JR芸備線の三次から広島の区間で、利便性を高めるための検討が進んでいます。沿線自治体とJRが議論している検討案を取材しました。

広島駅から岡山県の新見駅までをつなぐJR芸備線。備後庄原から備中神代の間は、存廃が議論されている一方、広島から三次の間では通勤・通学客が多く、手堅い需要があります。

安芸高田市から広島市へ通学する高校生
「遠いところからでも1本で(学校に)行けるのが良い」

しかし、その区間でも西日本豪雨による長期運休を境に、乗客が離れました。昨年度の利用者数は西日本豪雨前の2017年度と比べて28%減っています。そこで、沿線の三次・安芸高田・広島の3市はJR西日本などと協議会を立ち上げ、芸備線を活性化させるための議論をしています。

協議会はその一環で乗客にアンケートを実施。すると、およそ半数が「利用する時間帯に合うダイヤができる」ことで、乗車頻度がさらに高まると回答しました。実際に利用者に聞いてみると、現状のダイヤに対する不満が聞かれました。

乗客の高校生
「列車が来るのがだいたい20分間隔。もう少し早く出来ないかな」

乗客の男性
「間隔がすごい長いところがある。待つ時間が、暑いときはたまらない」

このダイヤのネックになっているのが「行き違い設備」の少なさです。芸備線は全線が単線のため、一部の駅で上下線の列車が行き違うようになっています。しかし、行き違える場所が少なく、現状これ以上の増便が出来ないといいます。

JR西日本も「前向きに検討したい」

JR西日本は自治体の支援を前提に、行き違い設備などを新設して列車を増便するといった利便向上策に前向きな姿勢を示しています。

JR西日本 飯田稔督・広島支社長(25日の会見で)
「広島から三次方面は朝の通勤通学時間帯でも、1時間間隔が開いてしまうというところがある。これはどうしても今の設備状況的にはやむを得ない。行き違い設備を作ることでダイヤもより柔軟に組めるようになる。(協議会は)大切な機会、前向きに検討してまいりたい」

芸備線の、特に利用者が多い狩留家駅から広島駅の間で見てみると、行き違い設備は下深川・安芸矢口・矢賀にしかありません。JR西日本は「狩留家~下深川」間と「安芸矢口~矢賀」間に行き違い設備を新設すれば、列車の増便や通勤快速の新設ができると試算しています。

アンケートではこのほか、乗客のそれぞれ4割が「新型車両の導入」や、「ICOCAの利用エリア拡大」で、利用頻度が増えると回答しています。利用者に話を聞くと「列車のトイレが和式なので洋式にしてほしい」といった声も上がっていました。

JR西日本は、行き違い設備の新設には1箇所あたり20~30億円、新型車両の導入には1両あたり4.5億円がかかると試算しています。

協議会は来年度以降の早い段階で、国が事業費の3分の1を支援するスキームへの移行を目指し、そのうえで取り組みを実施していきたい考えです。今後の動きが注目されます。