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高速道路で時速23kmまで急減速 後続のトラック同士が追突し運転手がケガ 危険運転傷害の罪に問われた男に執行猶予付き判決 広島地裁

高速道路上で急ブレーキをかけ、後続のトラック同士を追突させるなどしたとして、危険運転傷害の罪に問われた無職(事件当時会社員)の男(41)の裁判で、広島地裁は14日、執行猶予付きの有罪判決を言い渡しました。

去年8月3日午後8時51分ごろ、広島市の山陽自動車道下り線で、中型トラックが大型トラックに追突し、中型トラックの運転手が腰椎ねんざなどのけがをする事故が起きました。

その後の捜査で、男が運転する乗用車が、追い越し車線を走っていた大型トラックの前に割り込んで急減速したため、大型トラックが急ブレーキをかけざるを得なくなり、中型トラックが追突していたことが判明。警察は危険運転傷害の疑いで逮捕し、検察も危険運転傷害の罪で起訴していました。

裁判では、男は起訴内容を認め、“危険運転の動機”が明らかになりました。

検察は冒頭陳述で、「男は当日、仕事を終えた後、出会い系アプリで知り合った女性との待ち合わせ時間に追われながら、高速道路で制限速度を大きく超える平均時速123kmで走っていた」とし、「追い越し車線を走行していた大型トラックにパッシングを繰り返した際、大型トラックを運転していた男性がブレーキを掛けたことに対して嫌がらせをされた邪推し、報復のために大型トラックの前で急ブレーキを掛けて進行を妨害しようと考えた」と指摘しました。そのうえで、「走行車線から大型トラックを追い越し、時速約99kmで大型トラックの前方約7~8mの至近距離に進入し、時速約23kmまで急減速した」と主張しました。

男は被告人質問で、動機について問われると「急いでいるときに追い越し車線を走るトラックを邪魔に思った」と述べました。男は「後先を考えず、自分の短気なところが招いた結果だと思っています」と自身を分析したうえで、男には5歳の子供がいることから「自分の親がしていたら恥ずかしいなと思う。今後は、何か行動を起こす前に先々のことを考えて、息子の顔を思い浮かべて行動するようにしたい」と話しました。

検察側は論告で「予定に間に合わないのであれば、連絡を取り合っていた女性と時間を調整すればよく、被害者も厳罰を求めている」として、懲役1年を求刑しました。

一方、弁護側は「被告は被害者らへの賠償の意思があるほか、今後は運転をしないと話していて反省している」として、執行猶予付きの判決を求めていました。

広島地裁の小川貴紀裁判官は14日の判決で、「動機は極めて身勝手で、被害者の身体的、精神的苦痛は小さくない」としたうえで、「一方、被告は反省の態度と、賠償に努める意思を示していて、車を処分し自動車を運転しないとも話していることから、社会内で更生する機会を与えることが相当」として、懲役1年、執行猶予3年を言い渡しました。

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