今から140年前、広島県の世羅町に生まれた大妻コタカ。
明治・大正・昭和の時代に立ち向かい、
ただ一筋に女子教育の道を切り拓いた、その生涯をたどります。
昭和36年。コタカさんは77歳の喜寿を迎えました。24歳のときに、夫の良馬さんと暮らした新婚の家で、裁縫と手芸の塾を開いてから53年。
山あり谷あり、いくつもの試練を乗り越えながら、ただひたすら女子教育の道を歩んできた人生です。
その長い日々を振り返って、コタカさんの自叙伝のような随筆集が作られました。
タイトルは『ごもくめし』。
本のはじめには、こんな言葉が綴られています。
「『ごもくめし』という題名のように、御馳走として調ったものでもなく、おにぎりのように一つ一つの型が揃ったものでもなく、甘いもの辛いもの酢っぱいもの、色とりどりのものをごたごたに混ぜ合わせた、このささやかな本は、私の毎日の仕事そのままの姿でもあると存じます」。
自分の人生を『ごもくめし』に例えたコタカさん。
いつの時代も、教え子たちから「お母さま」と慕われてきた、気さくで親しみやすい人柄が表れている気がしませんか。
このころ、若さの秘訣を訊かれると、「どんなことでも、よいと思うことは一応実行してみます。若い人たちと共に笑い、共に考えていれば、気持ちの新陳代謝が盛んになって、年をとるのも忘れてしまいますよ」と答えていました。
世羅町にある生家では、『久恵風穴の里(くえ かざあなのさと) ごもくめし』と名づけられたお食事処が営まれています。
名前の由来は、もちろん自叙伝の題名です。
ここでは、地元の食材をふんだんに盛り込んだ、心尽くしのお昼ごはんをいただけます。コタカさんにまつわる史料や写真なども展示され、記念館の役割を果たしているのです。
そして、大妻学院の校訓である「恥を知れ」という文字を刻んだ石碑が、訪れる人を見守るように建っています。
コタカさんの教えは、ふるさとでも生き続けているのですね。
世羅町の大先輩、大妻コタカさんの物語はいかがでしたか。
つづきは、また来週。
ごきげんよう。さいねい龍二でした。
この企画は、世羅町合併20周年と、世羅町出身の教育者で女性リーダーの草分け的存在・大妻コタカの生誕140年を機に、同氏の生涯を辿るオーディオコンテンツを制作、RCCラジオでシリーズ企画として放送するものです。
■ナレーター さいねい龍二
■ライター 角田雅子
■企画 奥土順二
■ディレクター・音効 石塚充
■プロデューサー 増田み生久
■協力 世羅町、大妻コタカ記念会、大妻女子大学
■写真提供 大妻コタカ記念会
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