広島県立海田高校の生徒がつくった布絵本が「文部科学大臣賞」を受賞しました。子どもが喜ぶ仕掛けがたくさん詰まった作品。製作した生徒を取材しました。

布で作られた絵本作品「しあわせパンケーキ」を開くと、フェルトで作られた立体的なホットケーキミックスや牛乳。卵をスライドさせると黄身が現れ、ボールの中身は磁石の付いた泡立て器でぐるぐる回ります。手で触って楽しい仕掛けが細かく施された「遊びながら食育を学べる布絵本」です。

この第31回「全国高校生クリエイティヴコンテスト」で、最高位の文部科学大臣賞を受賞しました。製作したのは、海田高校家政科の天満湊さんです。

海田高校の家政科では3年生の生徒78人のうち、男性は天満さんを含め、わずか4人。取材した日も、教室には高い声が響く中、天満さんは黙々と作業を進めていました。

「勉強もできるほう」自他ともに認める万能生徒 でもテレビカメラの前では…

天満湊さん
「3歳のときからお母さんと一緒に被服をやっていました」

縫いものを始めてからはずいぶん長いようで、裁縫歴は14年…。

同級生たち
「トップレベルです。めっちゃ尊敬します」
「数学も得意な人でうらやましいです」

天満湊さん
「なんでも出来る人になりたい。勉強もできるほうだと思います」

自他ともに認める万能具合。でも、この日はちょっと様子が違ったようです。

同級生
「テレビの取材があるから緊張してると思います。普段はおもしろい人なんですよ」
天満湊さん
「検定よりも緊張します。めっちゃ手震えます」

天満湊さん
「文部科学大臣賞をとれるなんて思っていなかったので、すごくびっくりしました。佳作くらいにはなると思っていたけど(Q.ちょっと自信はあった?)ありました」

「ネコと車が好き」 パンケーキを題材にした受賞作品には好きを詰め込んで…

作品では、ネコが車に乗って食材を買いに行き、パンケーキを作る工程が描かれています。

天満湊さん
「ネコが買いものをするんですけど、ポイントカードやレジがとれるようになっていて」

財布のファスナーを開けて出てきたのは、フェルトで作られたお金。パンケーキには磁石がついていて、バターやクリームをトッピングできます。そして、食べることが楽しくなる工夫も施されています。

食卓の前には鏡が貼ってあり、ネコが前に立つと一緒に食べる相手が現れます。食後の歯磨きをする洗面台で作品は締めくくられます。

天満湊さん
「ネコが好きなので主人公はネコにしようと思って。(Q.車も好き?)車が好きなので表紙は車にしようと決めていました」

興味の幅が広い天満さん。目指す職業は、父親の背中を見て決めました。
天満湊さん
「将来の夢は管理栄養士になることです。お父さんが海上自衛隊の調理師をしていて、3歳のときから(一緒に)包丁も使って料理や栄養に興味があるので」

キッチンで過ごす春休み 自室にはミニカーが1500個

春休み、天満さんの自宅にお邪魔しました。天満さんは、1日のうちの長い時間をキッチンで過ごします。
天満湊さん
「(Q.カメラ向けられてると気が散りますか?)絶対に切れちゃいけないので緊張しますね」
磨いているのは、「かつらむき」の技術です。

天満湊さん
「お父さんに言われたことを思い出しながら、切れないように慎重に。包丁は時点と平行に」

天満さんの母
「よくねばり強くやるなと思っています。お父さんが自衛隊で、本当に家にいなくて、弟とか妹の面倒を見てくれたのもあるんですけど。1人で3人小さい子育てているというよりは、味方で頼りになるっている感じの存在でした」

小学4年生のときには、お母さんの誕生日を祝うため、1人でスポンジからケーキを作ったそうです。
天満湊さん
「お父さんと一緒によくケーキを作っていたんですけど、1人で作ったことなくて、1人で作ってみたいなと思ったので」

今では、自分だけの作品を生み出しています。
天満湊さん
「誰もやりそうになくて、見た目がすごいものを作った。何をするにしても誰かと一緒って嫌だなと思って。大根の花の部分だけで3~40分かかりました」

こだわり始めると突き詰める性格は、天満さんの部屋の中でも見られました。幼少期から集めたミニカーは、1500個にも上ります。

「憧れの人はお父さん」 受賞してこの先意気込むことは

天満湊さん
「(Q.料理より車の方が好き?)同じくらい好きです。なんでもできる人になりたいです(Q.憧れの人はいる?)お父さん」

天満さんはこの春から高校3年生。夢に進むための大学受験が近付いてきています。

天満湊さん
「この受賞が無駄にならないように勉強もがんばって志望校に来年合格できるように勉強がんばろうかなと思いました」