20日、打ち上げとなった広島カープ、秋の日南キャンプ。来シーズンに向けて、どんな実りがあったんでしょうか? さまざまな声をもとに17日間のキャンプを振り返ります。まずは「選手には量をこなしてもらう」と初日に話していた 新井貴浩 監督です。
広島カープ 新井貴浩 監督
「厳しいキャンプだったと思います。ピッチャーもほぼ毎日、全員ブルペンに入って、たくさんの球を投げ込んでいましたし、野手の方も今までに振ったことない数を振ってますと言っていたので、充実した秋のキャンプだったと思います。きょうでチームとしての秋季キャンプは終わりますけれども、来年は変わっていかなければいけない年だと思いますので、ここに来ている若い選手が1人でも多く1軍の舞台で活躍してもらいたいですし、最終的にはそのポジションをつかむのは選手自身なので、そう思ってシーズンオフは取り組んでもらいたいと思います」
続いて、新井監督の右腕、藤井彰人 ヘッドコーチです。“練習の量” に加えて、“頭を使う別の角度からのアプローチ” もありました。
広島カープ 藤井彰人 ヘッドコーチ
「頭の整理と、頭を使って『相手がどういうことを考えているのか?』。野球は30分くらいしか球が動いていない。考えることも準備のひとつ。打席に行って冷静になって相手ピッチャーと勝負できるか? このキャンプは結果は見ていない。いろんなことに失敗してもらっていいので、チャレンジしてくれと言っていたので、そのへんを見る秋季キャンプだった」
「失敗してもいいのでチャレンジしよう!」という言葉があれば、経験の浅い選手は勇気を持ってトライすることができますよね。もうひとつ。野球はおよそ3時間の試合のうち、ボールが動くのは30分という話。残りの時間に何を考えるのか?どんな準備をしたら良いのか? その重要性を伝えたそうです。
続いて、データという「質」を練習に加えたスタッフの声です。話を聞いたのは、選手やボールの動きを分析し、アドバイスを送るアナリストです。現役時代、リリーフとして活躍した 一岡竜司 さんは数字で選手の成長を感じています。
バッターたちに負けじと、ピッチャー陣も量をこなした秋のキャンプ。一岡さんは投球フォームやボールの回転数などを機材を使って集め、それを選手に還元しています。
広島カープ 一岡竜司 アナリスト
「投手だったら新しい球種や、苦手な球種のストライク率を上げる取り組みをしているので、大道や玉村は『新しいカットボール=従来持っていたカットボールよりもスピードを上げてストレートに近づいてなおかつ横滑りするボール』を練習していて、習得できたら来年、楽しみだなと思いながら見ていました」
名前が挙がった 大道温貴 。キャンプでは実戦登板がない日も毎日、ブルペンに入り、かなりの量を投げ込む中で新しい球にチャレンジしてきました。
広島カープ 大道温貴 投手
「ことし、(4試合登板と)結果を出せなかったので、ぼく自身、身体はどこも痛いところはないので、投げていって何かきっかけをつかんで終わりたいというのもありますし…。『本当のカットボール=ゲームの世界のカットボール』がほしくて投げている。球速的にいったら真っ直ぐと変わらないので、自分のものにしていきたい。いい数字が出ているといわれているので、コントロールしていかないと意味ないので。どんどん投げ込んで体に覚えさせたい」
アナリストはもちろんバッター陣にもデータを元にアドバイスを送ってきました。
一岡竜司 アナリスト
「振る量がすごくて、朝から5時くらいまでずっと振っているので、スイング量が多い中でもスイングスピードが上がっている選手もたくさんいますし、内田はスイングスピード、打球スピードは1軍クラスだなと思います」
高卒2年目のことし、最終戦で1軍デビューを果たしヒットもマークした 内田湘大 。17日間にわたるキャンプはどんな時間になったのでしょうか?
広島カープ 内田湘大 選手
「量も質もしっかりできて、充実したキャンプになったと思います」
― 体はどんな状態?
「もう動かないです…」
長打力が魅力の内田が課題として取り組んできたのが、スイングの再現性。ムダな動きを排除し、ミート率の向上を目指しました。
内田湘大 選手
「監督から『ことし1年ですごくスイングがよくなった』と言ってもらえたので自信になった。自分の中で少しはほめて良いところなのかなと思いました。(スイングスピードは)チームトップクラスというのは数字的には出ているんですけど、それを試合で出せるようにやっていくだけ」
20代の若い選手たちが自分の課題と向き合ってきた秋のキャンプで自信をつけたのは間違いありません。その裏には「量」と「質」、そして「監督やスタッフの言葉」がありました。
ただ、新井監督は1軍定着のための次のステップは「自分との勝負ではなく、相手との勝負に勝つこと」と話しています。次から次へとさらなる壁が迫ってくる世界ですが、ひとまずこの厳しいキャンプをけがで離脱することなく、最後まで乗り切ったみなさん、本当にお疲れさまでした。
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