アメリカの半導体大手、マイクロン・テクノロジーは広島工場に巨額の投資を行い、今後、最先端の半導体を製造する計画です。これをビジネスチャンスととらえ、半導体関連産業への参入に意欲を示す企業が広島でも現れています。

「3、2、1、GO!」

マイクロンは7月、東広島市の広島工場に1兆5千億円を投じ、新たなクリーンルームの建設に着手。2029年度以降、最先端の半導体を製造する計画です。

また九州では、半導体の受託製造で世界最大手の台湾企業、TSMCが熊本に進出しておととし、量産を開始しました。

AIの急速な普及によるこうした動きを契機に、半導体関連産業への参入に意欲を示す企業が広島でも現れています。

広島市安芸区のTODA。自動車用を中心とした検査治具を製造しています。

TODA 営業技術部 中村智哉部長補佐
「私たちはお客様が成型した、これは模型だが、ボンネットなど車のパーツを測定する、こういった検査治具をつくっている」

作っているのは、自動車メーカーで製造された様々なパーツが、設計通りの大きさでつくられているかどうかを検査する治具です。いわば物差しのようなものです。実際の検査治具を見せてもらうと。

TODA 営業技術部 中村智哉部長補佐
「こちらが実際に弊社がつくっている検査治具になる。こちらはサンルーフの検査治具で、実際にこちらにサンルーフのガラスをつけて検査治具で測定するものとなる」

こうした検査治具は、自動車や部品メーカーから依頼を受けオーダーメイドで製造されていて、TODAは国内外のメーカーから注文を受けています。

TODA 営業技術部 中村智哉部長補佐
「1個1個の部品を100分の5ミリとか、かなり精密に加工することで、それを積み上げて、最終的な検査治具が完成するので、それをお客様に使っていただく。自信を持って、ものづくりをしている」

こうした検査治具には、0.05ミリといった髪の毛1本分のレベルの精度が求められます。この精密な技術を生かして、新たに半導体関連産業への参入を検討しています。

TODA 営業技術部 中村智哉部長補佐
「自社の本来の強み、精密部品を加工して、品質保証をして、検査具として納めているが、もっと精密なもの、うちにしかできないことをしたいというのが思いとしてある」

7月には、県が開いた半導体関連産業の新規参入セミナーに参加。半導体を巡る昨今の動向を、ビジネスチャンスと捉えて情報収集を進めています。

TODA 営業技術部 中村智哉部長補佐
「やっぱり手探り状態で半導体の産業が実際、どういうものがあってどういうものをつくっているか正直、分からない部分が多くて、ちょっとした部分の加工からやらせてもらうことで、最終的には半導体装置自体を作れるぐらいの企業になりたいと思っている」

広島の自動車関連メーカーで、半導体の動向をビジネスチャンスと捉える企業は他にもあります。

東広島市高屋町のマイクロテクノ。創業当初からロータリーエンジンの部品を製造し、現在はオートマチック車のトランスミッションの部品が主な製品です。こちらは、そのトランスミッションの回路です。

マイクロテクノ 池本賢治社長
「この中に油が通るようになるが、変速する時に油の流れを切り替えて変速を制御する部品をつくっている。この中に、こういった部品が組み込まれていて、この部品が動くことによって、油圧の流れが切り替わる。私たちはバルブといわれる、この部品をつくっている」

こうした部品はアルミや鉄を加工してつくられていますが、加工には1000分の1ミリという、ミクロン単位の精度が求められるといいます。マイクロテクノでは材料の投入から加工までを自動化し、大量生産に対応しています。

マイクロテクノ 池本賢治社長
「機械加工のメーカーにとっては加工精度が命で、お客様が要求される以上の加工精度を絶えず自社開発して、持っておく必要があると考えている」

こちらでも精密な技術を生かして、新たに半導体関連産業への参入に意欲を示しています。背景にあるのは、今後のEV化への備えです。

マイクロテクノ 池本賢治社長
「将来を考えた時に、EV化が進んでも大丈夫なように電気モーターで動く電動化部品、これに今、取り組んでいる。とはいえ会社の将来を考えた時には、自動車業界だけではなくて、いろんな商品をバリエーションに持つことで、会社の経営が安定してくることにつながってくると考えて、現時点で半導体向けの商品開発も行っている」

その上で、半導体を巡る動きを、チャンスと捉え、参入に動いています。

マイクロテクノ 池本賢治社長
「マイクロンもあるし、TSMCもあるし、それ以外にも半導体メーカーが日本国内にいろんな設備投資を検討している。当然、日本の半導体装置メーカーも大きなビジネスチャンスになっているし、そこに私たちも入り込んでいきたいと考えている」

マイクロンの巨額投資が契機となって、広島が半導体関連産業の新たな集積地となり得るのか、行方が注目されます。