今から140年前、広島県の世羅町に生まれた大妻コタカ。
明治・大正・昭和の時代に立ち向かい、
ただ一筋に女子教育の道を切り拓いた、その生涯をたどります。
コタカさんが創立した大妻学院の校訓は、「恥を知れ」。
以前にも紹介しましたが、これは他人に向けて言う言葉ではありません。
自分自身の心に問いかけて、「恥じるような行いをしてはならない」という、自らを戒める言葉です。
そして、もうひとつ。
コタカさんが一貫して、学生たちに呼びかけていた言葉があります。
それは、「らしくあれ」。
ただ単に、女性らしさや学生らしさを求めたのではなく、個性を育み、自分らしさを磨くことが大切だと伝えていました。
「らしくあれ」という言葉に込めた想いを、コタカさんはこう説明しています。
「ひとりの人間は、一日のうちにたくさんの役割を持っています。向き合う相手に応じ、場所により、地位によっても、同じではない役割を次々と果たしていくわけですが、それぞれの場面で「らしくありたい」ということ。これが、私の希望です」
コタカさんが求めた自分らしさとは、その場の状況に合わせて臨機応変に、最もふさわしい振る舞いをするよう心がけること。
そのためには、周りに流されることなく、自分で考えて行動する、意志の強さや向上心が必要だと、コタカさんは考えていました。
今、目の前にいる人や状況に対して礼を尽くし、ふさわしい自分であろうとする誠実な振る舞いは、相手にも伝わるものです。
このような自分らしさを大切にすることで、人間関係がなごやかになることを、コタカさんは身を持って知っていたのでしょう。
その一例として、お嫁さんとお姑さんとの間も、お互いが「らしくありたい」と思って接していれば、無用な摩擦を避ける賢明さが生まれて、仲良くできるでしょう・・・と、身近な人間関係に置きかえて、学生たちに教えていました。
「恥を知れ」と「らしくあれ」。どちらの言葉も、決して色あせることなく、今を生きる私たちの教訓になってくれそうですね。
世羅町の大先輩、大妻コタカさんの物語はいかがでしたか。
つづきは、また来週
ごきげんよう。さいねい龍二でした。
この企画は、世羅町合併20周年と、世羅町出身の教育者で女性リーダーの草分け的存在・大妻コタカの生誕140年を機に、同氏の生涯を辿るオーディオコンテンツを制作、RCCラジオでシリーズ企画として放送するものです。
■ナレーター さいねい龍二
■ライター 角田雅子
■企画 奥土順二
■ディレクター・音効 石塚充
■プロデューサー 増田み生久
■協力 世羅町、大妻コタカ記念会、大妻女子大学
■写真提供 大妻コタカ記念会
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