去年、9割が大量死した広島県呉産のカキ。残りの1割が、ようやく食べごろを迎えました。産地の危機を救おうと、2026年春に大型プロジェクトが船出を迎えました。壊滅的な被害から海をどう守るのか。再生への挑戦を追いました。
呉市安浦町に広がる三津口湾。カキいかだに設置されているのは、広島大学が運用する装置です。海面から下層までの水温を、自動的にデータで記録しています。

広島大学 作野裕司教授
「夏場ほど水温差が大きくなる。下層が貧酸素になる。去年のへい死を受けて、今後どうなるかを見守る。私たちのプロジェクトの1つ」
先月上旬、広島大学と呉市の共同会見が開かれました。国から年間約2億円の支援を受け、大型プロジェクトが発足。カキの大量死や海の災害リスクなど、幅広い課題の解決に挑みます。
「漁場が疲れている」豪雨・暑さで異変?
一方、ここ数年は「海底での異変」が浮き彫りとなっています。かつては、中国地方最大級と言われるほどのアマモが生息していましたが、2018年7月の西日本豪雨で環境が一変しました。

広島大学 作野裕司教授
「昔は踏み場もないくらい生えていた。豪雨・暑さが影響して、瀬戸内海全体でなくなっている」
一方、ことし秋に出荷を控えるカキを生産者に見せてもらいました。
新名水産 新名剛敏さん
「口をけっこう開けている。カキは死ぬと、すぐ口を開ける。最近は多く、3割から4割が死ぬ。その程度なら何とかなるが、2025年のように8割から9割も死ぬと、どうにもならない」

今回のプロジェクトで目指すのは、海のリアルタイムな情報を生産者に届けることです。
広島大学 作野裕司教授
「水質のパラメーター(数値)が分かれば、あらかじめ被害を最小限に食い止められる。いかだを動かす、水揚げを早めるなど、役に立てれば」
新名水産 新名剛敏さん
「畑や田んぼと一緒で、半世紀以上、仕事をしてくれた漁場が疲れている。かつての海を取り戻さないといけない。次の世代につなげたい」
生き残りの「10%オイスター」春の逆襲へ
末川徹記者
「呉市宝町の飲食店にやってきました。ことしはこの時期にカキがたくさん食べられます」
カキの旬に合わせ、毎年3月までオープンしている「くれオイスターランド」。大量死問題を受け、ことし初めて、5月までの延長を決めました。
くれオイスターランド 田中耕三店長
「年明けは出荷できる状態ではなかったが、春になって身入りが良く、いい状態になった」

人気メニューは、生き残った1割のカキを蒸したバケツ焼き(12個5500円※終了次第は、冷凍カキも提供)。「10%オイスター」と題して数量限定で販売しています。
店は今後、冷凍カキを活用しながら、通年での営業にチャレンジしたいと意気込みます。
くれオイスターランド 田中耕三店長
「夏もお客さんに食べてもらう場所を提供し、これまでなかったタイミングで収益を上げることにチャレンジしたい」

豪雨や猛烈な暑さなど、自然環境そのものを変えるのは困難です。しかし、広島大学が進めるプロジェクトによって生育環境を把握し、水温や海流を予測することで、10年後をめどにデータを活用した養殖のモデルを確立しようとしています。
いかだを安全な海域に移動させる、あるいは水揚げ時期を調整する。そして、飲食店では通年で食べられる冷凍カキをPRする。当たり前に食べられる未来のために、官民一体の挑戦が続きます。























































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