを感じています。
買い替え元は国内外のメーカーのクルマが幅広くあるそうですが、中にはハイブリッド車も含まれていると言います。この点については「マツダ車は走りのイメージが強くてこれまで選択肢にしてこなかった、日常使い中心の層にも響いているのではないか」と分析しています。

新型CX-5(画像提供マツダ)
今回、説明会の会場となったのは、首都圏でマツダ車を販売する関東マツダの横浜鶴見店。マツダが「新世代店舗」と位置づける店のひとつです。黒を基調とした高級感あるデザインの店舗で、マツダのブランドイメージを上げる役割を担ってきました。
今年はこれをさらに進化させました。基調色をダークグレーに変更、木目の色合いのバランスも意識しました。そして、マツダの頭文字Mをあしらったブランドシンボルは平面的にしたものを採用、マツダの社名ロゴも変更しています。
8月末現在で全国7店舗、首都圏では、さいたま市の浦和美園店など4店舗が「最新の新世代店舗」になっています。
その浦和美園店を訪ねると、平日の午前中から店内には多くの来店客が。浦松真也 店長は「従来の白貴重の頃と比較して、新規の顧客が増えているし、滞在時間も伸びている」とリニューアル効果を説明してくれました。

関東マツダ浦和美園店
この取り組みは、マツダが進める国内事業の構造改革の一環です。初代のCX-5が登場した2012年以降、商品力でシェアを伸ばすなど一時成長はしたものの、その後は新規顧客の減少を招いたと言います。その反省から戦略を見直すことにしたのです。
重要施策のひとつに位置づけているのが「販売店の再編」、つまり先ほど紹介した新世代店舗へのリニューアルによるブランドイメージアップです。かつての値引き販売から商品力向上に伴う正価販売に軸を移したマツダ。今後は裾野を広げて新規顧客を獲得するためにブランドイメージをさらに上げようというわけです。
重点市場としているのが首都圏を含む都市部です。全国の店舗リニューアルの7割前後を都市部に集中させる徹底ぶりです。全国的に人口減少が危惧される中、その懸念が少ない都市部に重点を置くことで最大の効果を生もうという判断です。
ブランド価値を浸透させるための仕組みや体制づくりにも力を入れています。商品力に頼り、販売を現場任せにしていたことを反省材料にしています。
「マツダが提供したい価値」だけでなく、54万件の顧客の声から分析した「実際に求められていること」も加味して、販売店としての行動規範「マツダブランドスタンダード」を構築しました。
「顧客それぞれのニーズに合った商品説明をすること」など、一見当たり前のことをどの販売店でも高いレベルで提供することを目指しています。そして、それらを実践するための教育トレーニング機会も設けています。

接客の様子(関東マツダ浦和美園店)
販売店のリニューアルと販売スタイルの見直し。こうしたハードとソフト両面の取り組みは、さっそく効果を生んでいます。
低下傾向にあった首都圏の登録車シェアは東京が牽引する形で昨年度は上昇に転じ、0.2ポイントアップの3.8%となりました。全国のシェアがほぼ横ばいだったことから、都市部での重点施策の効果が大きいと分析しています。
また、ある販売店の数値として、新規来店客がその日のうちに成約する割合が、今年度第1四半期は31.0%と、昨年度同時期の4倍以上になったということで、こちらは新たな行動規範による販売スタイルの見直しが身を結び始めているとしています。
こうして見ていくと、新型CX-5の売れ行き好調の背景には、マツダが発売以前から取り組んできた都市部に特化した戦略があったことがわかります。
日本市場をマザーマーケットと呼び、選ばれ続けるブランドを目指すマツダ。新車効果に乗っかり過ぎることなく、これらの戦略を常にブラッシュアップして持続性あるものにしていけるかが、今後の成長を大きく左右するかもしれません。

マツダの新CI(関東マツダ浦和美園店)
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