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「魂の殺人」と言われる性被害。その傷は、数年が経過しても癒えることはありません。中国地方に住む20代のしおりさん(仮名)は、13歳から約6年間にわたり、信頼していた部活動の男性外部コーチから性被害を受け続けました。取材に応じたしおりさんから語られたのは、「指導」という名目でターゲットを追い詰める巧妙な手口でした。

最初は純粋な「強くなりたい」「コーチに認められたい」という一心でした。
「私がきつい練習などをしっかりと頑張ったり、結果を残せたときにすごく褒めてくれる感じだった」
ただ、機嫌によって叱られることもあり、「言うこと聞いてたら、褒められる」と思うようになっていきました。
そして徐々に、個別指導や通院の送迎など特別扱いを受けるようになりました。

中学2年になると個別でマッサージやテーピングをされる機会が増え、お尻や胸を触られるようになっていきました。
ただ、コーチに従えば成績は向上する。そう信じて疑いませんでした。
「マッサージなどで体に触れられることは、最初は抵抗感があったが、自分の中では『スポーツのためにしてくれている』と、その抵抗感も少しずつなくなっていった」

コーチからの行為は、どんどんエスカレートしていきます。少しでも拒むと機嫌が悪くなり、無視され、練習を見てもらえなくなりました。次第に「拒否」という選択肢がなくなっていきました。
「14歳のときに初めて実際に行為をされたが、抵抗するという選択肢がなくて、もう逃げ道がないんだなと」
誰にも相談できないまま、19歳になるまでの約6年間、性被害を受け続けました。
「『俺は悪くなくてお前が全部悪い』などと言われたので、私も悪いんだ、これは誰にも知られてはいけないんだと思い、絶対に知られないように過ごしてきた」
性暴力や被害者支援に詳しい安田女子大学の山本八千代教授は、今回のケースに近年学校現場でも問題となっている手口が使われていると話します。
安田女子大学看護学部 山本八千代教授
「信頼関係を構築しやすく会いやすい立場、一見いい人素晴らしい先生、素晴らしいコーチだが、いつの間にかグルーミングされてしまったのかと思う」

性的な意味を持つ『グルーミング』とは、性行為を目的としてターゲットに近づき、優しくして信頼関係を築いた上で相手をコントロールすることです。このグルーミングが働いている状態の性被害にはある特徴があります。
安田女子大学看護学部 山本八千代教授
「性行為をされたくないなどの思いもコントロールされていき、人に助けを求める力さえも失っていく。人権侵害であることに気がつかなくなることが特徴だと思う」

約6年にわたり部活動の外部コーチから性被害を受け続けたしおりさん(仮名)は、2025年11月、大きな一歩を踏み出しました。外部コーチを相手取り裁判を起こし、記者会見で自身の性被害について語りました。
転機となったのは、友人に今まで受けた被害を話したことでした。
「友人に話したとき、『それは普通の関係ではない。あなたは何も悪くない』と言われ、そこで初めて自分はもしかしたら悪くないのではと少しずつ思ってきた」
PTSDの診断を受けたしおりさんは、今、会社を休職して、治療を続けています。
「正直いつ死んでもいいやとずっと思っており、自分のことを大切にできない。『魂の殺人』であるし、こどもに対して与えた傷の重さを知ってほしい」
「魂の殺人」である性被害。しおりさんの戦いは今も続いています。

しおりさんが受けていた「グルーミング」は、近年相次ぐ学校現場での性被害でも大きな問題となっています。
しおりさんの場合は、性被害を受ける前、個別でマッサージや病院の送迎など受けていましたが、これは性行為を目的として「特別扱い」や「優遇」をして信頼関係を築こうとする手口の一つです。この、私だけ「特別扱い」や「優遇」されていると感じたら注意が必要です。

グルーミングなどの影響で発見に時間がかかるのが未成年の性被害なので、周りの大人がこどもの小さな変化に気づき声をかけてあげることも大切です。
もし性被害を打ち明けられたらどうしたらいいのでしょうか。
性被害の話は、言いにくいことと理解した上で、「いつ?誰に?どこで?」などと問い詰めずに話を聞くことが大切だと言います。
その上で、児童相談所や性被害ワンストップセンターに相談するようにしてください。
性被害ワンストップセンターひろしま
無料ダイヤル #8891
直通ダイヤル 082-298-7878























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