前回の熊本地震からわずか10年で、再び「最大震度7」を観測した今回の地震。地震を引き起こしたのは「活断層」とみられています。足下に潜む地震リスクについて、専門家に聞きました。

2026年7月28日午後4時27分―。熊本県熊本地方でマグニチュード7.1の地震が発生。宇城市と氷川町で震度7を観測しました。

広島大学文学部地理学教室 後藤秀昭教授(活断層に詳しい)
「今回も活断層が引き起こした地震。2016年熊本地震の本震は”布田川断層”という活断層が動いた。その南西延長の”日奈久断層”が、今回動いたとみられる。2016年も日奈久断層が一部動いたが、今回はそれが本格的に大きく動いた」

「活断層」は数千年から数万年の周期で、過去にくり返し地震を起こしてきた痕跡です。後藤教授は10年前の熊本地震によって、日奈久断層帯が動きやすい状態になっていたと指摘。こうした「活断層」の上に街が作られています。

広島大学文学部地理学教室 後藤秀昭教授
「今回の地震によって断層近くで、地表のズレ・亀裂が出ているのが確認できる。高速道路が活断層を何度も横切っていて、地震変位によって断絶したとみられる」

【地表地震断層】
地震時に断層のずれが地表まで到達して地表にずれが生じたものです。地震の規模が大きく、震源が浅い場合には、地表にその断層が現れます。日本の内陸地震では一般にM7.0以上の場合に地表に断層が出現することがあります。(地震本部などによると)

こうした「活断層」は中国地方にも存在し、陸だけではなく海にも分布。特に「広島県南西部」には密集しているエリアがあります。

広島大学文学部地理学教室 後藤秀昭教授(活断層に詳しい)
「広島では活断層の真上を幹線道路が横切っている。地震でズレが起これば、道路などが寸断される可能性は大きい。あすは我が身だと思いながら、対策を検討する必要がある」

10年間で3回目の「震度7」 熊本地震の特徴は?

10年前と28日に発生した「最大震度7」の地震です。気象庁によりますと、10年前の「本震」のわずか20キロほどの場所で、今回再び激しい揺れに襲われました。

10年前の熊本地震の最大の特徴は、最大震度7の地震が2回あったことです。前震のわずか28時間後に本震が発生しました。

地震の規模を示すマグニチュードは、前震を後発の「本震」が上回りました。前震の揺れに耐えた建物も、本震で崩れてしまうケースが数多くありました。

気象庁もこのエリアでは、一度大きな地震が発生すると続発する事例があることから、一週間程度は「最大震度7」の地震に警戒するよう呼びかけています。

10年前の被災地では、「ひび割れが入った建物で過ごすのが怖い」/「相次ぐ揺れや避難所生活にストレスを感じる」など、様々な理由で車の中で寝泊まりしたり、公園にテントを張ったりして生活を送る人も少なくありませんでした。

28日夕方から29日午後2時現在で、震度1以上の地震はすでに約200回起きていて、震度5弱も3回ありました。震源の浅い地震は、余震活動が活発になるのが特徴です。

足下に潜む”活断層” 地震リスクは中国地方でも…

中国地方にも活断層は複数存在します。特に「広島県南西部」には、密集しているエリアもあります。

「広島県南西部」では、都心部の近くに活断層が走っていることが分かります。

国の評価では、M7以上の想定。特に「安芸灘断層帯」は30年以内の発生確率が、最高ランクの”Sランク”で、津波被害も想定されています。

28日に熊本で震度7の地震を引き起こした可能性がある「日奈久断層帯」も、 30年以内の地震発生確率は”Sランク”に位置づけられていました。

こうした活断層の上に街があり、足下に地震リスクが潜む中で、私たちは生活していることを忘れてはいけません。

1995年以降 ”真夏”の「震度7」は初

1995年の阪神・淡路大震災以降、国内で「最大震度7」が観測された地震をまとめました。”真夏”に震度7の地震が起きたのは今回が初めてです。

被災地は災害級の暑さの中、地震に備えなければなりません。

食料や水、避難生活に必要なものを揃えることを前提に、「車中泊」のポイントを整理します。

①安全な場所に車を停める
⇒周囲に崩れやすい建物や、飛来しやすい看板などがないか確認。今後本格的な台風シーズンを迎えることから、ハザードマップを確認し、大雨時に浸水リスクや土砂災害などのリスクがないかも頭に入れておく必要があります。

②エアコン必須
⇒熱中症を避けるため、エアコンを使用できるようにガソリンは日頃から満タンにしておくなど備えておく必要があります。過去の被災地では、ガソリンスタンドなどに給油を求める行列ができるケースも少なくありませんでした。

③「エコノミークラス症候群」に注意
⇒エコノミークラス症候群は足や下半身などにできた血液のかたまり(血栓)が、血流に乗って肺の血管につまり、胸の痛み・呼吸困難・循環不全などを引き起こす病気です。車の中にずっと留まらず定期的に歩いたり、しっかりと水分補給したりすることなどが対策に繋がります。

真夏の避難では、熱中症や脱水症状、食中毒。睡眠不足やストレスなどによる体調不良などのリスクがあります。

特に高齢者はのどの渇きを感じにくいため、意識的な水分補給をする必要があります。

また、乳幼児は体温調節機能が未発達なので特に注意が必要です。機嫌が悪い、おしっこが少ないなど異変のサインを見逃してはいけません。発症の「早期発見」が重要です。

日本で暮らす以上、地震はいつどこで起こるか分かりません。足下に活断層による地震リスクが潜む中国地方や広島にとって、今、熊本で起きている被害は決して他人事ではありません。