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radiko:田口麻衣noみみコミ | RCCラジオ | 2024/12/08/日 16:30-16:45
内容:「PARALLEL MODE:オディロン・ルドン 光の夢、影の輝き」
出演者:ひろしま美術館 学芸員 農澤美穂子さん

ひろしま美術館では、年明けの1月11日~3月23日まで「パラレルモード:オディロン・ルドン 光の夢、影の輝き」が開催されます。どんな展覧会なんでしょうか。学芸員の農澤美穂子さんにお話をうかがいました!

《自画像》1867年、油彩/板、パリ、オルセー美術館
©Grand Palais Rmn (muséed'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

オディロン・ルドンは、どんな画家なんですか?
ルドンは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、フランスを中心に活躍した画家です。画業の前半は、空を飛ぶ目玉や人面の植物など、不可思議な題材を中心にモノクローム(白黒)で表現しました。

かなり独特な、ちょっぴり不気味さも感じるような作品ですね。
彼の前半の作品はそのようなものが多いのが特徴で、観られたかたは同じような感想を言われますね。ただ後半生になると、女性像や神話の一場面、花瓶など、色彩豊かに描きました。彼の人生の前半は、体が弱かったり戦争を経験したりと、そんな環境が作風にも表れていますが、後半は結婚してその頃から明るい色彩の作品を描くようになったとも言われています。
ルドン自身は認めていませんでしたが、「象徴主義」を代表する画家とされています。
「象徴主義」ですか?どんな作風ですか。
「象徴主義」は、19世紀末に興った芸術のひとつの方向性です。さまざまな方向性がありますが、美しい女性の姿をした死の化身だったり、キリストを思わせる祈りをささげる貧しい漁師であったりと、全体的に仄暗さや、幻想的な雰囲気を讃えた物語の一場面のようなものが描かれています。基本的に現実の風景や光景を描いた「印象派」と正反対の作風です。キリストの磔刑図がキリスト教の教義を示すように、象徴的に事物を描くことは、19世紀以前からも行われていましたが、社会一般に共通した観念を表すものでした。これに対し、19世紀末の「象徴主義」は、ぱっと見は同じように見えても、個人的な観念、なかでも不安やデカダンスなどを表現するために、神話や物語などの設定が使われました。例えば、一見、美の女神ヴィーナスに見える女性像の足下に、原罪のイヴを思わせる蛇が描かれていて神話や宗教でない画家としての意図が暗示されています。

例えばどんな作品がありますか?
前半でひとつ挙げると、
『エドガー・ポーに』 Ⅰ. 眼は奇妙な気球のように無限に向かう 
という不思議なタイトルがついた版画の作品です。

《「エドガー・ポーに」Ⅰ.眼は奇妙な気球のように無限に向かう》1882年、リトグラフ/紙、岐阜県美術館
前半は「黒の時代」と言われまして、木炭画や版画を中心に作成しました。石版画集『エドガー・ポーに』(1882年)は、アメリカの文学者エドガー・ポーの著作に即した挿絵ではないのですが、その文学に影響を受けたグロテスクで奇妙ながら、どこか憎めない生き物たちが描かれています。そのなかのひとつに、眼玉が宙に浮いている作品があります。よく見ると気球になっています。これには、当時発明された気球への興味みも合わさっている点も面白いですね。
「目玉おやじ」を思い出してしまいました…
そうですね!そうやってみると可愛らしくも見えてきますね。

《オルフェウスの死》1905-10年頃、油彩/カンヴァス、岐阜県美術館
油彩画「オルフェウスの死」
後半生になると、色彩を豊かに用いたパステルや油彩画を多く描くようになります。作風も、グロテスクではなく夢の世界のように、キレイなものになるんです。「オルフェウス」はギリシャ・ローマ神話の詩人です。切断された首が描かれている作品で、「オルフェウスの死」という題材は、危険さをはらむ主題として、世紀末の画家たちも好んで描きました。しかし、このルドンの作品ではその首の存在がとても希薄ですし、穏やかに眠るように描かれています。題材は怖いんですが、危険さではなく、幻想的さが勝った夢の世界となっています。
自分の想いを大事に表していたんですね
そうですね。これは個人の意見ですが、目の前のものをそのまま描くというより、思っていることを描くことを得意としたという面で、同い年のモネとは全く違ったタイプの画家だったんだということは感じますね。

《黒い花瓶のアネモネ》1905年頃、パステル/紙、岐阜県美術館

そして、後半に描いた花々は本当に色鮮やかできれいですね!
後半は花瓶に生けた花々を本当にたくさん描いていて、ひろしま美術館にも1点所蔵がありますが、今回何点も展示しますので、ぜひご覧頂ければと思います。

《ペガサス、岩上の馬》1907-10年頃、パステル/カルトン、ひろしま美術館

《ペガサスにのるミューズ》1907-10年頃、油彩/カンヴァス、群馬県立近代美術館
また、飛び立つペガサスなど、ルドンの精神が自由になったのかな、と感じさせるような作品があって、前半と後半で全く違う世界を味わっていただければと思います。
最後にリスナーへのメッセージをお願いします。
今回は、初期から晩年を通覧する、ルドンの特徴的な作品の数々を一堂会する、日本で久しぶりの展覧会です。また、ルドンは、印象派のモネをはじめ同世代の画家たちの作品も紹介していますので、あわせてコレクション展示もご覧ください。

「パラレルモード:オディロン・ルドン 光の夢、影の輝き」

期間 1月11日~3月23日
場所 ひろしま美術館(中区基町)
入館料 前売り;一般1,800円、高大生800円、小中生300円(当日券は200円アップ。)
※未就学児無料
チケット ひろしま美術館、各プレイガイドで販売中。

🎁この展覧会のチケットをペア5組にプレゼントします!

RCC CLUBからご応募ください。
応募締め切りは 12月15日(日)です。

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