石畳の道に、整然と並んだ松。日本庭園のような落ち着きあるたたずまいのこの島(手前)は、広島県呉市の沖合にある下蒲刈島(しもかまがりじま)。
『ガーデンアイランド』と呼ばれる、島全体を庭園化する町づくりが行われています。
さらに、ここには美しい景観だけでなく、歴史や美術の展示施設などもあるとのこと。さっそく行ってみましょう!
料亭のごちそう…………!?
本物と見まごうこちらは、江戸時代に朝鮮通信使にふるまわれていた料理を再現したレプリカ。
この展示があるのは、『松濤園』という施設にある『御馳走一番館』という歴史資料館です。
下蒲刈は当時、広島藩を代表して『朝鮮通信使』という外交使節団をもてなした重要拠点。
朝鮮通信使は、江戸時代に朝鮮王朝から派遣された使節団で、その一行を迎えるための趣向を凝らした料理の数々は、日本のお・も・て・な・しの極みとも言えます。
御馳走一番館のとなりには『陶磁器館』があります。
写真は、伊万里焼のなかでも大変貴重な柿右衛門様式の作品。このほかにも、焼き物ファンが泣いて喜ぶ作品が数多く集められています。
そのほか『松濤園』の中には、世界の灯火器コレクションが展示された『あかりの館』、江戸時代の御番所を復元した『鎌刈島御番所』と、全部で4つの資料館があります。
ぜひ時間をかけてゆっくり巡りましょう。
歴史資料や焼き物を興味しんしんで見て回った後は、こちらの建物へ。
たたずまいからして立派ですが、いったい何の施設?
正解は美術館!
ここ『蘭島閣(らんとうかく)美術館』には、横山大観や平山郁夫をはじめとする日本人作家の貴重な作品が収められています。
日本画・油彩画・版画・素描など、コレクションの数は約2,200点。その中から会期ごとに企画展示されており、何度訪れても違った発見があります。
その建物にも要注目。
外装・内装ともに本格的な木造建築を基調としており、日本文化の素晴らしさをあらためて感じることができます。
また別の建物へやってきました。
絶景が広がるこの場所は、『白雪楼(はくせつろう)』という、かつて漢学の学び舎だった建物の2階です。
趣向を凝らした建築も、美しいお庭も、いつまでも見ていたいほど素敵。
何時間でもここで過ごしたいところですが、1階でお抹茶がいただけるとのことで階下へうかがいました。
お抹茶をいただきつつ、庭をながめるぜいたくなひととき♡
江戸時代からこんな時間が流れていたのかと思うと、しみじみ感じます。
瀬戸内のガーデンアイランド・下蒲刈島は、電車やバスを乗り継いで“わざわざ”訪れる場所。
メジャーな観光地に飽きてしまったという方には、うってつけの穴場です!
ゆったりした空気のなかで、歴史や文化に触れてみてはいかがでしょうか?
「瀬戸内、島めぐり/下蒲刈島」
古くから瀬戸内海の交通の要衝として栄えてきた島。江戸時代には広島藩を代表して外交使節団『朝鮮通信使』をもてなすなど、重要な役割を果たしてきました。90年代より『ガーデンアイランド構想』を推進し、島全体を庭園化するというユニークな町づくりに取り組んでいます。今回ご紹介した施設のほか、島内には昆虫資料館などもあります。
松濤園(園内に朝鮮通信使資料館『御馳走一番館』、『陶磁器館』など)
住所/広島県呉市下蒲刈町下島2277-3
営業時間/9:00~17:00 (入館は16:30まで)
定休日/火曜日(祝日の場合は翌日)
入場料/一般800円 高校生480円 小中学生320円
電話/0823-65-2900
蘭島閣美術館
住所/広島県呉市下蒲刈町三之瀬200-1
営業時間/9:00~17:00 (入館は16:30まで)
定休日/火曜日(祝日の場合は翌日)
入場料/一般500円 高校生300円 小中学生200円
電話/0823-65-3066
白雪楼
住所/広島県呉市下蒲刈町三之瀬197
営業時間/9:00~17:00 (入館は16:30まで)
定休日/火曜日(祝日の場合は翌日)
入場料/一般400円 高校生240円 小中学生160円
電話/0823-65-3066
アクセス、イベント情報などは下記よりご確認ください。
『公益財団法人 蘭島文化振興財団』
http://www.shimokamagari.jp/
瀬戸内Finderフォトライター 古川いづみ
▼記事提供元
「瀬戸内Finder(ファインダー)」は、瀬戸内を共有する7県(兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県)の魅力を世界に発信しています。
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