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「頂いた命は無駄にしたくない」シカによる農作物への被害が深刻な地域で新たな試み “ジビエで町おこし” 広島市で初となる加工・販売施設がオープン

広島市北部にある白木山の集落。シカによる農業被害が深刻な地域の一つです。そこに広島市では初めてという、シカ肉の加工・販売施設がオープンしました。関係者は「ジビエで町おこしを!」と意気込んでいます。

広島市安佐北区白木町志路に23日オープンしたのは、「白木ジビエセンター」です。オープ二ングセレモニーには地元の神楽団も駆けつけお祝いの餅を配りました。

白木ジビエセンター 中矢和明代表
「皆さんの協力を得て、オープンすることが出来ました。ありがとうございます。シカが売れて、少しでも町おこしにつながればと思いますので、これからもよろしくお願いします」

センターには、市の補助金を活用してシカやイノシシを解体・加工する設備を設置。隣接する販売店「ももんしや」で、真空パックした生のジビエや惣菜を販売します。

初日のこの日は見学に来た近所の人や町外から訪れたシカ肉ファンで賑わいました。

来店客
「冷凍は道の駅とかで売っているが、こういう風に生が新鮮でいい。ヘルシーだし」

地元の人
「(ジビエセンターには)期待している。シカがいっぱい出て来、全部野菜やられいから、助かりますよ」

シカによる被害は深刻でも「頂いた生命無駄にしたくない」

シカによる農業被害が県内で最も多い広島市…。とりわけ多いのが白木山を含む安佐北区で、被害額の8割あまりを占めます。ジビエセンター代表の中矢和明さんは、1年前から開設を準備して来ました。

白木ジビエセンター 中矢和明代表
「シカが増えすぎて、農家さんにたくさん被害がある。シカの頭数を減らしているが、頂いた生命を無駄にしたくないという気持ちから、始めさせてもらった」

この日は農家からの通報を受け自ら、シカを引き取りに行きました。農家が仕掛けたワナには親子とみられる2頭のシカがかかっていました。

農家
「深刻ですね。野菜畑の囲いの中に入って、野菜をぐちゃぐちゃに食べられている」

中矢さんの本業は建設会社の社長です。センターを立ち上げたのは父親の存在もあります。父の松次(まつじ)さんは、地元の猟友会で駆除班長をしています。

父・中矢松次さん
「獲物を粗末にしない。頂くということが、私としては一番理想」

この日は、猟期に入ってはじめての日曜日。猟友会のメンバーでシカ猟に出かけます。

これまでメンバーはシカを捕獲しても、近くに保健所が許可したジビエの処理施設がないため、ほぼ自家消費していました。今後はセンターに販売できます。

猟友会のメンバー
「自分の家で食べたり、猟犬にやったりとか、市場に出回ることがなかったんで、出回るようになったら、シカの頭数も減って来るかもしれんですし」

ジビエで町おこし 看板メニューはシカ肉の唐揚げ

白木ジビエセンターがオープンした23日。肉の加工施設では父・松次さんが、長年、鍛えた包丁さばきを見せていました。

シカは血抜きをしっかりすることとスジをはがすことで柔らかくて臭みのない肉になるそうです。

惣菜の看板メニューがシカ肉の唐揚げです。店の奥で近所の女性たちが調理していました。肉は2度揚げし、1袋に6個入れます。

女性スタッフ
「とっても甘みがあって、柔らかいし、おいしいです」

また、シカのカルビ肉を煮込んだ煮物も販売されました。

オープンセレモニー会場では、唐揚げの試食が行われました。その効果もあってか、この日は、唐揚げがよく売れていました。

センターは今建設会社の従業員と近所の人で運営しています。中矢さんは新たなスタッフを募集しています。

白木ジビエセンター 中矢和明代表
「雇用を増やして、色んなことやりたいなと思います。町おこしにつながって、人口が増えれば」

地域を悩ますシカで町おこしを目指す「白木ジビエセンター」。イノシシも含め月あたり30頭の処理を目指します。

白木ジビエセンター販売店「ももんしや」(水曜定休日)
問い合せ=082・828・0460

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