クレジットカードの決済代行会社「全東信」の破産から1週間あまり。飲食店をはじめ全国の加盟店で混乱は続き、県内の事業者にも影響が広がっています。

広島市中区のイタリア料理店「リストランテ アルヴェロ」です。こちらの店舗では、今回破産した「全東信」とおよそ3年前から契約していました。食材費などのコストが高騰する中、手数料の高さに悩み、契約の変更を検討していた矢先のことでした。

リストランテ アルヴェロ 木村忠敬 オーナーシェフ
「(これが届いたんですか?)はい。これ1枚がはいっていました」

店舗に届いたのは、これからの対応を破産管財人が行う旨が記された、1枚の書面でした。

リストランテ アルヴェロ 木村忠敬 オーナーシェフ
「まだ入金されてないものとかが、どこからどこまで補償されるのか、どこからどこまでがなくなるのかっていうのがまだ全く分かりませんから、すごく不安でしたね」

その後、問い合わせによって今月1日から5日までのクレジットカードによる売上金およそ7万円が未回収になる見通しであることが分かりました。

リストランテ アルヴェロ 木村忠敬 オーナーシェフ
「もうこの5日間分はもうどうしようもできないので・・・」

負債1151億円、今年最大の倒産劇… なぜ「全東信」は破綻したのか?

県内にも混乱をもたらしている「全東信」の破産。負債総額は、およそ1151億円に上り、ことし最大規模の倒産です。「全東信」のサービスはこれまでどのような店舗で利用されていたのでしょうか。

帝国データバンク 広島支店 牧秀樹 部長
「飲食店の中で例えば2軒目に行くようなお酒を提供するお店がメインですね。その他、個人経営の美容室ですとか」

専属の経理担当者がいない個人店舗にとって、売掛金が通常の1か月後ではなく、数日ごとに入金される仕組みは大きな利点でした。一方、「全東信」は店側から受け取る手数料で、利益を上げていたということです。しかし、新型コロナの影響で外食機会が減少。飲食店の休業が相次ぐなどして採算が悪化したとみられています。

さらに――。

帝国データバンク 広島支店 牧秀樹 部長
「コロナ禍で急浮上・急成長しましたQRコード決済の影響ですね。この辺のライバルが関わってきたので、手数料率を下げざるを得ない、こんな事情もあったと聞いています」

「現金のみ」対応に追われる現場… 拭えない客離れへの危機感

今回の「全東信」の倒産をうけて、こちらの店舗では現在、現金のみでの会計対応を続けています。

リストランテ アルヴェロ 木村忠敬 オーナーシェフ
「もうカード使えないということを伝えないといけないので。もうそのままとにかくご予約のお客様に電話をして、一件一件電話をして、事情を説明してというところからですね」

予約客には、カードが使えない状況を事前に丁寧に説明していますが、「客離れ」への強い危機感を感じています。単価を少し下げて現金でも利用しやすい工夫をするなど、対応に追われていますが、先行きの不安は拭えません。

リストランテ アルヴェロ 木村忠敬 オーナーシェフ
「どこに文句言いに行っても対処してももらえないところなので。まあそこはもう考えずに、これからのことをやっぱり考えていくとして。でも去年の同年の売上と比べたら絶対に下がりますよ。どこまで下がるのか、どこまででちょっと止めれるのかっていうのをちょっと頑張りたいなとは思いますけれども」

当面の資金繰りを支える「特別相談窓口」がスタート

こうした事態を受け、公的な支援の動きも始まっています。

経済産業省は今月10日、影響を受ける中小企業などを対象に、全国の日本政策金融公庫などに特別相談窓口を設置し、融資条件の緩和などを発表。

広島銀行でも14日から全店で相談窓口を設け、売上代金の入金遅延による資金繰りや、代わりのキャッシュレス決済に関する相談を受け付けています。