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人気のゴルフ場がメガソーラーに?! 関係者の懸念は雇用・会員権・環境 吉和の森ゴルフ倶楽部 広島

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広島県廿日市市にあるゴルフ場が、12月で閉鎖すると公表しています。ところが、従業員やゴルフ場の会員たちは、閉鎖に反対だとして、自治体も動きを見せています。何が起きているのか、取材しました。

舞台となっているのは、廿日市市にあるゴルフ場、「吉和の森ゴルフ倶楽部」です。標高800mを超えるため、夏も涼しいのがウリで、平日も30~40組が訪れる人気のゴルフ場ですが、この夏、HPで12月15日をもって閉鎖することが公表されました。

吉和の森ゴルフ倶楽部労働組合 松本真執行委員長
「いきなり宣言をされ、ホームページで出されましたので、もちろん会員さんもご存じないことですし、当然従業員も知りません。何もそれまでの手続きを踏まずに、いきなり騙されたな、というのが気持ちです」

ゴルフ場の従業員で作る労働組合の執行委員長、松本真さんは、経営者側と話し合いを進めている過程での、突然の表明だったと、不信感を募らせます。

吉和の森ゴルフ倶楽部労働組合 松本真執行委員長
「(感じたのは)怒りの方ですね。当然そこまでは会員さんの方にも説明はされていなかったようですし、当然従業員についても詳しくの説明は行われておりませんでした」

閉鎖後はメガソーラーへ? 送られてきた解雇予告通知

現在の運営会社は、今年3月、福岡市にある電力会社に条件付きの所有権移転仮登記を済ませていて、ゴルフ場はメガソーラーに転用される見込みです。

電力会社の提案書には、ゴルフ場全体の面積(191万㎡)のうち2割弱(34万㎡)のコース内にソーラーパネルを設置し、コースの外の樹木は伐採せずに残す、と記載されています。

ここで懸念されているのは、(1)従業員の雇用の問題(2)利用者の会員権の問題そして(3)環境への影響についてという3つのポイントです。

ポイント(1)従業員の雇用
まずは雇用の問題です。契約社員15人については、今後の契約は更新されず、正社員7人については、閉鎖予定日の1カ月前となる先週末、解雇予告が通知されました。

ポイント(2)利用者の会員権
会員権については、運営会社は、HPなどで退会を呼びかけ、預託金を返還するとしています。しかし、半数以上の会員が※会員約370人ゴルフ場の継続を希望しているとみられます。

ゴルフ場利用者は…
「きれいやし、安いし、コースもええから皆人気があるんよ。夏なんか特に、涼しいけ」
「空気もええし、景色もええし、安いのが一番」
「(閉鎖は)残念だな、思うて。太陽光はやめてほしい、できれば」
「初心者でうまくないですけど、割とゆったり回らせてもらえる、焦らないで大丈夫なところが好きです」
「結構難しいんですよ。難しいところがいい。だから是非、残してほしいですね」

環境への悪影響を懸念 自治体に条例制定を請願

ポイント(3)環境への影響
そして、(3)つめのポイントは、環境への影響について。松本さんたちは、この場所は広島の水源地にあたるとして、太陽光パネルが破損したり不法投棄されたりして、有害物質が流れ出ることなどを懸念しています。

吉和の森ゴルフ倶楽部労働組合 松本真執行委員長
「やはりここがですね、メガソーラーになるということは、広島の水源地でもありますし、廿日市の自然を壊すという意味でも、やはり吉和の中だけの小さな町でこれを広げるっていうよりも、広く訴えかけたかった」

メガソーラー建設計画の中止・見直しを呼びかける署名は、オンラインではこれまでに3万6千人分余りが集まっています。

吉和の森ゴルフ倶楽部労働組合 松本真執行委員長
「廿日市市の水源と自然が、今まさに失われようとしています。その原因が大規模なメガソーラー建設です」

9月には、松本さんたち労働組合と、会員らで作る「吉和の森ゴルフ倶楽部を守る会」、そして「吉和の環境を守る会」の3者が共同で、メガソーラーの設置を規制する条例制定を求めて市議会に請願書を提出しました。

吉和の森ゴルフ倶楽部労働組合松本真執行委員長
「やはり行政が、その危険性だとか土地の重要性を正確に知って、強い権限でノーと言える、そういったことをしていただきたい、強い規制条例を作っていただきたいという思いです」

請願自体は採択されず、「継続審議」となりましたが、全国的なメガソーラーに対する関心の高まりもあり、廿日市市は条例制定に前向きな姿勢を見せています。

廿日市市 村上雅信副市長
「廿日市自体はゼロカーボンシティーを宣言してまして、ただそういった中でも無秩序に設置するのは良く無い。本市の実情に合った形、即した形での条例を今後検討したい」

請願を受け、市議たちも動き出しました。すでに条例を制定した自治体を訪れたり、太陽光発電について専門家から聞き取ったり。今月7日には、ゴルフ場の視察も実施しました。

廿日市市議会 文教厚生常任委員会 吉屋智晴市議
「小瀬川水系と太田川水系のちょうど境目にあるというのは、地形をみないとわからないということもありますし、(視察に来たことで議論が)共通の認識でできるなっていうのが非常に一つ大きな収穫だった」

なぜ閉鎖? 懸念に対する運営会社の回答は?

吉和の森ゴルフ倶楽部の運営会社の代理人弁護士によりますと、今回の閉鎖の理由は、「赤字」だということです。

▼2024年3月時点でおよそ2000万円という過去最大の赤字となり、
▼今後、建物や付属設備の修繕費用が見込まれる一方、
▼来場者数の増加は見込めないために
「預託金を返還できる現状での閉鎖を決断をした」とのこと。

また、懸念される3つのポイントについてですが、
(1)従業員の雇用について
雇用継続を望む従業員には、事前説明や退職加算金の支払い、再就職支援などによって理解してもらえるよう努力してきたし、これからもする、としています。

(2)利用者の会員権
会員権については、正確な会員数がわからないが、
・すでに125人以上が退会届を出していて、
・存続を希望する人にも、預託金を満額返還することで解決したい、とのこと。

(3)環境への影響
最後に、環境への影響が懸念されるメガソーラーに関しては、「太陽光発電については、回答すべき立場にない」と答えました。

従業員側は、「現状が赤字とは思えず、理由は偽りだ」として、閉鎖に反対しています。

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