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特殊詐欺の被害が過去最悪のペースで深刻化しています。広島でも「ニセ警察官」を名乗る電話が多発。犯人は被害者の名字を知り、「資金洗浄で逮捕・起訴される」と不安を煽り、さらに偽の警察手帳やビデオ通話まで使って信用させます。25歳の男性が60万円をだまし取られた事例から、現役警察官が“警察が絶対にしないこと”を解説し、あなたや大切な人を守るための見抜き方を伝えます。
RCCは先週末、広島市に住む女性のもとにかかってきた“ニセ警察官”の実際の電話音声を入手しました。
女性の携帯に突然、「警視庁捜査二課のイワイ」と名乗る男から電話がかかってきました。

「事件内容を説明する以上、第三者のいない静かな環境に移動してください。今どちらにいらっしゃいますか?」
男は女性の周りに人がいないことを確認すると、さらにこう続けました。
「このまま資金洗浄が成立した場合、◯◯さん名義の財産が凍結されるとともに、逮捕・起訴される場合があります。ご理解いただけますか?」
男は女性の“実際の名字”を知っていました。この手口は、警察官を名乗る電話をきっかけに金銭を要求する「ニセ警察官詐欺」です。

この手口では子や孫になりすます必要がないので、あらゆる世代に被害が及びます。
広島市に住む25歳の男性は、この手口で約60万円をだまし取られました。男性は昼過ぎ、仮眠中に突然電話が鳴り、携帯を手に取りました。
「起きてすぐだったが、下4桁が0110と出て、警察だと思って」
電話の相手は「岐阜県警」を名乗り「逮捕された詐欺グループがあなたのキャッシュカードを持っていた。犯人とつながっていないか確認したい」などと説明しました。
容疑がかかっていることを示唆して、不安をあおります。

男は「東京の警察からも連絡がある」と告げ通話を終了。その直後に別の番号から電話がありビデオ通話に切り替わりました。
男性は信じてしまったきっかけについて、「警察手帳の偽装と思われるものを見せられて、信じてしまいました」と答えました。
ビデオ通話では、少し動くだけで注意されたといいます。その後、男らは「紙幣番号を照合する」などと理由をつけ、口座情報などを聞き出し、送金を求めました。
「なんとか容疑を晴らせないかなという気持ちと、親にも迷惑をかけたくないと思って…」
男性は近くのコンビニATMで、その口座に入っていた約60万円を全額送金してしまいました。

男性が送金した後も、男たちは通話を切らせませんでした。
「切らせてくださいと言うと、『令状を取って広島県警にも動いてもらわないといけない』と言われました」と振り返ります。
男性が詐欺だと気づいたのは、電話を切った後でした。「ネットで『警察を名乗る詐欺が増えている』と見て、すぐ口座を止めたんですがもう間に合いませんでした」と話しました。
男性は今回の被害を振り返り、悔やまれることを語りました。
「調べれば、岐阜県警の本当の番号じゃないと分かったと思います。今なら“明らかにおかしい”と気づけたはずなんですが…」

広島県警の直原順一 減らそう犯罪情報官は、詐欺だと見抜くポイントについて以下のように話しました。
▽警察が「+」から始まる国際電話番号から電話をすることはありません。
▽警察が電話で「容疑がかかっている」というような内容を、伝えることはありません。
▽警察がSNSで連絡をすることはないので、「ビデオ通話」で取調べをすることもありません。「電話を切ろうとしたら令状を取らざるを得ない」という状況はありません。
▽口座情報を聞き出したり、送金するよう指示したりすることももちろんありません。電話でお金の話が出たら、詐欺だと疑ってください。














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