アメリカとイランが停戦で合意したと報じられる一方、いまだ中東情勢は予断を許さない状況が続いています。戦闘開始から1か月あまり。この間、ホルムズ海峡が事実上封鎖されるなど、物流の混乱が医療の現場にも影を落としています。
広島市に本社を置く創業51年の医療機器メーカーJMSです。製造される注射器などの医療用品には「石油からできている」共通点があります。

JMS 経営戦略室 門廣秀之室長
「原材料のナフサの入手が不透明な状態にある。この部分のコントロールはできない。(供給が)ストップすれば、新たな方法を考えなければ」
中東情勢次第では「値上げに関わる」通知も
三次市にある工場の製造ラインでは、予防接種などに使われる注射器が組み立てられています。
用途に応じて10種類以上の注射器を製造する同社にとって、原料となる「ナフサの安定確保」が、欠かせません。

JMS 経営戦略室 門廣秀之室長
「海外から輸入する製品も、これまで通りの価格とはいかない。コストの上昇が積み重なっていくことが、この先想像できる」
国内の在庫は数か月分確保されていますが、仕入れ先からは情勢次第で「値上げ」に関わる通知も届き始めていて、製品価格への転嫁を検討せざるを得ない局面に来ています。
透析患者「命をつなぐ治療」にも影響?
広島県内だけで7000人以上とされる透析患者。広島市の土谷総合病院では、多くの患者が週に3回、命をつなぐための治療を受けています。
血液を浄化する透析回路のチューブも、石油を原料とする、使い捨ての製品です。
土谷総合病院 川西秀樹医師
「現時点ではひっ迫していないが、何か月も続けば、対応を考えざるをえない」

ただちに供給が止まることはないものの、すでに感染対策に欠かせない「医療用手袋」には出荷調整がかかっています。流通の混乱を防ぐため、当面の間は、適正な数量での注文が求められています。
川西医師は、この局面を、石油に頼り切ってきた医療のあり方を見直す契機と捉えています。
土谷総合病院 川西秀樹医師
「社会においても便利さを追求する中で石油由来の製品が増えてきた。石油はどうしても限界がある。どこを削り、どこに重点的に回すべきか、そろそろ考えていく時代に来ているのでは」
「医療用品の素材はすぐに切り替えできない」
政府は、ナフサなどの在庫について「国内需要4か月分を確保している」と説明し、中東以外からの輸入を倍増させる方針を示しています。

医療用品には「制度の壁」があり、安全性を証明する国の認可手続きには数か月から1年以上かかるため、中東情勢が変化したからといって、すぐに石油以外の素材へ切り替えることは困難です。
社会全体で石油製品を使う優先順位をどう決めていくのか。命を守るための模索が続いています。


































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