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【RCC東京通信】見るだけではもったいない…東京にある旧陸軍の国重文建物 活用のめどたたず

RCC東京支社報道制作部長が東京での取材メモを配信します。
広島の記者が東京で感じたコト。また東京から見た広島とは。

皇居周辺を歩くと目に飛び込んでくる鮮やかなレンガ造りの建物。
1910年(明治43年)竣工の 旧近衛師団司令部庁舎 だ。

旧近衛師団司令部庁舎 東京・千代田区北の丸公園

近衛師団とは戦前、皇室の警護を主な任務とした陸軍の組織だ。

二階建ての簡素なゴシック様式で当時の形態が残されている東京で数少ない建物だという。

1972年に国の重要文化財に指定された。

ぜひとも近寄って見学したいところだが、実は一般には開放されていない。
柵の外から眺めるしかできない。

どういうことか。

旧近衛師団司令部庁舎は改修を経て1977年から「東京国立近代美術館工芸館」として利用されてきたが、2020年に石川県金沢市への移転に伴い閉館。
今に至っているというわけだ。

管理する東京国立近代美術館では公開活用の観点から検討しているとのことだが、具体案はみえてこない。

収蔵していた工芸品のほとんどは金沢の新たな施設に移っており展示施設としての役割も終えたとみなされている。

新たな活用策を決めるのは簡単ではないようだ。

旧広島陸軍被服支廠 焦点の活用策を議論

おりしも広島においても旧陸軍被服支廠が来年3月までには国の重要文化財に指定される見通しだ。

今まさに活用策をどうするかが焦点になっている。
県、国、広島市で構成する研究会で議論を進める。

全4棟が保存されることになり、これだけの規模で原爆の惨禍を伝える建物はない。

見るだけでなく中に入って体感できる施設となるのは意義深いと思う。

柵に囲まれ立ち入れない旧近衛師団司令部庁舎

そして旧近衛師団司令部庁舎。

私が滞在したのは平日午後のわずかな時間だったが、立ち止まって眺める人は見当たらなかった。

地元千代田区の観光担当者に話を聞いたが、活用しきれていない現状にもどかしさがにじんでいた。

日本の近代史にもたびたび登場する近衛師団。

建物の魅力もさることながら歴史を考えるうえで貴重な文化遺産だ。

柵の外から見るだけなのは、いかにももったいない気がする。


記事に関する画像も併せてご覧ください

地下鉄「竹橋駅」下車 旧近衛師団司令部庁舎までは紀伊国坂を上って歩くこと約10分  左は東京国立近代美術館

周囲でひときわ目立つレンガ造りの建物 旧近衛師団司令部庁舎

すぐそばに建つ北白川宮能久(きたしらかわのみやよしひさ)親王の銅像 皇族軍人で 近衛師団長を務め、出征中に台湾で没した

右奥にあるのが旧近衛師団司令部庁舎

緑豊かな北の丸公園は都心にある絶好の散策コース

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