毎日の食卓に欠かせない「卵」の価格が、全国平均で1パック300円を超える高値が続いています。かつての「物価の優等生」に何が起きているのか現状を取材しました。

広島市南区の生鮮スーパー「たかもり」。店頭の卵は10個入りで税込280円です。 買い物客からは「高いが、食べないわけにはいかない」「ほとんど値上げしているから、分からない。慣れてしまった」との声が聞かれました。

約40年前、同じ広島市内のスーパーではLサイズ10個入りが「100円」で売られていました。店舗によっては、安い時に50円〜60円というケースもあり、まさに物価の優等生でした。

10個入300円超!「安売り」から「適正」

一方、農林水産省が発表した価格調査(先月)によると、全国平均価格は308円。販売する側の意識も変化しています。

スーパーたかもり 伊木英人 副社長
「無理して売らないようになった。(以前は)仕入れ値を下回り、安く売る。集客のためのアイテムだったが、どこもやらなくなった。適正価格になったのではないか」

背景にあるのは、エサ代や輸送費、パッケージ代など、あらゆるコストの高騰。伊木副社長は一定の理解を求めています。

スーパーたかもり 伊木英人 副社長
「卵業界に従事する人の生活もある。消費者には容認してもらわないと、世の中は成り立たない」

1日15万個の卵を使う製造現場の危機感

影響は、食品メーカーの製造現場にも及んでいます。 玉子焼きなどで全国トップクラスのシェアを誇る、業務用食品メーカーの「あじかん」。

広島工場で使う卵は1日約15万個という膨大な量ですが、社内では危機感を強めています。

あじかん 江角知厚 代表取締役専務
「以前『エッグショック』で、ずいぶん卵がなくなり高くなった。今回は、さらに影響としては大きいと考えている」

2023年、全国で猛威を振るったエッグショックは鳥インフルエンザにより、広島県内だけで約168万羽が殺処分され、深刻な卵不足と価格高騰を招きました。

「備蓄」も高騰 商品は最大20%値上げ

当時、あじかんでも商品の欠品が発生。顧客に卵の利用を控えてもらうなど対応に追われました。この教訓から、不測の事態に備え、全国の工場などで約700トンの冷凍卵を保管していますが、その「備蓄」すらも高騰しているのが現状です。

人件費の影響なども加わり、あじかんでは2月以降商品の価格を最大20%値上げすることを決めました。江角専務は、苦渋の決断の先を見据えます。

あじかん 江角知厚 代表取締役専務
「玉子焼きは欠かせない食材だから、お客さまに喜んでもらえるよう、たくさん食べてもらえるよう、商品開発など対応をしたい」

かつての物価の優等生は、今後も先行きが見通せません。