77人が犠牲になった「広島土砂災害」から、8月20日で12年が経ちました。広島土砂災害は、”線状降水帯”が全国で知られるきっかけになりました。13日、千葉県でも猛威をふるい、甚大な被害が出ました。豪雨・水害のリスクについて、改めて考えます。
13日、千葉県を記録的な豪雨が襲いました。
車内の女性(千葉・若葉区)
「うわーーーー」

「線状降水帯」が相次いで発生し、各地で冠水。濁流が道路を覆い、川のようになりました。
車内の男性(千葉・印西市)
「浮いている、車が浮いている」
車内の男性(千葉・市川市)
「沈んでいない?あれ…」
今回の豪雨では19日までに13人が死亡。住宅2800棟以上が被害を受け、冠水で立ち往生する車も相次ぎました。
救助を目撃した夫婦
「『小さい子がいるから助けて!』と女性の声がして、あっという間に沈んだ。タクシーの中には水が入っている。沈むギリギリで出られた」
RCCウェザーセンター 梅川千輝 気象予報士
「JAF広島支部では、冠水時にドアにかかる水圧を体験することができます」
再現するのは「水深60センチ」の冠水でドアにかかる水圧。成人男性が全力でドアを開けようとしても…。
RCCウェザーセンター 梅川千輝 気象予報士
「全然開かない…。ドアが内側に返される。壁に押されているイメージ」
JAF広島支部 西原大介さん
「それくらい水圧が高い」

JAFによりますと、一般的に車の床面以上が水に浸かるとエンジンが停止。タイヤの高さを超えると車体が浮いて流される危険があるということです。
JAF広島支部 西原大介さん
「徐々に水が入ってきて、焦ってパニックになる可能性は十分考えられる」
もし冠水エリアに侵入してしまったら、まずはドアや窓から脱出できないかを確認。それが難しい場合でも、落ち着くことが重要です。
JAF広島支部 西原大介さん
「今ドアが開かなくても、車内とドアの外側の水位差が同じになると開きやすくなる。内側からも水圧がかかり、ドアを開けようとする力が働く。そこに人間の力を加えると開く。冠水エリアには入らない、行かないことが非常に大切」
”風水害”で屋外犠牲者の「3割」が車内で被災

静岡大学防災総合センターによりますと、1999年からのおよそ20年間に、全国の「風水害」で犠牲になった人が、被災した場所は「屋外」と「屋内」の割合がほぼ同程度。「屋外」で亡くなった人の3割が、車の中で被災しています。
一方、災害別に見ると、洪水などによる犠牲者は「屋外」が6割以上を占めています。
広島地方気象台 佐伯直之 防災気象官
「雨が激しくなったときには、すでに浸水害が起こっていることがある。危険度が上がってる段階では、安全に避難できるか計り知ることは困難」
”数分”で道路が濁流に・・・「西日本豪雨」ドライブレコーダーの記録

これは2018年の「西日本豪雨」当日、広島市安芸区・矢野川沿いの県道34号線の映像です。午後7時36分、車は渋滞につかまり停車します。

それからわずか「3分後」。道路は一気に濁流になりました。
ドライバーの男性
「いろんなものが流れてきたり、対向車がバックやふらつきながら下りてきたりして、危ないと思った。反対車線にも、後ろにも車がいたで、Uターンするにも動けない状態だった」

停車から「8分後」には濁流の勢いはさらに増しましたが、この車はなんとか向きを変え、難を逃れました。
広島地方気象台 佐伯直之 防災気象官
「矢野川の映像を見ても、流域面積が小さい、中小河川では”数十分~数時間”で、危険水位に達することがある。今どこで、どのような危険が迫っているか知ることが重要」
気象台は、川の水位や道路の見た目だけで判断せず、数時間先の災害危険度を予測できる「キキクル」を避難の判断に活用してほしいと呼びかけます。

広島地方気象台 佐伯直之 防災気象官
「西日本豪雨の矢野川周辺の映像でも、午後7時半の道路に大きな異常はない。その時間のキキクルでは、すでに『紫色』で危険の表示になっている。1時間後にはこのように避難できない状態になった。『まだ大丈夫』が命取りになる」
”水位が上がってから避難”では間に合わない「中小河川」の氾濫リスク

線状降水帯が相次いで発生した「千葉豪雨」では、レベル5土砂災害特別警報、レベル5大雨特別警報が発表されました。いずれも最大級の警戒を呼びかける情報で、今回被災地では甚大な浸水被害が出ました。まずは「中小河川」の氾濫リスクを説明します。

「中小河川」は流域面積が小さく、距離も短いため、水が集まりやすく、急激に水位が上昇するのが大きな特徴です。「水位が上がってきてから避難しよう」では間に合いません。
現在の水位が高くなくても、大雨時にキキクルで「紫色」になっている場合などは、数十分~数時間で急激に増水・氾濫する可能性があるため、川の近くには絶対に近づかないようにしてください。
都市部で排水が間に合わない「内水氾濫」・川沿いの車移動リスク

「都市部」側で排水が間に合わないほどの大雨が降り、冠水するケースもあります。「内水氾濫」と呼ばれる浸水害です。
一般的に「1時間50ミリ」の雨量で、排水機能が追いつかず、低地の浸水リスクが高まるといわれています。
ニュースなどで「激しい雨」「非常に激しい雨」「猛烈な雨」という表現が使われている場合は、特に気をつけてください。「線状降水帯」や「記録的短時間大雨」などが絡むと、リスクは格段に高まります。
また、アンダーパスなどの低い土地以外でも、大雨災害時の車移動はリスクを伴います。

これは西日本豪雨の広島市安芸区の「国道2号」です。川沿いの道路が陥没して、車が転落しそうになっています。
西日本豪雨では、このように川沿いの道路で崩落が相次ぎました。

川がカーブしているような場所では、エネルギーが外側に集まりやすく、弱くなった護岸に水などが流入します。護岸が削れ、最終的に崩壊する可能性があります。川沿いの道路や、住宅などが抱えるリスクです。
「大雨時の避難判断」と「日頃の備え」

改めて大雨が予想される場合は、「レベル4」までに、危険な場所から避難することが重要です。
ハザードマップで、浸水想定区域や土砂災害警戒区域に指定されている場所で、キキクルが「紫色」になっている場合は、厳重に警戒してください。
浸水想定区域に指定されていない場所でも、周囲より低い土地では、冠水・浸水のリスクがあることを忘れてはいけません。
「レベル5」になると、このタイミングで避難するのはかえって危険な可能性があります。
すでに道路状況が、西日本豪雨のドライブレコーダーの映像や、千葉豪雨の大規模な冠水のようになっているかもしれません。
そのような状況では、遠くの家や避難所に無理に移動しようとせず、今いる建物の上の階や、崖・谷筋から少しでも離れた場所に身を寄せるのも1つの方法です。

地域の災害リスクはハザードマップ以外でも、確認することができます。
「中国地方整備局」は、アンダーパスなどの「冠水想定箇所」をWEBで公開しています。
こうした場所を平時に散歩やドライブなどで、実際に通ってみたり、迂回路を考えたりすることも備えになります。
これから台風や秋雨前線によって、大雨災害のリスクが高まるシーズンを迎えます。過去の災害の教訓を、次に生かして備えることが重要です。
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