母親の元交際相手から性被害を受け続けた女性がいます。幼かった彼女が経験した被害とはどんなものだったのでしょうか。取材しました。

「自分でもそのときの記憶があまりなくて、とにかく逃げたかったとかばっかりだった」

そう語るのは広島県に住む、みゆさん(仮名)です。

みゆさんには忘れたくても忘れられない、過去があります。母親の元交際相手からの性被害です。

その被害は小学3年生ごろから始まりました。

ゲームやお小遣いを引き合いに・・・

みゆさん(仮名)
「『携帯ゲームを何分かだけさせてあげるから、その間だけ触るね』みたいな」

母親の元交際相手は、ゲームやお小遣いを引き合いにことあるごとにみゆさんに触れてきたといいます。

その行為は段々エスカレートしていきました。

小学6年生、母の誕生日に…

みゆさんが小学校6年生のときです。

みゆさん(仮名)
「小学校6年生の母の誕生日に『(性交を)しようね』っていうのを言われて。断るのもなしというか。そこから始まった」

母親の元交際相手は、母親の誕生日を選んだことについて、「忘れさせないため」だとみゆさんに告げたといいます。

罰と称した性暴力「ほぼ毎日…」

それからの日々はみゆさんの記憶にはっきりと残っていません。ただ、何かと理由をつけ、みゆさんに罰と称して、行為を強要し続けたと言います。

みゆさん(仮名)
「多分ほぼ毎日だったんだと思います。約束を守らなかったり、ルールを守らなかったらその罰で、という方向にどんどん変わっていった」

門限を一秒でも過ぎてしまったら、家の手伝いを一つでも出来ていなかったら…。みゆさんは理不尽な理由で被害に遭い続けました。

別居後も続いた被害

中学生のとき、母親と元交際相手は別居しました。しかし、自身の家にみゆさんを呼び出し、被害は続きました。

呼び出しをどうにかして断りたい…

みゆさんは夜遅くまで塾に通い詰め、あえて遠くの高校に進学しました。

みゆさん(仮名)
「別に勉強もそんなに好きとかでもなかったが、その場所(塾)に行けば勉強するしないは別として、逃げられた」

「被害を受けることが恥ずかしく、いけないことだと思っていた」

みゆさんは断ろうとすると「母親に言うぞ」と脅されていました。拒否することができないまま、被害は母親と元交際相手が別れた高校3年生まで続きました。

最後まで周りに相談はできなかったといいます。

みゆさん(仮名)
「私は言ってはいけないものだと思っていた。周りの大人に助けてもらおうという考えが当時なかった。被害を受けることが恥ずかしく、いけないことだと思っていた」

「相手は楽しく生きているかも…」から始まった民事訴訟

母親に当時の被害を伝えることが出来たのは最近のことでした。今も当時の事を思い出す度、過呼吸になり涙が止まらなくなるといいます。

ー私の傷は消えない。でも相手は楽しく生きているかも知れないー

みゆさんはことし、母親の元交際相手を相手に民事訴訟を起こしました。

みゆさん(仮名)
「今一番ぱっと出てくるのは、とにかく『死んでくれ』というのしかない。直接手を下すことは日本の法律ではできないので、裁判で公的に戦える場面を作り、相手を社会的に殺せるんじゃないかなと」

みゆさんの戦いはこれからも続きます。

約8割が身近な人からの性被害

性被害に関する広島県の無料相談窓口、「性被害ワンストップセンターひろしま」に2024年に寄せられた、電話相談の件数は合わせて244件です。

そのうち約8割は、みゆさんのように、家庭内や交際相手など身近な人から性被害を受けていました。

みゆさんはずっと「周囲に言えばよかった」と後悔していました。同時に「当時はそういう考えにならなかった」と話していました。

子どもは思っていることを言えず、言い方を知らないケースも多くあります。親だけでは無く、すべての大人が子どもの小さな変化やSOSを気にかける必要があります。

みゆさんが伝えるメッセージ

被害について声を上げられないという方に、みゆさんは「どれだけ被害に遭っても悪いのは大人。あなたは絶対に悪くない」と話していました。

悪いのは大人で、被害者はなにも悪くない。

そして、その被害を誰かに打ち明けることは悪いこと、恥ずかしいことではありません。

みゆさんも「誰かに助けを求めてほしい」と話します。

つらい思いをしていたら

つらい思いをしている方はどこに相談したらいいのでしょうか。

「性被害ワンストップセンターひろしま」という、性暴力の被害に遭われた方、または身近な人の被害に悩んでいる方のための相談窓口があります。

無料ダイヤルは、「#8891(はやくワンストップ)」です。1人で抱え込まず、まずは相談してください。

ほかにも、みゆさんのように直接弁護士に相談するなど方法は多くあります。みゆさんは、自らがつらい体験を話すことで、いま悩んでいる別の誰かの一歩になることを願っています。