自動車の樹脂部品メーカーが、大きな転換期を迎えています。主力のマツダ向け事業が伸び悩む中、次の一手として打ち出したのは、従来の「部品メーカー」という枠組みを飛び越える、新たな挑戦でした。現場を取材しました。

ダイキョーニシカワ 池亀一司 製造本部長
「こちらが新型CX5後ろから見たところのリアのフィニッシャーと呼ばれる部分。今回からマツダっていうロゴが入るようになったんですけど、その部品をここで作ってます」

東広島市に本社を置く、自動車の樹脂部品メーカー、ダイキョーニシカワ。年間売上のおよそ75%をマツダ向けが占めていて、長年、マツダとともに歩んできました。

ダイキョーニシカワ 三舟滋治 専務
「当然マツダさんとの繋がりというのは非常に大きなものがあります。マツダさんとの共創活動の中で、お互いにウィンウィンになるような活動を今やっている最中です」

減産や原材料高騰の逆風…業績を下支えする「現場の努力」

しかし現在、この会社を取り巻く事業環境は厳しさを増しています。最大の顧客であるマツダの2025年度の生産台数は、前の期と比べて3.5%減少。ダイキョーニシカワの2025年3月期の業績も前期比1.7%の減収となりました。

今期の業績予想でも、中東情勢を背景とした原材料費などの高騰により、およそ12億円近く利益が押し下げられると厳しい見通しを立てています。

さらに、石油化学製品の原料となるナフサの供給不足により、塗装に欠かせない材料の調達に懸念がくすぶるなど、先行きは不透明です。こうした逆風の中、業績を下支えしているのが現場の絶え間ない企業努力です。

ダイキョーニシカワ 三舟滋治 専務
「社内の生産性向上活動であったり、間接業務の効率化というのにもみんなで取り組んだ結果、前期の数字が出てると」

ピンチをチャンスに変える次なる一手「他社への拡販」

そして、このピンチをチャンスに変えるべく、次に見据える鍵が「マツダ以外のメーカーへの販路拡大」です。

ダイキョーニシカワ 三舟滋治 専務
「他社へ拡販することで、当社の存在意義を高めていきたい。他社の比率を上げた結果、マツダさんの比率が落ちていく。」

ダイキョーニシカワ 池亀一司製造本部長
「光を下から当てて、透過検査をやる工程がこちら…レーザーで刻印した端の辺の位置の、艶上がり具合、そういったところは、人の感性をを必要としているところがありまして、人の目での検査という風になってます」

世界初の革新技術がトヨタ「レクサス」に採用!

新たな顧客開拓へ向け、武器となるのは「環境対応」「軽量化」、「高機能化」、そして「コスト革新」。基礎研究から開発を続け、その結晶として製品化にこぎつけたのが「光透過加飾技術(ひかりとうかかしょくぎじゅつ)」です。

ダイキョーニシカワ 杉原義孝 R&D本部長
「これは、近接センサーといって、必要な時だけ表示があらわれる。デザイン性が良い。あとは確実な操作のクリック感。こちらの商品がそこが大きな特徴の部品」

パネルの表面とスイッチを一体化させ、手を近づけたときだけ操作ボタンが浮かび上がる世界初の技術。この革新的な技術が、トヨタの高級車ブランド「レクサス」の新型車に採用されました。

ダイキョーニシカワ 三舟滋治 専務
「当社の製品がレクサスに載るっていうことは、やっぱりみんな喜びましたよ。やってよかったねと。当社にとっては非常に大きな、今後の成長戦略に向けての1つの足がかりにはなったとは思ってます」

【初公開】2035年の自動運転を見据えた「究極のくつろぎ空間」

さらに、目先の業績改善だけでなく、その先の未来を見据えたプロジェクトも動き出していました。今回、テレビ初公開となるのが、樹脂の可能性を極限まで引き出した次世代の車内空間の提案です。

ダイキョーニシカワ 杉原義孝 R&D本部長
「2035年には、自動運転によって、移動時間の価値が大きく変化すると考えてます。人の心地良さをどう表現していくか。その世界を未来的に描いている」

車内を究極のくつろぎ空間へと進化させるため、デザインだけでなく、光や風も連動させています。さらに…

ダイキョーニシカワ 杉原義孝 R&D本部長
「匂いをこちらから出すという形になってます」
白山貴浩 記者
「匂いですか?」
ダイキョーニシカワ 杉原義孝 R&D本部長
「香りですね。人に空間的に優しいというところを捉えています」

自らの存在意義をアップデートし続ける挑戦

マツダという強固な地盤を大切に守り抜きながらも、自らの存在意義をアップデート…ダイキョーニシカワは、挑戦を続けます。

ダイキョーニシカワ 杉原義孝 R&D本部長
「独自に技術開発をして、お客様に選んでいただいて評価をうける、価値を認めてもらう、そこがうちのコンセプトの大切なところと思っております」

トヨタ提供

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