日本酒離れが続く中、ユネスコ無形文化遺産への登録で消費拡大が期待されます。日本の3大酒どころの一つ、東広島市で3年前に誕生した新たな日本酒について取材しました。
小林康秀アナウンサー
「辛みの切れ味のあるおいしいお酒ですね。おいしいはずですよ。6月に日本一に輝いたお酒なんです」
東広島市安芸津町、今田酒造本店の「富久長 新橋の男達(おやじ)の酒」。なんとも男心をくすぐるネーミングですが・・・6月の日本酒品評会「サケコンペティション」の純米酒部門で1位に輝きました。
今田酒造本店 今田美穂社長
「安芸津のお酒ですので、お水が柔らかい軟水なんですよね。ただの辛口にならないように、スッキリしすぎた辛口にならないように、ほどいい旨味を乗せた広島の酒らしいっていうのを目指しました」
安芸津は広島の酒造りの特徴である「軟水醸造法」発祥の地。今田さんはイギリスの国営放送BBCの「100人の女性」にも選ばれた杜氏です。その今田さんが惚れ込んだのが、最新の精米方法を取り入れた新しい酒、真吟酒。
今田酒造本店 今田美穂社長
「今年、コンペティションで賞をいただけた1つの理由でもあると思うんですけど、真吟精米って呼ばれる地元のサタケさんが開発された新しいその精米方法があるんですけど、それを2年前、去年の作りから取り入れてます」
真吟精米から生み出された真吟酒。品評会で「富久長」に続き2位になったのも宮城県の真吟酒でした。
小林康秀アナウンサー
「真吟酒を生みだした最新の精米技術とはどんなものなんでしょうか?こちら開発した東広島市の精米機メーカー、サタケにやってきました」
サタケは精米機のトップメーカーです。案内していただいたのは、酒米支援部長の新山さんです。
「普段は一般の方には入っていただけない施設になります」
今回特別に見せてもらったのが・・・高さ、およそ7メートルの最新の精米機。新しい酒のもとになる「真吟米」が作られます。
「お米が少しずつ降りてきて、丸い円柱の部分で大きな砥石が高速で回転しています。そこで何十時間もかけてお米を小さく磨いていきます。サタケの技術が詰まった心臓部になります」
サタケは128年前、日本で初めて動力式の精米機を開発しました。それから100年余り、真吟精米が誕生しました。
新山伸昭部長
「25倍に拡大した玄米の模型なんですけど、今までお酒作りのお米はこのように丸く小さく描いてたんですが、それを平べったく磨く。こういう技術が真吟の技術です」
新しい精米機は、丸く削るのではなく楕円形の玄米の形に合わせ扁平に精米します。コメの表面部分に多いタンパク質を効率よく取り除くことで、雑味が減ってまろやかになるというわけです。
サタケ 新山伸昭 酒米支援部長
「今までのお米は、この砥石を擦りつける時にお米の表面の細胞を潰しながら削っていった。ところが、今回の新しい土石はすごく切れがいいので極端な話、カッターナイフで切るようにスパスパ切れるので、早くて温度も上がらない」
作業の効率化、省エネにもつながると言います。
サタケ 新山伸昭 酒米支援部長
「精米時間を比べますと、約半分で精米が済むので電気代は半分ですよね。とてもSDGSな技術事実ということになります」
一方で、近年、国内では日本酒離れが続いています。日本酒の国内出荷量はピーク時の50年前には170万キロリットルを超えていました。しかし、他のアルコール飲料との競合や若者の日本酒離れなどで減少傾向が続き、去年は39万キロリットルまで落ちこみました。
サタケは「米の真価を吟味し醸す」との思いをこめ3年前に「真吟」をブランド化しました。真吟酒は全国およそ100の酒蔵で採用され少なくとも150の銘柄が誕生しています。真吟酒で日本一に輝いた今田さんは新たな酒造りの可能性を感じると話します。
今田酒造運転 今田美穂さん
「お酒の構成、設計図を考える時に、酵母を何を選ぶか、原料米何を選ぶかみたいなことが大きかったんですけど、その中にお米を磨く形をどれを選ぶかっていう新たなジャンルが生まれた。すごく大きいですね」
さらに、広島の地域性にも期待を寄せています。
今田酒造本店 今田美穂さん
「精米メーカーさん、お米のプロフェッショナルとコミュニケーションが取れるようになったっていうことが、実は広島県にしか起きてない。将来的にものすごく大きなことになるんじゃないかと思っています」
サタケも、今回のユネスコ無形文化遺産登録で真吟酒の消費拡大を期待しています。
サタケ 新山伸昭 酒米支援部長
「海外の方が好まれるのが、よりスッキリとした飲みやすい日本酒、いわゆるワインの国の方にも飲んでいただけるようなお酒、真吟米を使った真吟酒というのはそのテイストにマッチングしますので、とても期待している」
サタケの最新技術が盛り込まれた真吟酒を、従来の酒と飲み比べてみました。
小林康秀アナウンサー
「おいしいですね。喉に入ってくる感じもするっといきますね。これが真吟酒なんですね」
サタケ 新山伸昭 酒米支援部長
「これから全国の蔵元が色々試してくださると。新たな日本酒の味や香りというものが出てくる可能性があると思います」
スタジオ)
ユネスコ登録で海外でも日本酒の認知度が上がるのでは。サタケが約130年培ってきた精米技術を生かし日本酒の可能性を広げようとしています・・・
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