広島県大竹市で、昭和の時代から38年間活躍した「大型水槽車」が、3月31日限りで引退しました。この車両と同期の消防隊員を取材しました。

ワイルドなフロントがレトロさを感じさせる1988年(昭和63年)式の「大型水槽車」。大竹市消防本部で38年間走り続け、広島県内では最古の部類に。経年劣化には抗えず、3月31日限りで引退しました。

普通の消防車と違ってタンクローリーのような見た目の大型水槽車。大竹市消防本部の林公一主査は「キャブ(運転席部分)の後ろにある10トンの水槽が特徴。常に水を10トン積み、山間部や高速道路など、水源が乏しい地域で活躍する車」と話します。

走りは今も健在で、排気量11670ccのパワフルな音が響きます。パワーステアリングはついているものの、10トンの水を積んでいるためハンドルが重いそうです。このハンドルを回してどこにでも駆けつけた大型水槽車の活動範囲は、大竹市に留まりませんでした。

大型水槽車と同じ1988年入庁 隊員の思い出

大竹消防署の村本誠副署長は「実は水槽車と同級生になる」と話します。村本さんは1988年、この車が配備されるのと同じ時期に消防隊員になりました。38年間を共にしたなか一番印象に残っていることは、2011年の東日本大震災だそうです。

村本さんは15年前、この大型水槽車に乗って宮城県名取市に向かい、地震で消火栓が壊れて使えなくなった地域で万が一の火事に備えました。

大竹消防署 村本誠副署長
「道路脇で『ありがとう』と言葉をかけてくださる方がたくさんいらっしゃった。本当に心が詰まる思いというか」

大型水槽車は去年、愛媛県今治市で起きた大規模な山火事にも出動しました。

大竹消防署 村本誠副署長
「ともに昭和、平成、令和と歩んできた仲間みたいなもので『先に卒業しちゃうのか』と、寂しい思いです。ただ、今は『ありがとう』『お疲れ様でした』という強い思いがあります」

4月からは新型車両にバトンタッチ

4月1日からは、この役目を新型車両に引き継ぎます。新型車両は防衛省の補助金を活用し、約8500万円をかけて整備されました。

大竹消防署 村本誠副署長
「大型水槽車が活躍しないほうがいいので、市民の皆様には火災予防と火の取り扱いに改めて注意していただきたいです。ただし、万が一災害が発生したときには、全力で駆けつけて立ち向かいます」

38年間の総走行距離は、およそ23,000km。昭和、平成、そして令和と3つの元号を駆け抜けた大型水槽車が歴史に幕を下ろしました。