岡山県北部にある真庭市は知る人ぞ知る“発酵のまち”。日本酒や味噌、醤油といった昔ながらの発酵食品から、ワイン、クラフトビール、チーズといった洋の発酵まで、さまざまな蔵や工房が集まっています。
今回はその中から、歴史ある日本酒蔵と老舗の酢味噌蔵を訪ねました。

美味しい水が育む、発酵のまち「真庭」

真庭は、「軟水」と「硬水」の川が流れる全国でも珍しい土地。
豊かな自然と水に恵まれたこの場所では、昔から酒や味噌、醤油といった発酵文化が息づいてきました。

江戸時代から続く酒蔵「御前酒蔵元 辻本店」

写真提供／御前酒蔵元 辻本店

勝山の町並みに溶け込むように建つ老舗「辻本店」は、1804年創業。江戸時代には藩主への献上酒として親しまれ、今もその伝統を大切に守り続けている酒蔵です。

蔵では、岡山県産の酒米「雄町（おまち）」を使い、古代の製法「菩提酛（ぼだいもと）」で仕込むという、こだわりの酒造りを続けています。
「雄町」は背が高く栽培が難しい原生種。主要産地は岡山県南部ですが地元「真庭」でも雄町の生産が始まっているのだそう。

「御前酒1859」は、フランスの「Salon du Sake 2025(サロン・デュ・サケ)」で
最高賞を受賞！世界が認めた味わいを蔵元でぜひ手に入れて！

また、向かいの建物２階には直営レストランが併設され、酒と料理のペアリングを楽しむことができます。

明治から続く手づくりの味「河野酢味噌製造工場」

1888年創業の「河野酢味噌製造工場」では創業当時から杉桶を使い、すべて手作業で酢・味噌・醤油を仕込んでいます。

「発酵は、人がコントロールするものではなく、菌と時間が育ててくれるもの。」と５代目店主、河野尚基さん。

こちらが米を発酵させて、３日目の麹菌。受け継がれてきた木製の麹蓋だからこそ、隅々まで菌がしっかり成長するそう。

人気の「味噌屋清治郎」は全国味噌鑑評会で各賞を受賞！まろやかな味と香りで、いつもの味噌汁が、驚くほど味わい深く変わるんです！

また「糀味ドレッシング」シリーズは、自然な酸味と旨みがサラダや料理の食材そのものの味を引き立ててくれます。

まにわ発酵’sがつなぐ、人と文化

写真提供／御前酒蔵元 辻本店

地域の発酵職人たちが力を合わせ、まち全体で発酵文化を育てている真庭。その中心にいるのがジャンルを越えて生産者たちがつながっている《まにわ発酵’s（はっこうず）》。

参加しているのは、それぞれの分野で高く評価される実力者ばかり。杜氏が酒蔵以外の蔵を見学するなど、かつては考えられなかった交流が行われているそう。

お互いに刺激を受け合い、より良いものづくりを追い求める姿からは、まっすぐな情熱が伝わってきます。

発酵が教えてくれること

発酵とは、「待つこと」「任せること」「育てること」。真庭の澄んだ水や清らかな空気、そして人のあたたかさが、製品作りの根底にあると感じました。次はクラフトビールやチーズ、他の蔵元にも会いに行きたいな。 みなさんも“発酵のまち・真庭”、ぜひ一度訪れてみてください。

御前酒 蔵元辻本店

住所／岡山県真庭市勝山116
TEL／0867-44-3155
アクセス／中国自動車道「落合」ICから車約30分
公式HP／ http://www.gozenshu.co.jp

有限会社 河野酢味噌製造工場

住所／岡山県真庭市久世267
TEL／0867-42-0102
アクセス／中国自動車道「落合」ICから車約15分
公式HP／ http://www.kohno-honten.co.jp/

瀬戸内Finderフォトライター 坊野　美絵

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