二度にわたって、最大震度7の揺れを観測した熊本地震から10年が経ちました。活断層を震源とする直下型地震。熊本地震の教訓と、広島の地震リスクを考えます。
熊本市で執り行われた追悼式には、遺族などが参列し、花を手向け、静かに手を合わせました。
義父を亡くした女性
「『家族を守ってください』とお願いしている。家族で看取ることができなかった。本当に申し訳なかった」
10年前の4月14日 最大震度7の地震が発生

2016年4月14日―。
熊本県熊本地方でマグニチュード6.5、最大震度7の地震が発生しました。
発災直後のリポート(ヘリ)
「こちらの家屋も大きく傾きそして、くずれ落ちている屋根瓦が見られます。家のまわりには家財道具も散乱しています」
わずか28時間後 再び襲った「震度7」

そのわずか、28時間後…。再び被災地を激震が襲いました。
マグニチュード7.3、益城町と西原村で最大震度7を観測。前例のない、二度目の「震度7」です。
住宅被害は20万棟を超え、災害関連死含め278人が犠牲になりました。一連の地震を引き起こしたとされるのは2つの「活断層」です。
「足下に潜む活断層」弱い地盤が揺れをさらに大きく
広島大学大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「熊本地震は内陸の活断層で起きた地震。非常に都市が近く、大きな揺れと被害が出るのが特徴」
「建築防災学」が専門の広島大学・三浦弘之教授です。活断層は過去に大地震がくり返し起こっている痕跡で、全国に2,000以上あるとされ、広島の周辺にも分布しています。

広島大学大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「元は一直線だった田んぼのあぜ道が、活断層が動くことによって1.5mくらいズレた写真。地表にもひび割れのように、断層が走っている様子が見える」
直目したのは地盤の「弱さ」
さらに、三浦教授が着目したのは、益城町の地盤の「弱さ」です。
広島大学大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「川が流れているが、比較的弱い地盤があるところ。地震は硬い地盤から柔らかい地盤に移ったときに、振幅が大きくなるという特徴がある。揺れが大きくなり、建物被害も生じやすくなる」
弱い地盤の土地を二度の震度7の揺れが襲い、木造以外の住宅にも大きな被害が出ました。
広島大学大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「非常に大きな揺れに対して、1回耐えればいいという設計になっている。こういう震度7が、2回くるような揺れを想定して建設されているわけではない。1回目の揺れである程度被害があり、2回目の揺れでさらに大きく揺らされて、破壊が進行した建物も、かなりあったと思われる」
益城町と広島市 地盤を比較すると

これは益城町と広島市の揺れやすさを比較した図です。横軸が「揺れの周期」、縦軸は「地盤の揺れやすさ」を示しています。広島市のグラフは益城町と同じような形になっています。
広島大学大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「地盤の特徴としては、かなりこの益城町に近い。縦軸の大きさを見ると、益城町よりも大きい値になっている。益城町と同程度の揺れやすさ、あるいはそれ以上の揺れやすさをもつ地盤だと分かる。特別祇園が揺れやすいというわけではなく、地盤の特徴は、他地域にも同じように広がっている」
川と山に囲まれた広島市では、揺れそのものに加え、土砂災害や液状化のリスクも無視できません。
三浦教授は「ハザードマップなどを有効に活用してほしい」と話します。
広島大学大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「『敵を知ることが防災の基本』と言われるが、そういった敵の状況をよく調べて、その上で自宅、身の回りの対策を考えることが重要」
熊本地震の被害とは

【①熊本地震被害ポイント】
◆最初の地震からわずか28時間後に二度の震度7の揺れ(本震)に襲われた
◆半年間で震度1以上が4000回超え
◆災害関連死が直接死の4倍以上。災害関連死の死因の4割が揺れによるストレス。
亡くなった場所で最も多いのは病院だが、その次は「自宅」
活断層型地震とは

【②活断層型地震って何?】
海のプレートが、年間数cmずつ陸側に動いています。爪が伸びるより少し早いくらいのスピードです。これにより、ひずみが生まれます。プレート境界地震の代表が、東日本大震災や南海トラフ巨大地震。
一方、熊本地震は内陸の浅い場所で起きた地震。地震の原因になったのは活断層です。過去に地震がくり返し起きた痕跡で、「ひび割れ」のようなものです。そこに力が加わり、ズレることで地震が発生します。人間が住んでいる場所の真下で地震が発生するので、大きな揺れに襲われることになります。
中国地方の主な活断層

【③中国地方の主な活断層】
こちらが中国地方の主な活断層です。活断層は全国に2000以上あるとされていて、近畿地方や中部地方に多く分布します。
中国地方で活断層が密集しているのが、広島県西部~山口県にかけてです。

【④広島県西部の活断層】
<岩国―五日市断層帯>
陸地に分布して、広島市佐伯区などでは住宅地の下に活断層が走っています。
<安芸灘断層帯>
活断層が海にも分布しています。
地震周期は「数千年~1万年程度」と考えられていて、安芸灘断層帯については、30年以内の地震発生確率が「0.1~10%」となっています。国の地震本部は、30年以内の地震発生確率が「3%以上」の活断層を、”Sランク”に位置づけて評価しています。
活断層による地震被害想定

【⑤広島周辺の活断層による地震被害想定】
<岩国―五日市断層帯>
大きな揺れが特徴で、液状化などで建物被害が最大で6万6000棟に及ぶ想定です。
<安芸灘断層帯>
海に分布していることから、津波被害も想定されています。県の想定では、死者・建物被害のほとんどが津波が原因だとされています。
地震はいつ・どこで起こか分からないので、日頃の備えが重要です。
災害時には「橋のリスク」も

熊本地震の被災地では、大きな揺れで橋が壊れて通れない場所が多くありました。緊急車両や避難する被災者が、迂回するシーンをよく見かけました。
広島市も川の街で橋が多いです。広島市によると15m以上の大きな橋で、建築年数が分かっているものだけでも、3割以上が50年以上経過して老朽化しています。
年間数か所ずつ老朽化対策はしていますが、ハード整備には時間がかかります。地震が起きた後に、近くの橋が通れないかもしれない。その場合、どのルートで避難するかなどを、あらかじめ考えておくことが必要です。
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