広島市の原爆供養塔に眠る約7万人の遺骨。このうち1人が「遺髪」のDNA型鑑定で身元が特定され、被爆から80年余りを経て、遺骨が遺族の元に返りました。

広島市の平和公園にある原爆供養塔に、22日、1組の遺族の姿がありました。原爆供養塔には、犠牲となった約7万人の遺骨が納められています。うち813人は、名前が分かりながらも引き取り手が見つかっていません。

この名簿に「鍛治山ミチ子」さんと記されていた遺骨について、遺族が「梶山初枝」さんではないかと、身元の特定を依頼。遺骨の入った骨つぼに「遺髪」も残っていたことから、広島市は去年、初めてDNA型鑑定を実施しました。

広島市原爆被害対策部調査課 上本慎治 課長
「布にくるんであったので結構状態がいいかなと」
神奈川歯科大学 大平寛 准教授
「見た感じ悪くないですね」

遺髪からはDNAの抽出に成功し、遺族のDNA型とも照合。鑑定の結果、遺骨は梶山初枝さんと特定されました。

建物疎開の作業中に原爆に遭い、13歳で亡くなった初枝さん。妹や甥など12人の遺族が遺骨を引き取り、被爆から80年あまりの長い歳月を経て、ついに、家族の元へと返りました。

初枝さんの妹 沖長静江さん(81)
「いまからお母さんのところへ連れて行こうと思うと嬉しくて」

初枝さんの妹 大門美智子さん(92)
「なんか夢を見ているような感じで、胸がいっぱいです」

初枝さんの甥 梶山修治さん(60)
「やっとお迎えに来ることができました。『もう安心してください。一緒に帰りましょう』と、心から声をかけてあげることができ、81年前の約束を果たすことができました。わずか13歳で未来を奪われた初枝の無念を想うとき、二度とこのような悲劇を繰り返してはならないと、強く胸に刻まされます」

広島市は、遺髪によるDNA型鑑定に成功したことを受け、氏名など手がかりのある813人の骨つぼを総点検。その結果、52人の骨つぼから遺髪が見つかりました。新たな遺骨の返還につながる可能性があります。