プラスチックのリサイクどうなっている?

皆さんは、使用済みプラスチックのリサイクルって、今、どうなっていると思いますか? 街中で聞いてみました。

Q.プラスチックって、今日本でどれくらいリサイクルされてると思いますか?
「3割」
「半分くらい」
「だいたい8割」
お!ほぼ正解!
「ハイハイハイハイ!9割」Q.では、何にリサイクルされてると思いますか?
「衣料?服?繊維?」
「またプラスチックになったりしている」
「ペットボトル」
「ペットボトルとか」

「廃プラ」は「プラ」に生まれ変わってる? 残念ながら現状は…

確かに、プラスチックのリサイクルというと、ペットボトルを再びペットボトルにする、「ボトル to ボトル」の仕組みが有名です。ただ、このリサイクルの仕方は、廃棄されるプラスチックの全体量から見るとまだまだ少ないんです。

日本で廃棄されるプラスチックは、2024年度で年間911万tあって、89%がリサイクルされている、とされます。

ただ、ボトル to ボトルのように材料として再利用される「マテリアルリサイクル」は、20%で、大半(66%)は「サーマルリサイクル」と言って、燃やされて熱などのエネルギーが回収されているのが現状です。

そんな中、広島県福山市の企業が、今はまだほんのわずか、2%しかない「ケミカルリサイクル」という方法で、廃プラを、またプラスチックとして使えるように、全国的な展開を始めています。

この技術の活用すれば、街のプラスチックゴミが油田のような価値を持つようになる、という意味で「都市油田」と呼ばれたりしています。いったいどんな技術なのでしょうか?

研究室に並ぶ色とりどりの液体は・・・プラスチックから採れたナフサ入りの油!

福山市にある「環境エネルギー株式会社」。

町工場のような建物の中にある研究室には、様々な色の油が並んでいます。

環境エネルギー 野田修嗣代表
「これはプラスチックからできた油で、様々なプラスチックの種類がありますので、それを分解すると色んな種類の油になります。色も変ってくる」

それは、プラスチックをナフサが混ざった油の状態に戻したものでした。この会社の技術を使えば、使用済みプラスチックが、ケミカルリサイクルされて、再び、プラスチックの原料になります。

その様子を、実際に見せてもらいました。

プラスチックが気化?! そして常温で油に。これが「ケミカルリサイクル」!

例えば、ポリタンクを砕いたものをこの装置に入れると、みるみるうちに気化して、白いガスが現れました。

環境エネルギー 野田修嗣代表
「この中に触媒というものが入っていて、熱がかかります、プラスチックに。そうするとプラスチックが分解してガスになります」
Q.触媒っていうのは企業秘密ですか?
「そうですね、ゼオライト構造のものになってまして、非常に細かい砂みたいな物が入ってる」

ガスが冷やされると、液体のまま保たれます。

Q.サラサラな感じですね?
環境エネルギー 野田修嗣代表
「そうですね、色はありますが、非常にサラサラした油になります」

匂いはガソリンのようなツンとした刺激があります。

Q.揮発性があるんですか?
環境エネルギー 野田修嗣代表
「ナフサも入ってますので」
「今まではどうしても少し、ドロドロしたというか、油の粘度が高かったというのが多かったんですが、触媒方式だとサラサラした、ナフサが多い油が採れるのが特徴です」

「ケミカルリサイクル」の何がすごいのか?

私たちの生活でよく使われているプラスチック製品は、熱に強いPP(ポリプロピレン)や、レジ袋などのPE(ポリエチレン)、発砲スチロールになるPS(ポリスチレン)、それにPETや塩ビ(PVC)など大きく分けて5つの種類に分類されます。

今回の技術のすごさは、これらが混ざった状態でも油化できる、という点です。

環境エネルギー 野田修嗣代表
「混ざっていても、油にできることは間違いありません。ただ一つ問題点があって、(全部混ぜると)油の品質が良くない、と。プラスチックの中には、ペットであれば酸素、PVCであれば塩素が入ってますので、プラスチックの原料となるための油にするためには、取り除く必要がある、という形になります」

より質の高い油にするために、何種類かの選別が行われます。例えば、水に浮くかどうか。質を悪くするPETと塩ビは水に沈みます。
一方、プラスチックに色がついていても、それは品質を左右しないそうです。

環境エネルギー 野田修嗣代表
「今ようやく、このケミカルリサイクルという形で、プラスチックがプラスチックになるという時代がやってきますので、そういった意味で言うと、これから新しいリサイクルの時代が始まるのかな、というふうに思います」

プラがプラになる!新しいリサイクルの時代へ

ケミカルリサイクル・ジャパン 岡村仁彦社長
「非常に面白い技術だなと。こんなすごい会社が広島にあるのかなと思いました」

環境エネルギー社の油化技術は、出光興産に注目され、3年前、合弁会社が設立されました。

そして、2026年4月、千葉県内の事業所で、商業稼働が始まったのです。処理能力は、年間2万t。化学原料を作っている出光興産と組んだことで、リサイクルされた油は、スムーズに再利用されることになります。

ケミカルリサイクル・ジャパン 岡村仁彦社長
「特にプラスチックですね、これを供給する会社の責任として持続可能な形にしていかなければならないということは常々思っておりました。(燃やすのではなく)再度プラスチックとして利用することで環境負荷を下げたいと」

今注目の「ナフサ」がゴミの中から採れる、ということは・・・

「ナフサ不足」が懸念される中、注目度は高まっていると言います。

ケミカルリサイクル・ジャパン 岡村仁彦社長
「今回のホルムズ海峡の危機を通して、ナフサ不足あるいはナフサの供給に不安を感じられて、経済安全保障の観点からこのケミカルリサイクルをもっと推進したらいいのではないかというご意見は出てきております」

ただ、課題は「コスト」。現状、この方法で作られるプラ原料は、原油から作る場合と比べて3倍以上のコストがかかってしまうそうです。

ケミカルリサイクル・ジャパン 岡村仁彦社長
「コストという点で言うと、原油にかなうものはありません。ただ、規模を大きくしていくことで、プラスチック単体の値段を2倍を切るところまでは目指したいと考えております」

コスト高をどう克服するか? そして世界の流れは…?

海洋プラスチック問題などを背景に、国際的には、再生プラスチックの利用を促す法制化が急速に進んでいます。

日本でも、利用が増えれば、例えば輸送コストは軽減できると岡村さんは言います。

ケミカルリサイクル・ジャパン 岡村仁彦社長
「プラスチックのゴミは軽いので、やっぱり輸送コストがかかってしまうんですね。そういった場合は、小さな油化装置を置いて、油にすると、輸送効率が上がりますので、そういったところでトータルコストダウンを狙っていきたいと考えてます」

広島生まれの技術で、都市の油田が活用される日も近い、のかもしれません。

資源の少ない日本で 貴重な「都市油田」活用へ

千葉県にあるケミカルリサイクル・ジャパンの市原事業所では、現在は、メーカーから出たプラを処理しています。2027年度からは、様々なプラが混ざった状態の家庭ゴミからでも質を保ったケミカルリサイクル油ができるのかを実証実験して、本格稼働につなげたい、とのことです。

これうまくいけば、廃プラからナフサが採れるわけですから、まさに「都市油田」が発掘されるってこと?と期待しますが、とはいえ問題はコスト…。

その対策として、例えば輸送費軽減のアイデアとしては、廃プラを運ぶのではなく、油にしてから運ぶ、というもの。全国各地に小規模な油化設備を配備して、軽くてかさばる廃プラはそこで油にしてから再生ルートに乗せれば、輸送費は激減するのではないか、と。

将来的に、プラゴミが「都市油田」として活用されるようになるかどうかは、資源が少なく、ゴミを埋める場所も限られている日本で、ますます注目されます。