選択的夫婦別姓か、旧姓の通称使用の拡大か…今回の衆院選では、夫婦の姓をめぐり各政党の主張が分かれています。12日に発売されるこちらの書籍『今世紀最大の理不尽それでも、結婚がしたかった』では、選択的夫婦別姓について著者が問題提起をしています。街の人はこの議論をどう考えているのか、広島選挙区の候補者の意識と併せてお伝えします。

<賛成> 女性)
「私は結婚してだんなさんの名字になっても特に疑問には思ったことないですけど、違うのが使いたいって人がいるんだったら、それを選べるんだったらいいかなって思います」
<わからない> 女性)
「私自身、結婚、去年したんですけど、夫の姓に合わせるっていう、それが当然っていうのに、ちょっと違和感っていうか。さみしいような気持ちはありました」
<反対> 男性)
「仕事上は旧姓使っても、本来は、姓は一つにするべき。戸籍制度は日本に誇れることやないかなと私は思っているので」

選択的夫婦別姓とは、結婚する時に、▼夫か妻のどちらかの姓に統一してもいいし、▼元の姓のまま別々でもいい、とする考え方です。

「選択的夫婦別姓」をめぐるこれまでの経緯

現在日本の民法では、夫婦は同姓にしなければ婚姻が認められません。この、夫婦同姓が義務付けられている国は、世界で日本だけです。

「選択的夫婦別姓」については、30年前(1996年)に法務大臣の諮問機関=法制審議会が導入を答申していますが、法案提出すらされませんでした。
国連の女性差別撤廃委員会は、日本に対し、これまでに4回、夫婦同姓の義務を改めるよう勧告。

2024年には、経団連が選択的夫婦別姓の早期実現を政府に提言し、2025年、立憲民主党と国民民主党から別姓を認める民法改正案がそれぞれ提出されました。
立憲民主党 辻本清美代表代行(当時)
「民法改正して、同姓か別姓かを選べると。そして今まで通り、運用で通称使用も、使用したい人はできる、という」
一方で当時、対立する意見も…
日本維新の会 前原誠司共同代表(当時)
「我が党としては、同一戸籍同一氏の原則を維持しながら、改正による不利益を解消するという改革案」
28年ぶりに国会で審議入りしましたが、採決には至らず。現在も、「継続審議」となっています。

2月12日に発売される書籍『今世紀最大の理不尽それでも、結婚がしたかった』は、2回の結婚と離婚を経験した著者が、3回目の結婚に際して、「姓の変更」手続きについて、これまで以上に振り回されながら、社会と自分の関わり方について思いを巡らせるエッセイです。著者の鳥飼茜さんにお話を伺いました。

1回目も2回目も相手の姓に合わせてきたけど…

「鳥飼茜」さんはペンネームで、元の本名の姓は、広島由来の珍しいものだそうです。
鳥飼茜さん)
「小中高と学校の先生に初見で読まれたことも一度もないような、かなり珍しい名字が、その広島のある地方から発祥してるということで」

1回目、2回目の結婚では、その都度相手の姓に変更してきたと言います。
鳥飼茜さん)
「1回目の結婚の時は、初めてこの不便のない名字になることにちょっと嬉しさを感じてたりだったりとか。あと、本当に正直言えば、当初はむしろウキウキしたりとか、外で新しい名字で呼ばれることに対して、なんか新婚なんだなみたいな」

ただ、改姓に伴う手続きは、運転免許証やパスポート、銀行口座の名義変更など誰にとっても大変な作業です。それでも茜さんは、3回目も、事実婚ではなく、法律婚を選びました。
鳥飼茜さん)「私にとって結婚っていうのは、社会に対して私っていう人間がどうありたいかとか、そういうものの表明の一環で、今はこのパートナーと2人で社会に参加させてください」

別姓のまま夫婦として暮らす「事実婚」では、緊急時の医療の場で家族とみなされないなどの不利益が指摘されていますが、茜さんは、問題の本質はそこではないと言います。
鳥飼茜さん)
「都合が悪いからとか、不便だから名字を元のままにさせてほしいって言っているわけではないんですね」
「自分の名字っていうのは、自分が生まれてきて、今ここに立ってますっていうことの後ろ盾なんですよね」
「結婚っていう、幸せな選択するときに、どっちかがそれを捨てて…って、なんでそんなことにならなきゃいけないのか」

自分たちが自分たちらしく社会に認められたい、というのは、誰もが持つ基本的な欲求だと、茜さんは言います。
鳥飼茜さん)
「今、問題ないって感じている人は、マジョリティ(多数派)の側にいるっていうことでしかないと」
「じゃあ社会に認められたいなら、これまで通りのことぐらい我慢しなよっていう話を持ち出される場合はあるかと思うんですけど、社会と共存するために自分を押し殺さなきゃいけない社会って、すごく怖いと思うんですよ」
「共存をあらゆる人ができるってどういうことかって考えた時に、やっぱりある程度社会が寛容になってくれることを願わざるを得ない」

広島選挙区の候補者にアンケート調査! 

アイデンティティの問題以外にも、別姓婚を認めないことで、結婚の前後でキャリアの継続が難しくなるという問題も指摘されています。

一方、「選択的夫婦別姓に反対」という人には、以下のような意見があります。
・家族の一体感が壊れる
・親子や兄弟で別姓になる
・旧姓使用で十分ではないか

選択的夫婦別姓について広島選挙区の全候補者にアンケート調査したところ、このような答えでした。
★「必要」12人 「どちらかといえば必要」1人

★「必要でない」5人 「どちらかといえば必要でない」3人
★「どちらともいえない」3人 
平口洋候補は「法務大臣なので『回答しない』」ということです。