radiko:田口麻衣noみみコミ | RCCラジオ | 2025/03/02/日 16:30-16:45
内容:『白洲次郎と白洲正子 ふたりの暮らした武相荘』
出演者:奥田元宋・小由女美術館 学芸員 吉川昌宏さん
三次市の奥田元宋・小由女美術館で2月20日(木)から開催中の企画展
「白洲次郎と白洲正子 ふたりの暮らした武相荘」 ついて
奥田元宋・小由女美術館の学芸員、吉川昌宏さんに伺います。
まず、今回の展覧会のチラシを拝見すると、とっても素敵な自然の中に
かやぶき屋根がそして白壁の素敵な古民家が写ってるんですけど、
これがその無愛想なんですか。
夫婦が終の棲家として今に残した旧白洲邸 「武相荘」
白洲次郎と正子が終の棲家として残した、武相荘です。
白洲次郎と白洲正子が終の棲家として暮らした古民家で、
現在の東京都町田市にあります。
1942年、当時は鶴川村と呼ばれていた東京郊外の古民家を買い取り、
武蔵の国と相模の国の境にあることと、自身の性格をもじって
「武相荘」と名付けられたそうです。
無愛想でもあるし、武蔵の「武」と相模の「相」を取って「武相荘」。
現在はふたりの資料を展示するとともに、
カフェとしても利用できる施設として公開されています。
どこにあって、どんな建物なのか、今はどのように使われているのか、
など武相荘についてお教えください
今もレストランやミュージアムとして使われているんです。
レストランやミュージアムとしてだから、一般の私達も入ることができるということですね。政治家としての白洲次郎といえば、戦後日本の礎を築いた吉田茂を支えた人物。政治家・白洲次郎を知っている方は、このようなほっこりするようなお宅に住んでいたのかと意外に思われるかもしれません。
そうですね。ちょっとイメージがいろいろと独特なエピソードとか価値観をお持ちの方ですのでちょっとびっくりされるかもしれないですね。
婚約時代に互いに贈ったポートレート
あらためて、白洲次郎と白洲正子について教えてください。
白洲次郎は、1902(明治35)年、兵庫県武庫郡精道村(現在の芦屋市)で
三田藩儒者役を代々勤めた家に生まれます。
神戸一中を卒業後、イギリスのケンブリッジ大学へ留学。
友人との親交を通じて英国流のジェントルマンシップを育みました。
戦後は吉田茂に請われGHQとの折衝にあたり、憲法改正交渉などの
日本側唯一の窓口として矢面に立つこととなります。
白洲次郎
「われわれは戦争に負けたのであって、奴隷にされたわけではない」
と、そのプリンシプルを英国流のジェントルマンシップを基盤として、
遺憾なく発揮しGHQからも 「従順ならざる唯一の日本人」 と評されました。
通商産業省設立、電力再編、サンフランシスコ講和独立と次々に新たな課題に
取り組み、戦後の混迷する社会の中を颯爽と駆け抜けた「風の男」として、
その生き様は多くのファンを惹きつけています。
白洲正子は、1910(明治43)年、貴族院議員で実業家の樺山愛輔伯爵の次女として、
東京市麹町区(現在の千代田区)永田町に生まれます。
6歳から能を習い始め、14歳で父とともに渡米、
ニュージャージー州のハートリッジ・スクールへ留学します。
戦後は小林秀雄や青山二郎らと親交を結び、文学と骨董の世界へ。
日本各地を訪ね歩く一方で、
銀座では染織物や工芸品を扱う店舗も経営するなど、多忙な日々を過ごします。
東奔西走するその姿は青山二郎から 「韋駄天お正」 と呼ばれました。
白洲正子
日本人の信仰をめぐる旅、そして日本の美を求める旅を重ね、
培われた独特の審美眼を通して『西国巡礼』『かくれ里』などの名紀行を著し、
多くの読者から愛され続けています。
実際のお二人はどんな人物だったんですか?
展示では、次郎さんが愛用されたニッカーボッカーやタキシード、帽子や
ライターなども紹介しています。
正子さんの資料からは琉球絣や着物、装飾品なども展示し、
ふたりそれぞれの美的なセンス、好みの志向なども感じていただけるかと思います。
近代の日本を作ってきたといっても過言ではない次郎と、
生活の美を追求した正子。ふたりの共通点はどんなところにあるんでしょうか。
それぞれがご自分の世界で活躍されていく中で
やっぱりそれぞれ自分の価値観、自分のセンスっていうのを確固として持っていて、
かつそれをお互いが尊重し合っているという印象を受けますね。
今回の企画展、白洲次郎と白洲正子2人の暮らした武相荘ですけれども、
どんな展示があるんですか。
先ほどお話の他にも、次郎さんが使われてたタイプライターですとか
普段使われていた食器、あるいは2人の写真なんかもたくさん展示してます。
また、ゴルフクラブとか友人から送ってこられたお酒なんかも展示してます。
次郎がよく持ち歩いたオリベッティ社製タイプライター
白洲次郎の手記
正子さんの方では、着物の他にもですね、自分で書かれていた原稿ですとか
収集されていた様々な骨董品・陶器とか、古いお面などをご紹介しております。
正子が蒐集した織部皿(江戸時代前期)
白洲正子の直筆原稿「御殿場の憶い出」
1章では、武相荘でふたりの暮らしを彩った家具や調度品などを紹介
2章・次郎さんのコーナーでは、
服飾品のほか、ゴルフクラブや友人から贈られたお酒なども展示しています。
3章・正子さんのコーナーでは、先に触れた着物のほか、
著作の原稿や蒐集された骨董、陶器や古面なども紹介しています。
なかなか同じようにマネすることはできないですが、
こんな暮らしができたらいいな、憧れるな、という部分はあります。
なぜ白洲次郎と正子は、二人が亡くなっても私たちを惹きつけるんでしょうか。
正子さんのように自身の美を見つける審美眼、
あるいはライフスタイルに対して確固とした自信を持っていることも
憧れを呼ぶ要因かなと感じます。
最後に、展覧会の期間中、どんな楽しみ方をしてもらいたいですか?
3月15日は「アートとワインのゆうべ」 と題して、
閉館後に特別に展覧会を鑑賞いただき、
三次のワインをお楽しみいただけるイベントも企画しています。
【満月ロビーコンサート】
■3月14日(金)【14時と19時の2回公演】
■出演者 児玉 杏実(ヴァイオリン)・福永 真実(ピアノ)
https://genso-sayume.jp/event/8406/
ロビーコンサートもあり、夜9時まで開館延長しています。
会期も4月15日までなので、
暖かくなってきてのお出かけにお越しいただければと思います。
●期間:2月20日(木)~4月15日(火) 休館日:毎週水曜日
●会場:奥田元宋・小由女美術館
●時間:9:30~17:00 ※入館は閉館の30分まで
※3月14日(金)、4月13日(日)は開館時間を21:00まで延長
●入館料:一般:1,000(900)円、高大生:500(400)円
中学生以下無料、( )内は20名以上の団体料金
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方は観覧料無料
●ギャラリートーク 3月22日(土)14:00〜(所要時間30分程度)
この展覧会のチケットをペア5組にプレゼント!
ご希望の方は、こちらからご応募下さい
※RCCクラブの会員登録が必要です。
●お問い合わせ 奥田元宋・小由女美術館
住所:三次市東酒屋町10453番地6 TEL:0824-65-0010
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