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今週18日(日曜)、天皇盃第31回全国都道府県対抗男子駅伝が行われる。
全国ネットのラジオ中継で第一中継所のタスキ渡しの実況を長年担当しているのだが、1区は実に面白い。
全区間で唯一、区間賞が一目瞭然であり、各都道府県のエースランナーが集結するため非常にレベルが高い。毎年、中継所でのタスキ渡しはまさに「怒濤(どとう)」の光景となる。
実況者としては、47都道府県名をすべて実況するべく、膨大な準備と訓練を要する区間でもある。この駅伝では、1番の北海道から47番の沖縄まで、各都道府県に決められたナンバーカードがある。我々実況アナウンサーはこの番号を頼りに実況を行っている。年明け前から訓練を始め、数字と都道府県名を頭の中でリンクさせていく。例えば、交差点待ちでは、往来する車のナンバープレートを見ながら「8……茨城、17……長野、42……長崎」といった具合にブツブツと口にしながら、記憶を体に染み込ませていくのだ。
話がそれてしまったが、この駅伝の最大の特徴は中学生、高校生、一般(大学生・社会人)が世代を超えてタスキをつなぐことにある。
その中でも勝敗のカギは「高校生区間」にあると言われている。
まず、全7区間のうち高校生が最多の3区間を占める(中学生・一般は各2区間)。さらに、中学生区間はわずか3キロで大逆転が起こりにくく、トップ層が集結する一般区間では実力が拮抗し、大きな差が付きにくい。
つまり、いかにレベルの高い高校生を揃えられるかが、上位進出の絶対条件となるのだ。駅伝の必勝法は、基本的には「先行逃げ切り」。いかに良い滑り出しをして、後半区間のランナーを楽にさせてあげられるか。その意味で、高校生が任される「1区」は、大会全体の流れを決める最重要区間といえる。
「高校駅伝歴代最強」の呼び声高い「増子陽太」とは?
エントリーされた面々を見る限り、今年の1区は記録的な大激戦が予想される。まず名前を挙げたいのが、福島の増子陽太(学法石川高)だ。
昨年末の全国高校駅伝で見せた走りは衝撃的だった。超ロングスパートで並み居る強豪の追随を許さず「ぶっちぎり」の区間賞。しかも日本人新記録のオマケ付きだ。まさに『高校駅伝歴代最強』として、冬の安芸路でどんな記録を叩き出すのか注目が集まる。
しかし、福島は増子だけではない。同じく学法石川高で、U20日本選手権クロカン8kmを制した栗村凌も控えている。どちらが1区を走っても区間賞争いに絡むのは確実で、配置されなかった方は高校生最長区間の5区(8.5km)に回ることができる。福島の層の厚さは驚異的だ。
インターハイ3の2大会ぶり「日本人王者」
そこに待ったをかけるのが、兵庫の新妻遼己(西脇工高)。昨年7月のインターハイ5000mでは、実に32大会ぶりとなる日本
人優勝という歴史的快挙を達成。続く滋賀国民スポーツ大会(国スポ)少年A・5000mも王者に輝き、自らの力を証明する最高のトラックシーズンを過ごした。また、全国高校駅伝1区では、唯一、増子とのマッチレースを展開した。最後は離されたものの、その借りを高校最後の駅伝で返すべく、雪辱に燃えているはずだ。
「早大トリオ」のライバルたちの激突
さらに、鳥取県の本田桜二郎(鳥取城北高)も忘れてはならない。全国高校駅伝1区3位の実力を持ち、U20日本選手権では3000m・5000mの二冠を達成。今月10日にアメリカ・フロリダ州で開催された「タラハシー2026世界クロスカントリー選手権大会」のU20男子8kmにも出場したばかりの実力者だ。福岡の大牟田高校から転校して以来、初めて鳥取県代表として出場する舞台に注目したい。
実は、福島の増子、兵庫の新妻、鳥取の本田はいずれも早稲田大学への進学が予定されている。春からはチームメイトになる彼らが、それぞれの故郷の誇りを胸に「ライバル」として火花を散らす。そんな熱いつばぜり合いが見られるのも、この大会ならではの醍醐味だ。
虎視眈々と上位を狙う名門校の大黒柱
各県のエースたちが集結そのほかにも、今大会の高校生エントリー中で5000mの持ちタイムトップ3に入る北海道の吉田星(東海大札幌高)、地元・広島の声援を受けて快走を誓う名門・世羅高校のエース土間董哉らも虎視眈々と上位を狙う。
一般区間に「シン・山の神」こと黒田朝日(青山学院大)を擁する岡山県は、5000m県高校記録を持つ首藤海翔(倉敷高)が1区。5連覇を目指す絶対王者・長野は、強豪・佐久長聖のエース酒井崇史がどの位置でタスキを渡せるかが連覇への分岐点となるだろう。
「故郷が誇るエースたち」は?
さらに、菅野元太(宮城・仙台育英高)、今村仁(佐賀・鳥栖工業高)、工藤優唯(青森・青森山田高)、五十嵐新太(茨城・水城高)、上杉敦史(千葉・八千代松陰高)など、全国に名を知られた実力者がずらりと名前を連ねている。
各都道府県が誇る高校生エースたちが、1区という重要区間でどんな駆け引きを見せるのか。私も大いに期待して、号砲の瞬間を待ちたい。

2020年 ディレクター(左)と中継所の様子
執筆:伊東 平(RCCアナウンサー)
プロ野球、Jリーグ、駅伝などスポーツ中継を幅広く担当。天皇盃 全国都道府県対抗男子駅伝では、例年、第1中継所の実況を務める。
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