農村部ではまもなく田植えの季節を迎えますが、広島県三原市の田んぼでは、一足早くも「コメ作り」が始まっています。

行われているのは、苗を植える「田植え」ではなく、乾いた土に直接種をまく「種まき」。地球温暖化による暑さを逆手にとって、1回の種まきで2回収穫するという、コメ作りの現場を取材しました。

三原市八幡町にある農業法人「尾道ファーム」の田んぼに、見慣れない農機具が到着しました。

尾道ファーム 南島栄治代表
「これは、ケンブリッジローラーといって、要は、(種をまく前に田んぼの土を)固めるための機械です」

今回の作業では、このローラーで土台を作り、さらに従来からある大豆や麦の種をまく際に使われる「播種機(はしゅき)」を組み合わせて、イネの種もみを直接地面にまいていきます。

使用する品種は「あきたこまち」。種もみの表面には、カビや鳥による食害を防ぐための赤い薬剤がコーティングされています。

温暖化を逆手に。「再生二期作」の仕組み

「尾道ファーム」が2025年から挑戦しているのが、「再生二期作」という新しい手法のコメづくり。これは、温暖化による気温上昇を利用して早い時期に田植えをすることで、8月に1回目を収穫。その後、残った切り株から再び伸びてくるイネを育てて、11月に2回目を収穫するという仕組みです。

尾道ファーム 南島栄治代表
「早く収穫することで、(新米が少ない時期の)早期相場が立ちますので、価格面で有利じゃないかと。あとは収量が上げることができると」

さらなる効率化を…今 注目の農法とは?

ことし、さらなる効率化を目指して導入したのが、乾いた田んぼに直接種もみをまく「乾田直播」です。田植えにかかる手間が省けるとあって広島県内でも今、注目の農法です。

一般的な稲作では、まずビニールハウスなどで苗を育て、それを田植え機に移して植えるという膨大な手間がかかります。乾田直播では、この工程が一切不要になるため、南取代表は「全体で3分の1くらいの省力化ができるのではないか」と期待を寄せます。

今回は農機具メーカー「クボタ」の協力により、中山間地域の狭い田んぼでも小回りが利く小型機が特別に用意されました。ローラーで固めた土に、肥料とともに、種もみが1センチほどの深さで次々とまかれていきます。

地域の農家からも熱い視線

この農法には、周辺の農家からも熱い視線が注がれています。

見学に訪れた農家(尾道市御調町から)
「1人でできるしこれだったら。今は8人くらいでやりおるんです。田植え。」
見学者(世羅町から)
「仮に収量が少なくても魅力ですね」

正式に機械を購入するとなると400万円以上かかるとみられますが、見学した農業法人との間ではこんなやりとりがあったそうです。

尾道ファーム 南島栄治代表
「機械をやっぱり負担が大きいのでですね、その負担自体を、ま、みんなでその分け合って、で、こういう新しい技術をやっていくっていう、ちょっとした希望が見えたというか」

今回播かれた種もみは、順調に行けば5月初めに芽を出し、お盆すぎには1回目の収穫を迎える予定です。